深川の裏長屋を見て長屋噺を聴く 京の噺家 桂米二でございます

激しい雨が予想されたけれど一日晴れた。
深川まで落語を聴きに行くのにはありがたいが、お百姓さんには申し訳ない。
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「京の噺家 桂米二でございます」、会場は深川江戸資料館、
開演前の時間は江戸深川佐貫町の町並み実物大再現を観るのが楽しみだ。
押入れがないから布団は部屋の隅に畳んで、この広さ(左側が九尺・2.7メートルの入り口、実際は手前にもう90センチほど畳があって奥行きが二間・3.6メートル、全部で3坪ほど)に夫婦と子供が住まいする。
この写真の夫婦はこれでも物持ちらしい。
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船宿、木挽き職人、棒手振り、搗き米屋、八百屋、二八そばやてんぷらなどの屋台、、どれをみても落語のネタが思い浮かぶ。
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プロ野球のコミッショナー、何処やらの知事や市長、首になった社長、再除染をやらないという大臣、、当今のリーダーはなぜあんなに嫌な顔をしているのだろう。
この長屋に住んでいた人たちは明るくて屈託のない顔だったに違いない。
余計なもの、失うべきもの、隠すべきものを持っていない人たちの顔はすっきりしている。
俺だって二間の二軒長屋に親子3人で暮らしていた頃はもっといい顔をしていた。
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若い女性が多い会場。
團治郎「狸の賽」
続いて、米二「ろくろ首」
美人で財産があって外にどこと言って傷がないけれど、ゆいいつろくろ首ってだけ、それでも養子にいく。
凄い男だと思ったがいざ首が伸びると逃げ帰るだらしのない奴。
お見合いの席で「この上ながら」とあいさつする、「この上はよろしく」みたいな意味だろうか。

米左「書割盗人」
江戸落語では「だくだく」。
まさに今見てきた長屋が主人公。
なにもない部屋に白紙を貼って、タンスに金庫に火鉢、猫まで絵を描きこんで、あるつもり(「たい」という、態のことか)。
窓の外に富士山も見える、と関西弁でいうのが異次元也。
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搗き米屋の米搗き機。
長い柱の向こう側をギッタンバッコン、踏んでこっちの米を搗くのだ。
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米二「貧乏花見」
江戸では「長屋の花見」。

あの狭い長屋は雨露凌ぎ、寝るだけ。
いい年した若いもんたちはどうしたって外に出るしかない。
江戸っ子は遊び歩き食い歩いたから蕎麦や寿司の屋台が必需。
さて、上方はどうだったのか、と思ったら、「三月裏」=「ひし形にひしゃげた裏長屋、「釜ひとつ裏」=「ひとつの釜をみんなで共同して使うから、我が家の朝飯は明日の晩飯頃ってなことになる、、、いろんな裏長屋のことを教えてくれてネタに入る。

江戸版は大家さんが言いだしっぺ、こっちはみんなが申し合わせて、おちゃけや沢庵の「玉子の巻焼き」、そのほか珍妙なおつまみを持ち寄る。
上方の方が民主的?

オカミサン連が風呂敷を腰に巻いて(着物は亭主とオモヤイ)出かけたり、腰巻を外して幔幕代わりにぶら下げるなど”クサイ”花見だ。
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(船宿の台所、徳三郎が梯子を降りてきたような)

米二「寝床」
これまた長屋が目に浮かぶ。
丁稚連中が旦那の浄瑠璃を聴きたくないから台所で皿を割って自主的に蔵の中に入って謹慎中、小間物屋が引っ越したのは旦那のお稽古の声が聞こえて庭の松が枯れてしまって、このままでは人間も危ないと思ったから、子供のころから浄瑠璃を聞いて育った男は発育不良で背が小さい、、この噺は旦那の浄瑠璃のスサマジサを言い表すのも聴きどころのひとつ。

「貧乏花見」も「寝床」も長屋のみんなが寄り集まって生きている、問題がないとは言えないけれど大家の旦那は愛されている。
夜露をしのぐ場所を提供してくれてみんなの身の上を心配してくれるのは有難い。
「唐茄子屋政談」「らくだ」の大家のような鬼もいたかもしれないが、それは少数派ではなかったか。
江戸の大家は長屋の管理人であって地主ではなかったらしい。
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「寝床」の長屋の衆は下手な浄瑠璃を聴いてやる代わりにご馳走になる。
俺たち、居残り会はウマイ落語を聴いた上にご馳走を喰う。

森下町「山利喜」、知る人ぞ知る、知らない人は知らない、料理(と酒)のウマい居酒屋の代表みたいな店。
5時開店の5分前で行列30人。
名物煮込み(ガーリックトーストで喰う)、トン焼き、あじ刺し、、酒はメニューの上から順に2往復。
長屋の花見の連中には申し訳なかったが幸せな男たちだった。

去年も同じようなことをしている。
嬉しきマンネリ、ずっと続けたいマンネリ。
Commented by 創塁パパ at 2013-06-16 13:28 x
佐平次さん。ありがとうございました。久しぶりに楽しめました。いい気分転換になりました。感謝です!!
Commented by 旭のキューです。 at 2013-06-16 14:28 x
江戸時代の長屋、風情がありますね。わたしの家は、古い農家であったため、共通する感じがしました。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 14:44
創塁パパ さん、米二の落語は喜多八や鯉昇とは違った意味の肩の力が抜けますね。
酒も煮込みもウマかった^^。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 14:45
旭のキューです。さん、土間などはいまはもうないですからね。
でもキューさんの家は豪邸ですよ^^。
Commented by みい at 2013-06-16 17:51 x
子供の頃、土間があったの覚えています。
うちも古い~家ですから。
今は改築で機能的になったけれど・・・。
Commented by c-khan7 at 2013-06-16 18:23
落語の中で大家さんは大抵「でこぼこ大家」と呼ばれれますね。
玄米をついて、精米していたんですね〜。当たり前だけど、電気がない時代の生活はスゴいなぁ〜〜。
Commented by たま at 2013-06-16 18:37 x
土間の「たたき」は、漢字にて「三和土」と書いて、たしか、粘土と石灰と塩を混ぜ、水を撒いて棍棒でたたいて造成したもの(?)と、かつて大学の土木材料工学教室の〇〇助教授に教わったような・・・?
九州の郷里では、梅雨の頃は湿気て緑色にカビをふいていたような・・・?
Commented by sweetmitsuki at 2013-06-16 19:28
いえいえ、玉子焼きよりも、たくあん漬けのほうが、ずっと美味しいですよ。
Commented by 小言幸兵衛 at 2013-06-16 20:53 x
いやぁ、結構な落語に結構なお酒と肴でした!
「三月裏」や「八月裏」に住んでいた長屋の住人と、現代の我々、どちらが幸せかと言うと、私は長屋の住人達の共同体の、貧しくも楽しい活き活きとした生活に一票を入れたい、そんな気分です。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 20:56
みい さん、ふる~い大きな家っていいですね。
夏も涼しいし、冬は、、寒いかな。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 20:58
c-khan7 さん、日の出とともに起きて日が暮れると寝る。
油っぽいものは食わない。
今の健康法がぴったりの生活です。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 21:00
たま さん、三和土、なつかしいですね。
コンクリートとどう違うのでしょうか。
江戸の長屋は火事になったらすぐに壊せるようにできていたようです。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 21:01
sweetmitsuki さん、私も沢庵派です。
でも彼らにとって卵とか砂糖って、今のカステラみたいなものだったんでしょうな。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 21:03
小言幸兵衛 さん、実のところはキャンプ生活みたいなものだったかもしれません。
でも馴れれば天国かな。
Commented by 熊伍朗 at 2013-06-16 21:06 x
マンネリ・・・いいですねえ。
変わらないことが大切なこともありますよね。
自分は、もうこのまま時が止まってしまえばいいのにって思うことが、最近よくあります。
あっという間に月日が経ち過ぎです。
私の場合は、時速53kmです(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-16 21:10
熊伍朗さん、時計を止めたら時はゆっくり流れる、とかいいます。
でも記事に書いたようにゆっくり流れようが早く流れようが居酒屋で顔を合わすと同じだけの時が流れていたのです。
Commented by 豆ママ at 2013-06-16 23:34 x
酒はメニューの上から順に2往復、って・・・????

Commented by marsha at 2013-06-17 06:53 x
土間、三和土は 良いですねー。疎開先の田舎で暮らした家は大きな家でした。 
土間、三和土、くど がありました。朝起きると先ず、井戸で水を汲み、くどに薪を焼べて 火を起こし、窯で湯を沸かし、隣のくどでご飯を炊きました。 懐かしい思い出です。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-17 09:36
豆ママさん、「南部美人」、「山形のなんたらいう酒」「磯自慢」、、最初は上から各駅停車、帰りは快速、次は主要駅だけの特急の二往復。
一杯を三人で呑んで、そうですね、私は4合くらいの自覚です。
そのほか上がりにいつも冷たいビールがうまいのです^^。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-17 09:39
marsha さん、わたしの本家にもあったなあ。夏の冷え冷えした空間は安らぎました。
子供の頃はガスなんかありませんから火を熾すのが一仕事でしたね。
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by saheizi-inokori | 2013-06-16 12:23 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(20)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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