悪いのは酒だ 文左衛門vs扇辰 「本寸法対決」
2013年 05月 25日
サンチが美容院に行っちゃったので今日は散歩なし。
それでは俺が運動不足なので、人形町に行くときに近くのバス停を使わず歩きだしたら、次のバス停まで、次のバス停までと、今度こそここで乗ろうかと思うとタッチの差で乗れなかったりで、とうとう中目黒駅まで歩いてしまった。
90分で7キロ弱、歩数にしてちょうど1万歩。
子供たちが小さい頃近所に住んでいたので日曜日などに散歩に来た目黒銀座、どこが銀座ダイ?という面影は変わらないが、しゃれた食い物屋が増えている。
久しぶりに人形町の銭湯に入ろうかとセントウ道具を持って来たが時間が無くなって、それでも商店街を一巡り、「わしや」で無添加・塩分カットのウメボシを探したり(いつの間にか店頭に出なくなっている)して社会教育会館へ。
爺が落語を聴くのも社会教育なのだ。
橘家文左衛門・入船亭扇辰 「本寸法対決」~じっくり聴いていただきます~
長い表題の落語会、前から二番目通路側、じっくり聴きやしょう。
前座、円丈の10番弟子という、わん丈「無精床」
師匠に名前を決めてもらうときワンちゃんが横切ったのでわん丈だと自己紹介、初めて聴く人だったが、なかなかいい。
床屋の親方が剃刀を振り回すところでは、モームの「剃刀の刃」という小説の題名を思い出したが、まてよ、あれには剃刀の怖さみたいなことが書いてあったかなあ、それは志賀直哉の「剃刀」だったかもしれない。
床屋の「剃刀の刃」が醸し出す恐怖というのは文学にも落語にもなるんだなあ。
文左衛門「天災」
演出だけとは思えない、「本寸法の定義とは?」みたいな疑問を口にしつつ、ファミマが向かい合わせに在ったりする町の謎をしゃべるのが、脈絡がないようで、どこか通じるようでもあり面白い。
豪快な八ツアンが戸を開けるのではなくて外してしまったり、二言目には「表に出ろ!」と大声を出したり、紅羅坊先生とのやり取りも良かったが、なんといっても家に帰って熊さんに頓珍漢なお説教をして見せるところ、「うっふっふ」気持ちの悪い含み笑いがたまらない。
久々に聴いた文左衛門、いい感じでちょっと追っかけたくなった。
扇辰「阿武松」
白鵬と稀勢の里がどちらも勝って明日は全勝対決、楽しみですね。
このセリフがあって第6代横綱の出世噺ときたら、これまたたまらない。
まして、いつもながら、分かっていてもその先を聴きたくなる話しぶり。
昨日紹介した談四楼の「談志が死んだ」の中である先輩噺家が相撲噺しかしないことを、楽な噺に逃げているかのような批判的な書き方があったので、ちょっと注意して聴いていたが、登場人物が少ないことやストーリーがシンプルといえば言えないことがない。
しかし、扇辰のように尾車、錣山、宿屋の主人を描き分け、その会話を生き生きと表現するのは並大抵の腕じゃできないことだと思う。
扇辰「団子坂奇談」
文左衛門の「天災」には会場から近い「長谷川町新町」が出てくるし、この噺は浅草から上野、根津、団子坂、さんさき坂、谷中墓地と我が散歩道を主人公たちが歩くのが聴きどころ。
深夜、「コト、コト、コト」下駄の音をさせてお絹が墓地に向かう、ペタペタペタ、こっそり跡をつける弥太郎の草履の音、さっつサッツ、卒塔婆で墓を掘る音、気味の悪さが一層まざまざと気味が悪い。
グロともいえる奇談をストンと落して笑いに変える。
落語らしい噺だ。
(こんな本屋が近所にあると嬉しいのだがみんなつぶれてしまった)
文左衛門「猫の災難」
気の好い友達に酒を買わせ、鯛を買わせ、その留守に酒を飲んでしまって、隣の猫のせいにする。
マクラで「先生、私の肝臓が悪いのはなんでですか?」「それは酒のせいです」「良かった!私のせいじゃないんだ」という小噺を振ったのが生きてくる。
熊さんが悪いんじゃない、酒が悪いんだってね。
「酒飲みは奴豆腐にさも似たり、始め四角で後はぐずぐず」
ぐずぐずばかりか、買い物から帰らない兄貴のことを「なにやってんだ、一緒に呑みたいのに、、だいたいあいつは勝手すぎるんだ」とくさす。
その変化が何とも!
それでは俺が運動不足なので、人形町に行くときに近くのバス停を使わず歩きだしたら、次のバス停まで、次のバス停までと、今度こそここで乗ろうかと思うとタッチの差で乗れなかったりで、とうとう中目黒駅まで歩いてしまった。
90分で7キロ弱、歩数にしてちょうど1万歩。
久しぶりに人形町の銭湯に入ろうかとセントウ道具を持って来たが時間が無くなって、それでも商店街を一巡り、「わしや」で無添加・塩分カットのウメボシを探したり(いつの間にか店頭に出なくなっている)して社会教育会館へ。
爺が落語を聴くのも社会教育なのだ。
長い表題の落語会、前から二番目通路側、じっくり聴きやしょう。
前座、円丈の10番弟子という、わん丈「無精床」
師匠に名前を決めてもらうときワンちゃんが横切ったのでわん丈だと自己紹介、初めて聴く人だったが、なかなかいい。
床屋の親方が剃刀を振り回すところでは、モームの「剃刀の刃」という小説の題名を思い出したが、まてよ、あれには剃刀の怖さみたいなことが書いてあったかなあ、それは志賀直哉の「剃刀」だったかもしれない。
床屋の「剃刀の刃」が醸し出す恐怖というのは文学にも落語にもなるんだなあ。
文左衛門「天災」
演出だけとは思えない、「本寸法の定義とは?」みたいな疑問を口にしつつ、ファミマが向かい合わせに在ったりする町の謎をしゃべるのが、脈絡がないようで、どこか通じるようでもあり面白い。
豪快な八ツアンが戸を開けるのではなくて外してしまったり、二言目には「表に出ろ!」と大声を出したり、紅羅坊先生とのやり取りも良かったが、なんといっても家に帰って熊さんに頓珍漢なお説教をして見せるところ、「うっふっふ」気持ちの悪い含み笑いがたまらない。
久々に聴いた文左衛門、いい感じでちょっと追っかけたくなった。
白鵬と稀勢の里がどちらも勝って明日は全勝対決、楽しみですね。
このセリフがあって第6代横綱の出世噺ときたら、これまたたまらない。
まして、いつもながら、分かっていてもその先を聴きたくなる話しぶり。
昨日紹介した談四楼の「談志が死んだ」の中である先輩噺家が相撲噺しかしないことを、楽な噺に逃げているかのような批判的な書き方があったので、ちょっと注意して聴いていたが、登場人物が少ないことやストーリーがシンプルといえば言えないことがない。
しかし、扇辰のように尾車、錣山、宿屋の主人を描き分け、その会話を生き生きと表現するのは並大抵の腕じゃできないことだと思う。
扇辰「団子坂奇談」
文左衛門の「天災」には会場から近い「長谷川町新町」が出てくるし、この噺は浅草から上野、根津、団子坂、さんさき坂、谷中墓地と我が散歩道を主人公たちが歩くのが聴きどころ。
深夜、「コト、コト、コト」下駄の音をさせてお絹が墓地に向かう、ペタペタペタ、こっそり跡をつける弥太郎の草履の音、さっつサッツ、卒塔婆で墓を掘る音、気味の悪さが一層まざまざと気味が悪い。
グロともいえる奇談をストンと落して笑いに変える。
落語らしい噺だ。
文左衛門「猫の災難」
気の好い友達に酒を買わせ、鯛を買わせ、その留守に酒を飲んでしまって、隣の猫のせいにする。
マクラで「先生、私の肝臓が悪いのはなんでですか?」「それは酒のせいです」「良かった!私のせいじゃないんだ」という小噺を振ったのが生きてくる。
熊さんが悪いんじゃない、酒が悪いんだってね。
「酒飲みは奴豆腐にさも似たり、始め四角で後はぐずぐず」
ぐずぐずばかりか、買い物から帰らない兄貴のことを「なにやってんだ、一緒に呑みたいのに、、だいたいあいつは勝手すぎるんだ」とくさす。
その変化が何とも!
飲んじゃいないの!吸ったの!大声で拗ねてみせるのが可愛らしいところが好い。
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gonzoukun_wahaha at 2013-05-25 16:22
こんにちは。
羨ましい所にお住まいです。電車使ってとなるとなかなか気軽に落語も聴けませんの。(文末に困ってこんな事になってしまいましたの。)
羨ましい所にお住まいです。電車使ってとなるとなかなか気軽に落語も聴けませんの。(文末に困ってこんな事になってしまいましたの。)
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keiko
at 2013-05-25 20:17
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健脚ですね~
歩きが一番お手軽ですぐできる運動ですね!
歩きが一番お手軽ですぐできる運動ですね!
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saheizi-inokori at 2013-05-25 23:47
ごんぞうさん、私も同じ、歩いてバス賃を浮かして地下鉄に乗るのです^^。
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saheizi-inokori at 2013-05-25 23:49
keiko さん、歩きと毎朝のストレッチ、それに洗面所や風呂を磨くこと、それが運動です。ゴルフはっとっくにやめました。
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saheizi-inokori at 2013-05-25 23:50
豆ママ さん、それがね、減塩かつ無添加のウメボシがなくなったのです。
人形町に行くたびに寄るのですがねえ。
人形町に行くたびに寄るのですがねえ。
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c-khan7 at 2013-05-26 13:51
グズグズになるとわかってて、飲んじゃうのは、酒のせい。
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saheizi-inokori at 2013-05-26 16:22
C-khan7さん、グズグズになりたくて呑むことが多いなあ。いくら飲んでも四角じやつまらない。
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蛸
at 2013-05-26 18:01
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そんな本屋でいつも立ち読み、怒られたなぁ、
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saheizi-inokori at 2013-05-27 22:04
蛸さん、私は立ち読みということを始めたのは隠居になってからです。新聞広告でアタリをつけた週刊誌の記事を立ち読みしてます。まだ叱られたこともありませんよ。
by saheizi-inokori
| 2013-05-25 12:03
| 落語・寄席
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