半世紀、年は取ったが成長はしてないのだ

大学時代の寮の友人たちとの飲み会、一昨年くらいから年に２度やっているが、俺は出席率が悪くて、今回二度目。
会った瞬間は「ずいぶんデフォルメされちゃったなあ」と思うが、ものの数分で青年時代の面影を取り戻す。
こういう時に必ず写真を撮ってくれる人がいる。
撮ってもらってわがまま言うけど、データで頂戴ね。
せっかく紙でくれても有難迷惑なのだ。
もっと大事な写真すら置いては逝けないのだ。

それに、眼で見ていると身びいきな頭脳の記憶とか感情に助けられて、マシに見える顔がカメラの冷酷なレンズを通すとアルガママ、無残なデフォルメに逆戻りして見るに堪えないのだ。
（道灌さん、いつもあなたのお噂ばかりです）

７人、個室で飲み放題、他愛のない話題ばかり。
病気や孫自慢がなかったのが幸い。
でも半世紀も経っているのに、どうして受験の思い出は鮮明なんだろう。
俺はようやく試験の夢を見なくなった（そのかわり、トイレの具合が悪い夢が増えた）のに、みんなの受験話を聞かされて又夢を見るのは嫌だな。

６人一部屋、めちゃくちゃ汚い部屋、今のホームレスだって暮らすのは尻込みするかもしれない。
何といっても貧しかった、貧しいことがむしろ誇りみたいな時代だった。
イタズラもよくした。
留置場に入ったこともある。
ナントカ卒業できて社会人になって今まで生きながらえたのはホンのわずかな幸運の積み重ねかもしれない。
二時間の制限時間を大幅に延長して三時間近く、それぞれの懐旧の念に浸ってサヨナラ、、
、、のはずが、あまり話が出来なかった友人二人を誘ってもう一軒、そこのアルジが、１０年ぶりくらいに会う俺のことを覚えていて煮凝りをご馳走してくれたりしたもんだから、再び話が弾んで深夜特急に近かった。