権太楼の機転が生きた『吉原特集』 長講三人の会
2013年 05月 31日
嬉しいと眼鏡が落ちるんです、うまいと眼鏡が落ちるんです、、メガネをはずしてハメもはずして、飲んで食ってシャベッテ、挙句の果てに二日酔い。
八ヶ岳に行く前に学生時代の友だちともやり過ぎて、八ヶ岳で又よく飲んで、これじゃ体にいいわけないさ、心には好くともね。
そして今夜も人形町で落語会、今夜は飲まないぞ。
決意の表れが落語会の前にきちんと食べておくこと。
軽くしておくと帰りに寄りたくなるからな、なんと心がけのよいことか。
桃太郎「お見立て」
さっき届いたばかりの朝日夕刊に「柳昇を偲ぶ桃太郎・鯉昇兄弟会」のことが載っていたのを読んで家を出たのだった。
そのことを言い始めて「あ、皆さんにはどうでもいいことでした」みたいなことを言って、さいきんは大谷がヒットを打つのを見るのだけが楽しみ、、だいたい若い人をもっとひっぱりあげなくちゃ、、芸術協会の理事たちが古い感覚だからしょうがないと、自分が経験した話を例に文句を垂れる。
落語家は威張ってはいけないと言い、身のほど知らずに大言壮語、威張る落語家の実例をいくつか。
小さんは長野県出身だから訛りがあって落語家としては大成しなかったと妄言を吐いた噺家のことも言って、「私も長野県だから大成しませんでした」。
たしかに桃太郎の言葉や語り口には長野を感じるなあ。
長野市に権堂という繁華街があって、桃太郎が高校時代にそこの赤線に行ったけど臭くて汚くて、目的を果たさず帰った、「噺家がいうほど吉原なんていいものじゃないのではないか」と思った由。
その他、あまりここに書くべきじゃないようなその線の話題のあと、突然、上手に向き直って
おいらん!喜助どんが喜瀬川花魁に杢兵衛旦那が来たことを知らせるところから本題に入る。
杢兵衛なんて北朝鮮に行った飯島そっくりの禿げ頭、あんな人に抱かれるくらいなら歌武蔵の方がまだいい。”ブス”の名前もずらずら、つい笑う俺もセクハラに加担してるのか。
まあ、それを言っちゃあ落語は成り立たない。
大金を費って入れあげた花魁にここまで嫌われて、死んでしまったという嘘までつかれて、それを信じて墓参りに行って涙を流す杢兵衛。
身から出たサビとはいえ、哀れを誘う。
なんせ
年があけたら”ひーふ”(夫婦)になると思いこんでいたんだものなあ。
桃太郎の噺を聴いて笑っていると自分の落語がつまらなく見えてくる、ってまんざらお世辞だけじゃないようなお世辞を言ってネタに入る。
餓死寸前の若旦那が橋の欄干から川面に映る月影を見ているうちに「おっかさん!」、ふらふらと飛び込みそうになる。
家に連れ帰ると叔母さんがものも言わず、ピシャリ!ビンタをくれるのを叔父さんがとりなす。
「自分で稼いだ金で行くなら吉原も結構、俺が一緒に行ってやる」の決まり文句がカット。
ずいぶん工夫を凝らした演出だった。
が、好くはなかった。
やたらにあっちこっちで感情過多、間延び、さいごに徳三郎が因業大家のところに飛び込んで啖呵を切るとこだってウジウジと涙ぐんだりして、徳三郎はもっとイイコロカゲンな若旦那のはずだ。
もっと明るく生き生きと登場人物が躍動するんじゃなくちゃこの噺は死んだも同じ。
45分、たしかに長講だったが疲れる長講。
桃太郎にペースを奪われたか。
桃太郎が「お見立て」をやるということは出演者には分かっていた(さん喬、権太楼はネタだししてなかった)のに、同じ吉原に絡む「唐茄子屋政談」が出てしまった。
こういう時に少しも騒がず、いっそ『吉原特集』としてしまうんです。
どっと沸かせて、快調に飛ばして25分、さすがの権ちゃん。
なるほど、花魁に騙される男の噺が二つ続いて、〆は絵草紙で見た花魁に心底惚れた男の純情が周囲の優しい援助もあって、花魁に逢えて、その花魁の心を直撃、晴れて”ヒーフ”になるという目出度い噺。
楽屋でさん喬の噺を聴いてとっさに「幾代餅」をやろうと決めた権太楼の機転も光った。
ああ、ノミタイなあ、話したいなあ。
呑まずに話だけ?
チョットだけ飲んで話をして?
迷った挙句に、きっぱりと「ちょっと体調が悪いので」と断った俺。
まだアル中ではないようだ。
お蔭で今朝は快調にストレッチ。
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kuukau at 2013-05-31 14:14
前以てお題の打ち合わせはやらないの?
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saheizi-inokori at 2013-05-31 14:43
空子さん、いろんなケースがあるようです。寄席では全く出たとこ勝負、楽屋でそれまでの出演者のやったネタを見て、場合によっては高座で客席の空気を診てから決めたりリクエストに応じたりします。ホール落語はあらかじめ客にネタを知らせるのもあり、出たとこ勝負もあり、その折衷もあり、今回みたいなのもあり、それぞれ面白いですね。
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たま
at 2013-05-31 19:44
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えェ~~ホントですかァ?
はじめて(?)寝ずに聴けた、さん喬師の長講かも・・・でした。
おこがましいですが・・・昨夜の幾代餅は美味かった!
その日の出来・不出来を聴き分けようなんて・・・・図々しいというか・・・贅沢がすぎますね・・・・
(居残り会に参加したつもりィ\^0^/)
はじめて(?)寝ずに聴けた、さん喬師の長講かも・・・でした。
おこがましいですが・・・昨夜の幾代餅は美味かった!
その日の出来・不出来を聴き分けようなんて・・・・図々しいというか・・・贅沢がすぎますね・・・・
(居残り会に参加したつもりィ\^0^/)
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mi-mamam1 at 2013-05-31 23:00
さん喬の「幾代餅」に泣いたことを思い出しました。権太楼のは、どんなだろう。この二人がそろって聞けるなんて、羨ましい限り。
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saheizi-inokori at 2013-05-31 23:36
たまさん、白いのは珍しいように思いました。
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saheizi-inokori at 2013-05-31 23:37
豆ママ さん、出来不出来というか、好き嫌いというべきかもね、私のは。
幾代餅はウマかったね。
幾代餅はウマかったね。
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saheizi-inokori at 2013-05-31 23:38
豆ママ さん、居残り会に歓迎しますよ^^。
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saheizi-inokori at 2013-05-31 23:40
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haru_rara at 2013-06-01 09:29
先日久々に入った映画館は権堂でした。新しい古本屋(ヘンな言い方)ができていて、高見順を買いました。
白いタイツリ草、いいなあ。
白いタイツリ草、いいなあ。
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saheizi-inokori at 2013-06-01 09:35
ハルさん、昔は松竹だったかな、「喜びも悲しみも幾歳月」を母と立ち見しました。
道から少し入ったところに映画館が建っていて、その左側に怪しげな飲み屋が並んでいたような気がします。
今は洋画館になってたような気がします。
道から少し入ったところに映画館が建っていて、その左側に怪しげな飲み屋が並んでいたような気がします。
今は洋画館になってたような気がします。
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saheizi-inokori at 2013-06-01 11:48
みいさん、「白い花が咲いてた、ふるさとの遠い夢の日」
ご存知ですか、懐かしい曲です。
ご存知ですか、懐かしい曲です。
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よっしー
at 2013-06-01 18:50
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お久しぶりに会えてよかった。次回は飲みましょうね!!
はい、私も「好きか嫌いか」なんですが・・・好きな権師を追っかけてると、同じネタが続くし(笑)、喋り終えた時、笑顔か仏頂面か見えるし(笑)・・・・もっとも私が「nice!」と思っても仏頂面の時もあります・・・。
同道した追っかけ連のKさんは、「お疲れなカンジ・・・」と言ってました。感じ方はそれぞれですね。面白いですね。
居残り会の方はどうお感じだったのかな・・・・?
同道した追っかけ連のKさんは、「お疲れなカンジ・・・」と言ってました。感じ方はそれぞれですね。面白いですね。
居残り会の方はどうお感じだったのかな・・・・?
by saheizi-inokori
| 2013-05-31 11:40
| 落語・寄席
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Comments(15)