小和田雅子様だ、わお! 立川談四楼「談志が死んだ」
2013年 05月 24日
80歳でエベレストの三浦さん、6月に82歳になるネパール人が今エベレストをめざしているそうだ。
84歳で毎日ニューヨーク路上でフアッション写真を撮り続けるビル・カニンガム、80代が大活躍だ。
俺もしばらくじっとしてエネルギーを蓄えておいて、80になったら逆立ちでもするか。
80歳の高座を聴きたかったという筆者は、75歳で逝った談志の高弟、この人(と小談志)が真打試験に落ちたことに談志が激怒して落語協会を脱退、立川流を始めたのだ。
家族が、談志の死を「どうしてもパパを守りたかったから」とメデイア、弟子たちにも隠して密葬をすませたのちに筆者たちに知らせがあった前後のことから、談志とのかかわりをいろいろなエピソードをつないで語っている。
一門のみんなから愛され、尊敬され、怖がられた談志が晩年鬱病のせいかボケてきたこと、そのことに気がつかない筆者が、理不尽な怒りをぶつけられ、戸惑い悲しみ、ついには談志を”イエスマンに囲まれた裸の王様”じゃねえか、と一門解散もありかと腹を決めてしまう話などは笑噺を超えてワビシイ味わいもある短編小説だ。
俺は談四楼の高座にも彼の書いたという小説にも接したことがないが、なかなか読ませる。
談志の死の4日後、『ミヤネ屋』で談志について語ったり(このくだりも面白い)した後、
父が亡くなったときに、「やれやれ酔っ払いの怒りんぼがいなくなった」と思った。
会社にいる頃、尊敬している課長が出張で不在の時に感じた解放感も懐かしい。
談志のお別れ会で山藤が、「談志はピカソだった。写実、青の時代、キュビズム、最後はわけのわからない世界へと入っていったピカソ。談志も写実、ナンセンス、イリュージョン、、変貌が激しく、客が追いつこうとすると、スルスルッと先に行っちゃう。多くの大衆に支持されたという時代が無くて、孤立して客を嫌って、ドンドンドンドンドンとスケープしていく」という挨拶をした。
その会場で、談志の「芝浜」が映される。
伝説の「神が舞い降りた」とされる2007年のものと、2010年最後の「芝浜」。
会葬者はどちらにも感動して凄かったという。
龍志が言った。
彼らから見たら2007年のもそうだが2010年の「芝浜」も下手なのだ。
天才の孤独、その天才に従う弟子たちも大変だ。
客は聴かなきゃいいのだから気楽だが。
笑点でキザで売れた(談志のアドバイスと引き立てで)小円遊が酒癖の悪い呑み方を続けたあげく肝臓で死んだ。
その心の底に本格落語から離れていくことに対する葛藤があったのじゃないかと想ったり、兄弟子の小談志が立川流を離脱して落語協会に復帰したあと早世したことを書き、何が原因で小心者といわれていた小談志が直接談志に小談志という名をねだったほど好いていた談志の元を去ったのかをいろいろ考える。
遺された弟子たちが「こんなのべつに通夜をやる一門はねえな」といいながらことある事に師匠を肴にして酒を飲む。
ネタが尽きるほど談志の思い出を語り明かす。
そういうある夜、ふと小談志の謎の答に思い当たる。
気の利いたミステリの趣ありだ。
弟子たちが”落語立川流”として活動をしていくことを申し合わせ、「立川雲黒斎家元勝手居士」というクサイ戒名の墓を受け入れる寺を見つけて、墓参りのあと、やっぱり(やるやらないが決まらなかった)新年会をやろうと決めるラストシーンもいい。
新潮社
84歳で毎日ニューヨーク路上でフアッション写真を撮り続けるビル・カニンガム、80代が大活躍だ。
俺もしばらくじっとしてエネルギーを蓄えておいて、80になったら逆立ちでもするか。
家族が、談志の死を「どうしてもパパを守りたかったから」とメデイア、弟子たちにも隠して密葬をすませたのちに筆者たちに知らせがあった前後のことから、談志とのかかわりをいろいろなエピソードをつないで語っている。
一門のみんなから愛され、尊敬され、怖がられた談志が晩年鬱病のせいかボケてきたこと、そのことに気がつかない筆者が、理不尽な怒りをぶつけられ、戸惑い悲しみ、ついには談志を”イエスマンに囲まれた裸の王様”じゃねえか、と一門解散もありかと腹を決めてしまう話などは笑噺を超えてワビシイ味わいもある短編小説だ。
俺は談四楼の高座にも彼の書いたという小説にも接したことがないが、なかなか読ませる。
キッチンで一人、モノを受け付けない胃にウィスキーを流し込んでいると、ああ、もう小言を言ってくれる人はいないのだ、という思いがあらためて胸に押し寄せた。ところが同時に、”視界良好”という言葉が突如浮かび、薄情にも、邪魔者がいなくなった解放感が湧きあがったことも白状しておく。そう感じたとたん久々の睡魔が訪れ、今こそとばかり布団に倒れこんだ。俺にも実感がある。
父が亡くなったときに、「やれやれ酔っ払いの怒りんぼがいなくなった」と思った。
会社にいる頃、尊敬している課長が出張で不在の時に感じた解放感も懐かしい。
その会場で、談志の「芝浜」が映される。
伝説の「神が舞い降りた」とされる2007年のものと、2010年最後の「芝浜」。
会葬者はどちらにも感動して凄かったという。
龍志が言った。
昔の師匠は上手かったなあ立川流以前の弟子の共通した思いだった。
彼らから見たら2007年のもそうだが2010年の「芝浜」も下手なのだ。
ここかと思えばまたあちらと、談志は変貌を遂げた。その速さにとり残された客と弟子がいた一方、相変わらず愛し続ける客がいたということか。ああ、半端だなと自分の存在を思う。一門の上と下を、以前と以後(立川流創立の)を行きつ戻りつしたつもりだったが、それぞれを深く知っちゃいなかったのだ。それでいて両者の橋渡し役のつもりでいたわけで、ま、グレーゾーンもよしとするか正直な述懐だと思う。
天才の孤独、その天才に従う弟子たちも大変だ。
客は聴かなきゃいいのだから気楽だが。
その心の底に本格落語から離れていくことに対する葛藤があったのじゃないかと想ったり、兄弟子の小談志が立川流を離脱して落語協会に復帰したあと早世したことを書き、何が原因で小心者といわれていた小談志が直接談志に小談志という名をねだったほど好いていた談志の元を去ったのかをいろいろ考える。
遺された弟子たちが「こんなのべつに通夜をやる一門はねえな」といいながらことある事に師匠を肴にして酒を飲む。
ネタが尽きるほど談志の思い出を語り明かす。
そういうある夜、ふと小談志の謎の答に思い当たる。
気の利いたミステリの趣ありだ。
弟子たちが”落語立川流”として活動をしていくことを申し合わせ、「立川雲黒斎家元勝手居士」というクサイ戒名の墓を受け入れる寺を見つけて、墓参りのあと、やっぱり(やるやらないが決まらなかった)新年会をやろうと決めるラストシーンもいい。
新潮社
談志の娘が時々テレビに出てますけど、やっぱり談志の娘だけあって、なかなかのおばちゃんですね。
「雲黒斎」の話もしてましたよ。
「雲黒斎」の話もしてましたよ。
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kaneniwa at 2013-05-24 21:45
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kuukau at 2013-05-24 22:06
立川談志、タレント議員として参院に出たね・・・
異端児でも権力は魅力なのか・・
異端児でも権力は魅力なのか・・
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saheizi-inokori at 2013-05-24 23:47
熊伍朗さん、そうですか。私は見たこと(テレビでも)ないです。
ああいう人の娘というのも大変なのかなあ。
ああいう人の娘というのも大変なのかなあ。
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saheizi-inokori at 2013-05-24 23:48
kaneniwaさん、談四楼が本書の中で書いている回文です。
つまらない表題でしたね^^。
つまらない表題でしたね^^。
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saheizi-inokori at 2013-05-24 23:50
弟子をかかえるあらゆる世界で師匠が立川談四のような人に鍛え上げられた人は、のほほんと過ごした人と随分違うのでしょうね。ふとラファエロ工房のラファエロはどんな師匠だったのかと想像をめぐらしました。~道とつく世界も厳しそうではあります。
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旭のキューです。
at 2013-05-25 09:16
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やれやれ、酔っ払いのおこりんぼと上司の安堵感、同感します。
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saheizi-inokori at 2013-05-25 10:13
tona さん、落語家の修行は師匠によってもまるで違うようです。
落語家仲間の行儀作法は誰しも厳しく躾けられるようで、そういう中で”落語家の了見”を身に着けていくのでしょうね。
落語家仲間の行儀作法は誰しも厳しく躾けられるようで、そういう中で”落語家の了見”を身に着けていくのでしょうね。
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saheizi-inokori at 2013-05-25 10:14
旭のキューです。さんの厳父もそうでしたか。
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c-khan7 at 2013-05-26 13:58
落語のそれぞれの噺には旬の年齢があるのでしょうね。
談志さん。一度、生で聞いた事がありましたが、なぜかお客が緊張するというか、そんな空気の落語家さんでした。
談志さん。一度、生で聞いた事がありましたが、なぜかお客が緊張するというか、そんな空気の落語家さんでした。
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saheizi-inokori at 2013-05-26 16:28
C-khan7さん、客が居眠りしたら帰ってしまったとか気難しいイメージが作られていたせいもあるかもしれませんね。
温かな縁側で聴いているような気分の落語がいいですね。
温かな縁側で聴いているような気分の落語がいいですね。
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福
at 2013-05-27 05:55
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>この人(と小談志)が真打試験に落ちたことに談志が激怒
談四楼「シャレのち曇り」に詳細が記されています。
また、この本には落語と談志に憧れた青年の成長の記録という意味もあって、よい本だと思っております。
談四楼「シャレのち曇り」に詳細が記されています。
また、この本には落語と談志に憧れた青年の成長の記録という意味もあって、よい本だと思っております。
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saheizi-inokori at 2013-05-27 22:09
福さん、ありがとう。図書館に予約してみます。
by saheizi-inokori
| 2013-05-24 12:22
| 今週の1冊、又は2・3冊
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