出でよ、平成の出光佐三 百田尚樹「海賊とよばれた男」(上下)
2013年 05月 01日
本屋大賞受賞ということで話題になっている本、去年の本屋大賞の「舟を編む」が9月に予約したのにまだ300人以上待っている状況では上下二巻は生きてるうちに読めないかもしれない。
かといって買うのもどうか、一度読めば終わりだろうとケチなりに悩んでいたら、アリガタヤ!貸してくださる人が現れた。
スケールが大きく、志のある人間味もあふれる男。
出光の苦難の歴史を読むことで戦前戦後の日本の歴史も垣間見える。
いろいろ含蓄のある、今の経営者や官僚、政治家に爪の垢でも煎じて飲め、といいたい言葉がでてくる。
出来が悪いというだけで家族の縁を切ることがないように、国岡商店(出光商店のこと)も首にはしない。むしろ、そういう店員をいかにして教育していくかということが会社の使命ではないかと思っている。出来の悪い社員を辞めさせ、すぐれた社員ばかりでやっていくーこれを少数精鋭主義と呼んで尊重する風潮もあるが、そんなものは私に言わせれば、単なる利己主義である。社員は家族であるとして、出勤簿もなく定年制もない、社員を信頼できないようなシステムは民主主義とはいえない。
戦後、すべてが灰燼に帰したときに側近たちが人員整理を進言してもガンとして聞き入れず一人も馘首しなかった。
ガソリンがなければ、車に乗らないで、歩けばいい。、、、終戦直後の数年間の苦しみは、こんなものではなかった。、、経済というものは数年周期で、好不況がめぐってくる。、、、昭和48年、石油ショックのまっただなかでの発言だ。
それでも戦争に比べれば、何ほどのことはない。、、、
いちばん大事なことは日本人の誇りと自信を失わないこと。それさえ失くさなければ、何も怖れることはない。
ほかならぬ石油を商う人の発言だ。
本の宣伝に「読みだしたら止まらない」「涙が止まらない」などとあったが、誇大広告とはいえない。
俺は主人公の偉さにも敬服したが、その温かい人間味に涙した。
そして、もっとも涙腺を刺激されたのは、物語のなかで氏名を与えられない一介の社員たちの心意気・行動に対してだ。
店主の信頼、愛情に応えるべく獅子奮迅の働きをして会社の危機を救う。
お涙頂戴、浪花節爺と冷やかすなら冷やかしたらいい、俺はこういうのに一番弱いのだ。
主人公の奇跡は、彼らが信頼にこたえる働きをしたことで成し遂げられたのだ。
ほとんどが権力のポチになっていた官僚や銀行員のなかにも国を思い保身の壁をぶち破る男たちもいて国岡を助ける。
一介の目立たない青年だった国岡の人物にほれ込んで、財産のすべてを差し出した(貸すのではなく)男もいた。
胸がすかっとするね。
衛星テレビで九州の無人駅を守る駅弁屋、地域の人たちの姿を見て、ぐっと来た。
崩壊しつつある日本にも”大丈夫な”人たちはたくさんいる。
そういう人の方が多いかもしれない。
問題はリーダーが彼らに信頼をおいて彼らの力を引き出すことが出来るかどうかではないか。
人々の健気さに比して権力を握っている人たちのなかに出光佐三がひとりもいない。
昨日紹介した「階級『断絶』社会アメリカ」と違って日本は上層階級の方が堕落しているように思う。
佐三ほどでなくとも、彼を自身のあるべき姿として邁進する人物が現れることが必要だ。
なんなんだっとびっくりしました。
製品が手頃でおしゃれっとよろこんでも働いてる人が幸せでないと
企業の意味がありませんね。
サンチ君身軽ですね~いつでも手荷物まとめて家出できそうですね
(すいません、冗談です)
でも出光はエライです、ほんとに。
下請けにおろしてあとは知らん顔の現代産業とは大違いです。
素晴らしい社長さんに早く紙上で出会いたい。図書館に申し込んだら212人待ちでした。
親譲り?
問題は親が少しでも余計にやろうとすることかもしれない^^。
社長も部下もみんな素晴らしいですよ。
「舟を編む」を読みたいなあと思っていながら
ずっと読まずにいたところ、
映画の方が完成して上映、ということになってしまいました。
このパターンは避けたいとろこでした。
BYマーヒー
今も、でも、内容違いの凄い人・・・・、
見てから、あんまり経験なかったのですが、結構イケましたよ。
たとえ佐三のままにはできなくとも、人間信頼と育てる志向、方や消耗品と考えて、より安く、より従順な社員ばかりを雇おうとする。
現在のアベノミクス、成長戦略はそんな経営観なのが哀しいです。
この本、上下刊とも買ってあるのですが、まだ読んでいません。