今夜も又 おばあちゃん甘えるよ
2005年 11月 29日
ちょっと寂しいおばあちゃんの歌
背にあたる湯婆のぬくみに寝とぼけて抱き寝の孫と思ふしばしば
あとに残り三とせ以上も生きるのは薄情者よと言ひしよ夫が
旅二十日十八通のたより来ぬ有難きかな娘のこころばえ
一生に殿御一人と決められし古き女と吾は生き来ぬ
菊の苑に召さるるといふ記事があり思ひ出づるよ我のその日を
祖母の夫は陸軍大学を出なかったから大佐で終わったが人格円満かつ謹厳な男だったという。俺は引揚げたあと本家に居候しているときに爺さんと少し”付き合った”が、当時4歳くらいだった俺に弓を作ってくれた。その弓を喜んで引いていたら「危ない」とえらく怒られて廊下の上の長押にしまわれてしまったことを覚えている。子供心に理不尽なジジイだと思ったなあ。
祖母は軍人の妻として懐剣をいつも身の回りから離さなかった。万一の場合は自刃するつもりだったそうだ。これも理不尽な話だけれどその話しを聞いたときは「ふーん、軍人って大変なんだ」としか思わなかった。万一の場合という意味も分からなかったのだ。
菊の苑、云々は俺の叔父(祖母の娘の旦那)のことだろう。嬉しかっただろうし自分の晴れの日が懐かしかったのだね。これも俺には全く、俺なら断わっちゃう。
背にあたる湯婆のぬくみに寝とぼけて抱き寝の孫と思ふしばしば
あとに残り三とせ以上も生きるのは薄情者よと言ひしよ夫が
旅二十日十八通のたより来ぬ有難きかな娘のこころばえ
一生に殿御一人と決められし古き女と吾は生き来ぬ
菊の苑に召さるるといふ記事があり思ひ出づるよ我のその日を
祖母の夫は陸軍大学を出なかったから大佐で終わったが人格円満かつ謹厳な男だったという。俺は引揚げたあと本家に居候しているときに爺さんと少し”付き合った”が、当時4歳くらいだった俺に弓を作ってくれた。その弓を喜んで引いていたら「危ない」とえらく怒られて廊下の上の長押にしまわれてしまったことを覚えている。子供心に理不尽なジジイだと思ったなあ。
祖母は軍人の妻として懐剣をいつも身の回りから離さなかった。万一の場合は自刃するつもりだったそうだ。これも理不尽な話だけれどその話しを聞いたときは「ふーん、軍人って大変なんだ」としか思わなかった。万一の場合という意味も分からなかったのだ。
菊の苑、云々は俺の叔父(祖母の娘の旦那)のことだろう。嬉しかっただろうし自分の晴れの日が懐かしかったのだね。これも俺には全く、俺なら断わっちゃう。
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みい
at 2005-11-29 14:46
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ちょっと寂しいけれど、なんだか温もりの伝わるいいおうたです。うたの背景にあるものは、暖かいです。
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saheizi-inokori at 2005-11-29 16:23
ありがとう、みいさん。歌っていいですね。私は創れないけれど。
私の「梟仲間」に登録させていただいた「雪の朝ぼくは突然歌いたくなった」も、毎日短歌です。
私の「梟仲間」に登録させていただいた「雪の朝ぼくは突然歌いたくなった」も、毎日短歌です。
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pompu
at 2005-11-29 20:14
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短い歌の中に、はっきりと色々な情景が浮かんできます。それに、何とも繊細な愛がありますね。いいなあ・・・余計なことを削ぎ取った後の完成度の高さ。日本人って凄い!
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saheizi-inokori at 2005-11-29 23:22
pompuさん、こんばんは。いいおばあさんでしたよ。
by saheizi-inokori
| 2005-11-29 01:44
| わが母と祖母の遺したまいしうた
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Comments(4)