見上げてごらん空の星を 今宵また赤坂に 春団治&志ん輔 第8回 落語「東へ西へ」
2012年 12月 15日
年に一度か二度しか聴けない春団治とあっちゃあキャンセルはできない。
てなわけで、赤坂区民センター、俺は東へ彼らは西へ。
開口一番は半輔「元犬」
元気いっぱい、若手はこういう席に出られることって嬉しいんだろうな。
上方落語の宝物の高座、よ~く心に刻み込むんだよ。
春団治が大阪から来るときはいつもこの人が一緒、明るく楽しい大阪言葉。
徳之島の独特な方言のことや相撲が盛んなことなどを話し「相撲甚句」、京都弁、河内弁の「さのさ」、ケッカル!、迫力あるなあ。
都々逸もくだけて楽しい。
春団治「高尾」
屁をこいて面白ぉもなくひとりもの可愛い声で「ぷ~~」、近くに誰かいれば「やったな」「知らん、なんなら後ろに回って嗅いでみ」、、屁ひとつでも盛り上がるけど、ひとり者が夜中に目が覚めて
う、うっ、ふぁ~、、、かなんなぁもぉ、いま時分なったら決まったよぉに目ぇ覚め、、、おぉ寒ぶッ。寒ぶいと思たらいっぺんにションベンがしとなってきた。いたって恐がりやねん俺。先夜もお化けがいるかと思ったら自分のフンドシ干したってん。
不精して裏の戸をちょっと開けて、ジャジャジャ~ジャ、、いい気持ちになりかけたら、、ナンマイダァナンマイダァ、突然念仏が聞こえて(上方落語はここをハメモノ、裏から女性の声が聞こえる)、ションベン止まってしまったやないか。
あがって3分かそこらで、わびしい長屋のひと部屋にしょぼい独りもんが目の前に現れる。
隣のクソ坊主が実は島田重三郎、想い思われた高尾太夫が仙台の殿様に殺された。
高尾が遺した反魂香を焚くと、どろどろどろ、色っぽく(ほんとに春団治は色っぽい)高尾の幽霊が現れる。
それを見た喜六、自分も3年前に死なれた女房を呼び出そうと薬屋に走るが、そこはオッチョコチョイ、コシナカトミヤマハンゴンタン、つまり「越中富山反魂丹」を買ってしまう。
うちわパタパタ七輪を煽いで「嬉しぃなぁ、三年ぶりにカカに会えんねや」。
パタパタパタパタ、、いくら焚いても出るのは、もうもうたる煙ばかり。
隣のカミさんに「かんこ臭い(キナ臭い)のはお宅かえ」。
ここでマクラが活きた。
おかしくって、可愛くって、哀しくって、、いいなあ。
下ネタを乱暴な言葉でやっても、決してイヤらしくない節度みたいなものがある。
1930年生まれ、人間国宝なんかにするのがもったいない、宝物だ。
浄瑠璃「傾城反魂香」に材を得て東京では「反魂香」という噺。
後の居残り会のオーソリテイから、上方では春団治くらいしかやらないと聞いた。
20分ほどの高座だけど堪能した。
高校中退、16歳で父親の5代目柳亭痴楽に入門を申し出た途端、父が倒れ、今の文治に預けられたが寝坊のため破門、痴楽の没直後の二ツ目昇進を期に3代目小痴楽を襲名し、同時に父の弟弟子・柳亭楽輔の門下となった。8年目としては紆余曲折の人生だね、24歳。
明るく元気、伸びてくれ。
正楽「紙切り」
「相合傘」「羽根つき」「忠臣蔵」「勘三郎」、法界坊を切った、「雪吊り」
と切って
今日は特別、寄席では絶対にやらないことをやります坂本九の「見上げてごらん夜の星を」をバックに、OHPで人、動物、星空を次々と映し出す。
最後は陸中高田の「奇跡の一本松」。
正楽さん、あったか!メルヒエン!
トリは志ん輔「文七元結」
博打ですってんてんになって帰った長兵衛と娘のお久がいないと心配するカミさんのケンカ。
そこからカンペキに二人の姿が立ち上がった。
佐野槌のオカミサンの貫録、お久が
私がいないとおっかさんが癪を起しても押さえてあげる人がいないからオトッツアンが押さえてあげて、、オトッツアンとおっかさん、仲よくして、、こういう場面では泣かないことにしている俺もジ~ン。
だいたいマクラで昨夜家族三人でオリオン座を横切る流れ星をみた、なんていうのがズルイのだ。
文七の自殺を止めるところも文句なし、自然な成り行き。
鼈甲やの番頭、「佐野槌は大きな店、、と隣の番頭が言ってました」も面白く、
翌日のハッピイハッピィの大団円には、それこそいつもの水が目からあふれそう。
50分の熱演、上滑りもせず、そう、出囃子に大師匠・志ん生の「一丁入り」をつかったのも持するところがあったのだろう。
素晴らしい出来に拍手鳴りやまず、志ん輔のお辞儀もいつもより丁寧だった。
居残り会・拡大編の忘年会。
4人が目白の小満ん・小三治会から、ひとりが別の忘年会から、駆けつけてカンパ~イ!
目白も素晴らしい内容だった由、善き哉好き哉!
「ぶり大根」は絶品でした。
何とか終電で帰還できました。
目白と赤坂、体が二つ欲しい日でしたね。
一度誰かに教えてやろうと思ってるんですが、その相手がいない。
でもその時、きがつく己が長命、まあ、それもよし^^。
ブログも久しぶりに書きました(苦笑)
楽しみですね。