連休はご近所でウマイものを食って 尾山台「安斎」
2013年 04月 29日
365連休の隠居であるが、世間がゴールデンゴールデンと騒がしくなると習い性になったサラリーマン根性がうづく。
とはいえ、混雑も嫌だし、つまらないものに高いお金を払うのはもっと嫌だし、、
近所の散歩と近所でウマイもんでも食うかと、カミさんと出かけたのがかれこれ半年ぶりに尾山台「安斎」。
カウンターに座るとすでに二組の夫婦が満たされた顔になっている。
お通しは、「浅利と青菜(根三つ葉だったかな)のお浸し」、残ったお汁を吸う、うまい。
「春の和え物」、竹の子、帆立、蒟蒻、海老、青菜、空豆などをゴロゴロ切ってしっかりした味付け。
酒は「高清水」の中燗。
「鰹刺身」、大葉の陰には茗荷。浜防風も口中を爽やかにしてくれる。
となりの夫婦が食べていたのがウマそうなので(なんでも人の食ってるのはうまそうなのだが)負けじと頼んだのが「空豆のかき揚げ」。
ハイ、と出したあと、安斎さんは俺の食うのを見守る。
カラッと揚がって噛むとほっくり、思わず笑顔になるのを見届けて、「ははは!」、嬉しそうに笑う安斎さん。
茹でるよりこうした方がずっとうまいんだよね、と。
「筍の木の芽焼き」、親の敵に逢ったかのように食いつくのであった。
ウマイウマイ、と食ってるのを見てお隣のお父さんが、あれも食べてごらんなさい、と教えてくれたのがこれ↑「蕗と鯛の白子、酒盗」。
蕗の緑と白子の白を結ぶ酒盗の色が美しい。
蕗を食うと、シャキッと硬さが残って、噛みしめるとじわっと広がる蕗の野の香り。
思わずため息をつくと、安斎さん、又もやどや顔也。
薦めてくれたお父さんたちも俺の反応を見守っていて、三好青海入道、やはりどやどや顔也。
「このくらいの炊き方、こういう蕗じゃないと酒盗に敗けちゃうんです」、ついで白子の典雅ともいえる味わいに再び嘆声を漏らす俺たちを見て「、、でしょ」、安斎さん、ず~っとどや顔笑顔が絶えない。
作って出すだけじゃなくていろいろ話が弾む。
となりの奥さまが、もうお腹いっぱいなんだけど、なんかもう少し、、というと、暫時思案して「そうだ、これにしよう」と動き出す安斎さん。
どうせまた人の食べるのを見たら欲しくなるから俺たちにも作って、と頼んだらこれ↑。
「半熟卵の雲丹のせ、筍」。
半熟卵は出汁につけてあるのを二つに切って、左が青森産、右がロシア産の雲丹を盛り上げる。
「白いご飯にのせてもいけそうだね」、余計なことを言っても叱らないところが優しい。
「グリーンピースのスープ煮とオクラの擦りおろし」、器が素晴らしく中身はもっと素晴らしい。
「これはジュンサイをいれてもいいんだよな」というから「そうだね、さぞかし」と答えたら
すると何ということでしょう!さっといれてくれるではありませんか(ビフォアアフターの口調で)!
もうこの頃には酒は何本お代わりしたか覚えていない。
お腹もそろそろいい感じになったのだが、最後に何かとなって、
「そう言えば、昔前の店にいたころ、野菜のアンカケをご飯にかけてくれたのがウマかったなあ」、別に作ってくれと言ったわけじゃないのに、にやっと笑って「じゃあ、作りましょう。○○さんも一緒にどうぞ、どうせ居残りさんたちだけでは食べきれないから」、「そうそう、一度おためしください、きっとびっくりしますよ」、さっきの蕗のお返しのつもりで薦める俺。
しばし、「贅沢しちゃったなあ」とか何とかぶつぶつ言いながら、いろいろやっていたと思ったら、ジャン!
「野菜あんかけご飯」。
グリーンピース、蟹、空豆、鯛の白子、蛍烏賊、筍、諸々、渾然一体の鍋仕立て。
お腹いっぱい、もう入らないと言ってた隣の奥さまも美味しいオイシイ。
見た目ばかり気にしてチマチマした箱庭のような料理を出す気取った店の対極。
掟があっても、それは客と亭主の満足のためにのみある。
興いたれば出す方も食う方も逸脱することを厭わず、これ又楽しい。
とはいえ、混雑も嫌だし、つまらないものに高いお金を払うのはもっと嫌だし、、
近所の散歩と近所でウマイもんでも食うかと、カミさんと出かけたのがかれこれ半年ぶりに尾山台「安斎」。
カウンターに座るとすでに二組の夫婦が満たされた顔になっている。
お通しは、「浅利と青菜(根三つ葉だったかな)のお浸し」、残ったお汁を吸う、うまい。
酒は「高清水」の中燗。
ハイ、と出したあと、安斎さんは俺の食うのを見守る。
カラッと揚がって噛むとほっくり、思わず笑顔になるのを見届けて、「ははは!」、嬉しそうに笑う安斎さん。
茹でるよりこうした方がずっとうまいんだよね、と。
蕗の緑と白子の白を結ぶ酒盗の色が美しい。
蕗を食うと、シャキッと硬さが残って、噛みしめるとじわっと広がる蕗の野の香り。
思わずため息をつくと、安斎さん、又もやどや顔也。
薦めてくれたお父さんたちも俺の反応を見守っていて、三好青海入道、やはりどやどや顔也。
「このくらいの炊き方、こういう蕗じゃないと酒盗に敗けちゃうんです」、ついで白子の典雅ともいえる味わいに再び嘆声を漏らす俺たちを見て「、、でしょ」、安斎さん、ず~っとどや顔笑顔が絶えない。
作って出すだけじゃなくていろいろ話が弾む。
どうせまた人の食べるのを見たら欲しくなるから俺たちにも作って、と頼んだらこれ↑。
「半熟卵の雲丹のせ、筍」。
半熟卵は出汁につけてあるのを二つに切って、左が青森産、右がロシア産の雲丹を盛り上げる。
「白いご飯にのせてもいけそうだね」、余計なことを言っても叱らないところが優しい。
「これはジュンサイをいれてもいいんだよな」というから「そうだね、さぞかし」と答えたら
もうこの頃には酒は何本お代わりしたか覚えていない。
お腹もそろそろいい感じになったのだが、最後に何かとなって、
「そう言えば、昔前の店にいたころ、野菜のアンカケをご飯にかけてくれたのがウマかったなあ」、別に作ってくれと言ったわけじゃないのに、にやっと笑って「じゃあ、作りましょう。○○さんも一緒にどうぞ、どうせ居残りさんたちだけでは食べきれないから」、「そうそう、一度おためしください、きっとびっくりしますよ」、さっきの蕗のお返しのつもりで薦める俺。
しばし、「贅沢しちゃったなあ」とか何とかぶつぶつ言いながら、いろいろやっていたと思ったら、ジャン!
グリーンピース、蟹、空豆、鯛の白子、蛍烏賊、筍、諸々、渾然一体の鍋仕立て。
お腹いっぱい、もう入らないと言ってた隣の奥さまも美味しいオイシイ。
見た目ばかり気にしてチマチマした箱庭のような料理を出す気取った店の対極。
掟があっても、それは客と亭主の満足のためにのみある。
興いたれば出す方も食う方も逸脱することを厭わず、これ又楽しい。
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ジュ
at 2013-04-29 13:00
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最高の贅沢!ですー。
ところで散髪後のサンチさんの眼差し、多分saheiziさまに似ていらっしゃるのでは…、と推察いたしますのですが^^
ところで散髪後のサンチさんの眼差し、多分saheiziさまに似ていらっしゃるのでは…、と推察いたしますのですが^^
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saheizi-inokori at 2013-04-29 13:14
ジュさん、そうかなあ、飼い主に似るっていいますねえ、そういえば^^。
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hanarenge at 2013-04-29 13:26
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蛸
at 2013-04-29 14:57
x
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kuukau at 2013-04-29 16:25
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saheizi-inokori at 2013-04-29 16:52
hanarengeさん、戯言にもどりました^^。
筍がいろいろな形で出てくるのが嬉しかったです。
筍がいろいろな形で出てくるのが嬉しかったです。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 16:53
蛸さん、タイじゃ無理かな、目の毒ですんません^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 16:54
tona さん、そうですね、旅館は苦手、それは料理のこともあります。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 16:54
空子さん、昨日いた夫婦がそうだったりして^^。
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maru33340 at 2013-04-29 18:03
実に旨そうです。
今日から自宅に戻ってきたので、慌てて鰹の刺身を買いに走りました。
今日から自宅に戻ってきたので、慌てて鰹の刺身を買いに走りました。
Ciao saheiziさん
きゃーーーーおいしそーーー!!
前の記事の安倍の間抜け顔で口内苦々しかったのが
一気に涎で清々しく、、
イタリアンイタリアンと騒ぎますが、こういう日本食を相手にしたら、ひれ伏すっきゃなくなりますよね
あーー白子食べたい!!
きゃーーーーおいしそーーー!!
前の記事の安倍の間抜け顔で口内苦々しかったのが
一気に涎で清々しく、、
イタリアンイタリアンと騒ぎますが、こういう日本食を相手にしたら、ひれ伏すっきゃなくなりますよね
あーー白子食べたい!!
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gonzoukun_wahaha at 2013-04-29 19:06
今晩は。
歩いて行けるところにこんな素敵なお店があるなんて羨ましい限りです。お酒飲めますもんね( ̄∇ ̄)
歩いて行けるところにこんな素敵なお店があるなんて羨ましい限りです。お酒飲めますもんね( ̄∇ ̄)
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hanamomo06 at 2013-04-29 20:22
奥様と美味しいものとたくさん召し上がりましたね~。
帰りの夜道お月さまがきれい~。
こちらまで美味しいものを食べた気分になりました。
グリーンピースのスープ煮とオクラの擦りおろし 美味しそう!
器が素敵ですね~ほしいなあ~。
ジュンサイが出てきたらつくて見たい一品。
帰りの夜道お月さまがきれい~。
こちらまで美味しいものを食べた気分になりました。
グリーンピースのスープ煮とオクラの擦りおろし 美味しそう!
器が素敵ですね~ほしいなあ~。
ジュンサイが出てきたらつくて見たい一品。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:02
maru33340さん、旬のものを食うと命が伸びます。
一時間でもいいのです^^。
一時間でもいいのです^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:03
junko さん、ナポリターノさんもこれは食ったことがないかもね^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:05
ゴンゾーさん、呑めるどころか飲み過ぎてしまうのです。
月を見ながらふらふら歩いて帰るのがまた何とも言えない^^。
月を見ながらふらふら歩いて帰るのがまた何とも言えない^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:06
小言幸兵衛さん、落語会の帰りにはちょっと遠回り過ぎるかも。
改めておいでになりますか?
改めておいでになりますか?
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:08
hanamomo06さん、この器はもう手に入らないかも、なんていばってましたよ。
どのお皿も素晴らしく美味しそう・・・・タマリマセン。
尾山台といえば、「田園」って言ったかな・・・ン十年前、美味しさに感動した店を思いだしました。まだありますか・・・?
尾山台といえば、「田園」って言ったかな・・・ン十年前、美味しさに感動した店を思いだしました。まだありますか・・・?
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saheizi-inokori at 2013-04-29 22:26
豆ママ さん、田園の親方が店を閉じて、そこで板前をやっていた安斎さんが「田園 安斎」という店を出したのです。
それを知らなかったのでずいぶんご無沙汰をしていました。
それを知らなかったのでずいぶんご無沙汰をしていました。
落語会とは関係なく、「居残り会スペシャル」として、ぜひ!
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saheizi-inokori at 2013-04-30 10:14
小言幸兵衛さん、了解です^^。
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hisako-baaba at 2013-04-30 11:09
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marsha
at 2013-04-30 11:45
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ウワァー、良いな、何と美味しそうな。私の好みそうな物ばっかりズラーリ。こんなお店が近くにあったら、もう買い出しや、下拵えなんかしません。 毎日通い詰めます。 タッパー持って、翌日のおかずも詰めてもらいます。 最近,買い出しが嫌になりました。 個人商店がなくなりスーパーばっかりで品物が良くありません。
ご隠居さんお幸せですねー。
ご隠居さんお幸せですねー。
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saheizi-inokori at 2013-04-30 12:26
久子さん、カラッと!ほっくりと、ね^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-30 12:28
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LiberaJoy at 2013-04-30 15:36
いいなァ……と、あえて言わない。
ここでは、じっと我慢の男の子。
以前、月一で寄り道していた、西日暮里の『夢や』という
お店も、『安斉』さんに似た雰囲気がありました。
和食で修行なさった方に、共通の技ですね。
こういうお店は必ずどこかに見つかると信じて、夜な夜な
歩き回りましょう^^。
ここでは、じっと我慢の男の子。
以前、月一で寄り道していた、西日暮里の『夢や』という
お店も、『安斉』さんに似た雰囲気がありました。
和食で修行なさった方に、共通の技ですね。
こういうお店は必ずどこかに見つかると信じて、夜な夜な
歩き回りましょう^^。
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saheizi-inokori at 2013-04-30 20:58
LiberaJoyさん、きっと見つかりますとも。
こちらの気持ち次第ですよ。
こちらの気持ち次第ですよ。
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LiberaJoy at 2013-05-01 16:12
『舟を編む』のカグヤさんが、新しくお店を出すようなものですか!?
話は変わりますが、さっそく先週の土曜日『舟を編む』を観ました。
同業だけに、涙がでたことも数回。
わが雑誌は、通常二校。出して三校。
あのページ数で五校まで出すなんて、気が遠くなりました。
それでも、間違いは起きるもの。
あの辞書編集室の建物、岩波書店の旧館のような雰囲気でした。
新館との対比でも……。
話は変わりますが、さっそく先週の土曜日『舟を編む』を観ました。
同業だけに、涙がでたことも数回。
わが雑誌は、通常二校。出して三校。
あのページ数で五校まで出すなんて、気が遠くなりました。
それでも、間違いは起きるもの。
あの辞書編集室の建物、岩波書店の旧館のような雰囲気でした。
新館との対比でも……。
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saheizi-inokori at 2013-05-01 16:49
LiberaJoyさん、カグヤさんの方が繊細かもしれない。
映画には出て来ないけれど、今日読んだ本では油揚げに納豆を包んで焼くのは湯島のシンスケのメニュー、がでてきます。
本も良いですよ、出版界の空気がもっと伝わります。
映画には出て来ないけれど、今日読んだ本では油揚げに納豆を包んで焼くのは湯島のシンスケのメニュー、がでてきます。
本も良いですよ、出版界の空気がもっと伝わります。
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LiberaJoy at 2013-05-01 17:30
saheiziさん、もう2回読みました。
そして、この本をパートナーと息子・娘にも薦めました。
「辞書と雑誌とまったく内容は違うが、本作りの肝は同じ」と、
彼らは納得してくれたようです。
特に、ぼくは、3誌で校正をやってきましたので……。
Hanako時代は、銀座・代官山・吉祥寺・池袋の5エリアをくまなく歩くというのを3カ月に1回続け、特にランドマークとなるもののチェックを記録してきました。
そういう作業は、まさに街の辞書作りと言っていいかもしれません。
他のエリアにもそれぞれ担当を置きました。
交差点名がよく変わるし、銀行の建物がどんどん他の業態に
変化していくのを目の当たりにしました。
カグヤさんは、東京ではなく京都出身ですものね。
油揚げに納豆は昔の東京の味です。
わが祖母のメニューにありました。
そして、この本をパートナーと息子・娘にも薦めました。
「辞書と雑誌とまったく内容は違うが、本作りの肝は同じ」と、
彼らは納得してくれたようです。
特に、ぼくは、3誌で校正をやってきましたので……。
Hanako時代は、銀座・代官山・吉祥寺・池袋の5エリアをくまなく歩くというのを3カ月に1回続け、特にランドマークとなるもののチェックを記録してきました。
そういう作業は、まさに街の辞書作りと言っていいかもしれません。
他のエリアにもそれぞれ担当を置きました。
交差点名がよく変わるし、銀行の建物がどんどん他の業態に
変化していくのを目の当たりにしました。
カグヤさんは、東京ではなく京都出身ですものね。
油揚げに納豆は昔の東京の味です。
わが祖母のメニューにありました。
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saheizi-inokori at 2013-05-01 20:18
LiberaJoyさん、二度も!失礼しました。
いちどお薦めの酒屋でご一緒に呑みたくなりましたよ^^。
いちどお薦めの酒屋でご一緒に呑みたくなりましたよ^^。
by saheizi-inokori
| 2013-04-29 12:28
| 気になる店・ひと皿
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