きのうの日記

昨日の午後から小淵沢に来ている。
先月来たときに比べると木々の緑が力強く、すっかり夏の佇まい。

ペンションの庭で車から荷物をおろしているとウグイスがヘタな歓迎の歌を聞かせてくれた。

風呂が用意出来ているというので昼風呂につかる。
以前は少し離れたところにある温泉に行ったけれど宿の小さな風呂に一人のんびりつかるのが気に入ったのだ。

コテージでベッドにひっくり返って持ってきた小説を読む。
足元でサンチが寝ている。

着いた時から鳴っていた雷がだんだん怖いくらいに激しくなってきたと思ったら、狐の嫁入りにしては激しい雨が明るい庭にふりそそいだ。

癌の痛みに耐えられなくなったら眠ったまま死んでいこうと安楽死できるカクテルを用意して夏休みの子供と孫に親友を別荘に呼び集め、"幸せを感じながら"逝こうとする老人の話を読み終わると、外は明るさの変わらないまま雨が止んでいる。

６時になっても薄曇りだった昼間より明るく感じられるのは晴れたこともあるけれど雨に洗われた木々や草花が艶々しているからか。

花柄の長袖シャツを着たが寒そうなのでオレンジ色の木綿のセーターを重ねて着る。
さいきんの東京は暑いか寒いかで、こういう服装をする機会がないからちょっと嬉しい。
食事は庭を通って別棟の洋館でとるのだ。
食卓から窓の外を見ていたらキツツキが赤松の根元をさかんにつついている。
イタリアンなのだが掟やぶりで七賢を燗してもらう。
いつも出てくる野沢菜漬けの代わりに蕗の炊いたのや山椒とじやこの佃煮に蒟蒻の甘辛煮がイタリアンのコースの他に特別サービスで。
うまいうまい、むしゃむしゃ食ってしまったら、さあどうぞと図っていたように野沢菜漬けも出してくれた。
馴染みになるっていいもんだ。
ゆうべは飲み過ぎたから今日はほんのお印だけと思っていたのにお酒が二本にハートランドビールが一本、お印にしては堂々たるもんだ。
かみさんはワインを結構お召し上がりのよう。

大きなカップの両側からミルクとコーヒーを注ぎいれて、まるで茶の湯のように両の手でいただきすする。
部屋に戻ってパジャマに着替えてiPodの落語を聞いたら枕も終わらないうちに寝入ってしまった。