古本屋、古本、猫、そこに出入りする人々の怪しくも愉快な物語 出久根達郎「猫の縁談」
2013年 03月 08日
おれはな古本屋をつぶしてやるのさ。、、(略)五つの短編のなかで一番長い「猫阿弥陀」のなかで、戦時中の特高が不思議な女主人公・古本屋に語るセリフ。
おれは古本屋を好かんのだよ。薄暗い店。怪しいような雰囲気。完全に時代を異にしているような気配。何を考えているのだかわからない店主。古本屋だけが体制に足並みを揃えていない。これが目ざわりなのだよ。
言えてるなあ、古本屋を経営している作家・出久根は、古本屋のこういうところが好きになったのだろう。
俺も好きだ。
ときどき”何を考えているのだかわからない店主”に、いわれなき怖れを感じることもあるけれど。
大学に入ってすぐにやったことはナップサックを買って神保町の古本屋街に行くことだった。
4人一部屋で、それぞれが隣の男の領分との目隠し兼壁にしていた本棚に買ってきた古本を並べると、古本屋より薄暗い寮室はいつもの名状しがたい奇妙な臭いに古本屋の匂いが加わってますます異界の趣きとなった。
古本屋、古本が身にまとう不思議な雰囲気は猫にもある。
猫は何を考えているのだろう。
人間のバカらしさを冷たいニヒルな目で観察して、あとでいつもの猫集会での噺のタネにするのだ。
扇辰が独演会で朗読した出久根のエッセイに刺激されて奥沢の古本屋で買った本。
こういう連鎖を生むところが、胡散臭いのだ。
中公文庫
古本屋と猫は合いますね。古本屋と結核菌もよく合います。古本屋と4人一部屋の寮生活もぴったりですねえ。そのあたりの胡散臭さ、現代では失われてしまった香り。
「勝手にしやがれ」。ジーン・セバーグ、よかったなあ。以来、顔はゆるしてもらって、ヘアスタイルだけ勝手に頂戴しております^^;
ここは、なぜか雑誌のバックナンバーをたくさん置いていた。
買いまくりました。新刊本屋より、店主の特徴がはっきりとあらわれる。
今、ぼくの家の屋根裏部屋は、古本屋状態です。
仕事を辞めたら、ここに籠るのかなァ……。
ブックオフしか入った事がないですが、雰囲気は全然違いますね。
私も人にあげないで持っていれば開業できました。
素人が古本屋を開業すると古本屋が来店(身分を隠して)してめぼしい本を買って行くのだそうです。「セドリ」という業界用語がそれです。
蔵書家が開業するケースが多くて価値のある本が安く出されているのを狙うのです。
この本で教わった知識です^^。
古本屋はどうだったかなあ。
立ち読みで済ませましたが。
バッチイ汚れもあるのです、先日図書館で借りたのなんて気持ち悪かったですよ。
でも何故か、古ければ古くなるほど手の脂を感じなくなるんです。染みも変色も本の個性と化して気にならなくなります。書き込みもちょっと面白いし、栞として使われていた紙切れにも想像力を刺激されます。(でもお菓子のカスとか髪の毛は論外)
中途半端に新しくて手垢がついているのがいけません。ブックオフは苦手です。