雲助 魅惑の吉原三席 雲助蔵出し@浅草見番

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浅草駅を出ると小雨、あわてて傘を買って、いったん浅草見番で席を確保してから、外に出て「弁天」で牡蠣南蛮を驕って、満足。
店を出ると雨が止んでる、満足(傘はもったいなかったが)。
戻ると前座つる子がやっている。
「元犬」
利口な女学生の落語、女優が落語映画で噺家になってやるような落語。
このまま伸びて新しい何かを作るのか、壁にぶち当たるのか、がんばれ。
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市楽「岸柳島」
前に見た時よりだいぶはきはきして良くなった、がんばれ。

雲助が出てくるだけでパッと明るくなる、脂がのってるからだ。
浅草見番あたり、柳通り、千束通り、吉原、、雲助が店の子目当てに通った思い出をちょっと語って、しがない噺家が牛太郎に呼び込まれて二人で1円60銭、今日のワリで遊べるってんで、連れ込まれた店の悪夢のようなスサマジサ。
犬猫病院払い下げのワラ布団に陸軍省払い下げの軍馬用の毛布、出てくる女郎は髪に割り箸差して、破れ着物、ゴールデンバットのスイサシを耳に挟んで、焼き芋を食いながら登場、ぺっつぺっつと皮やスジをほきだしながら体ゆすって歩く、”石臼のお化け”、雲助の形態模写が真に迫ってモノスゴイ。
「徳ちゃん」、めくらの小せんがやったとかいう噺、私がやるのは20年ぶりくらいです、と、ああ、可笑しかった、俺が得した、トクチャン。
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(何べんも来ていてこんなものがあるとは知らなかった)

ひといき入れず、そのまま「馬を引く」、勘定が払えない客に店が”馬”なる男をつけて家までいく、の謂れなどを語って雲助「付き馬」
豪遊をした翌朝、勘定書きを見て
23円66銭、安い!ただみてえなもんだ
そりゃそうだ、払う気がないんだから、”みてえ”じゃねえだろ。
「居残り佐平次」と並ぶ落語国悪漢双璧のひとり、こちらは名無し、勘定を払うからと言葉巧みに牛太郎を連れまわす。
吉原仲の町から、大門を出て
土提で風に吹かれて、おや、お湯がありますよ、つきあいたまへ、勘定は立て替えといて、あとで払うから、信じられない?俺の目を見ろ、さっぱりしたら腹が空いたね、湯豆腐で一杯やろう、立て替えて、え、おあしがない?そんなことない、さっきお湯やで払うときにがま口出したろ、後ろから覗いたら一円札が畳んで入っていた、、お、お姐さん、なかなかいいお尻、(触って)怒っちゃいけねえ、お腹がいっぱいになったからちょいと運動しましょう、ここは柳通り、乙なとこ、浅草見番、おや雲助がやってる、「付き馬」、いい噺家だ、さん喬なんて目じゃない、花屋敷、よってくかい、瓜生岩子の銅像、なんかに似てるだろ、人形焼に、、おーら観音様だ、十八間四方のお堂に中の主は一寸八分、図体が大きけりゃいいってもんじゃない、鳩がたくさんいるなあ、豆売ってる婆さんが姉さんかぶりってのはズウズウしいよ、エ?勘定、大丈夫払うったら、目を見なさい、仁王さん、紙を丸めてぶつけて当たったところに力がつく、やってみるかい、股の間に?
人形焼、卵の殻が山盛りに積んであるけど、あれは今日使ったものってわけじゃない、オモチャやだ、電車ごっこのオモチャ、どうだい、やろうか、豆やに鏡が置いてあるのが不思議だね、雷門、門がなくとも雷門(火事で焼けてなかった時代がある)テンだから、神谷バー、テーブルに豆電球が三つついていて、一杯呑むたびに一つづつ電気をつける、三つついたらおしまい、強い酒なんだ、電車通りに出たよ、築地周りのボギー車、あ、ちょうど来た、あれに乗って行きましょう
ぺらぺらと、ここんとこがなんべん聴いても面白くてしょうがない。
それはうまい人の場合に限るんだけど、雲助は今の落語家のベストだ。
大門を出たところからここまでを8分でしゃべったが、帰りに浅草見番から雷門まで歩いたらほぼ同じ時間だった。
風呂に入ったり湯豆腐で一杯はなかったけれど。
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(柳通り・浅草見番前)

休憩後、雲助「木乃伊取り」
普通の落語会では同趣向のネタは「つく」と言って避けるならわしだが、今日は雲助独壇場、敢えて吉原尽くし。
アナーキーな女郎屋の噺で客が牛太郎に騙されると、名無しの悪漢は豪遊の後、牛太郎を騙す。
最後は若旦那が吉原きっての大店で豪遊・流連(居続け)と来た。

使命を帯びて若旦那を呼び戻しに行った番頭は、オカミサンが「どこか信が置けない、何か別のことを考えている人だよ」と見ぬいた通り木乃伊取りが木乃伊になっちまう。
ついで、カシラもまた。
店の危難を見かねて手を挙げたのは飯炊きの清蔵。
堅物、ほらみろ腕も足もゴチゴチ、心はもっと堅物が吉原に乗り込んで。
若旦那の脅しにも負けず、説得がなったかに見えたが、、。

さいごに、わっと乾杯してお開きにしようと、それなら、一杯だけなら、、。
ああ!堅物清蔵が酒と女で溶けていく。
憎むべきは酒と女だ。
饅頭怖い。
俺も溶けたくなったぜ。
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合羽橋通りを歩いて上野から帰った。
溶けずに帰った。
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Commented by at 2012-12-02 15:15 x
そんな流れ、酔いたいなぁ、
Commented by ほめ・く at 2012-12-02 18:32 x
OH! 写真の右端の方に人相の悪いのが写ってますが、それがワタシ。
といっても後姿じゃ人相まで分からないか。
Commented by 小言幸兵衛 at 2012-12-02 20:01 x
私は、横浜で菊丸でした。
佐平次さんと、ほめ・くさん、同じ時間と空間を共有してたんですね!
雲助、正月には聴くぞ!
Commented by saheizi-inokori at 2012-12-02 21:19
蛸さん、日本、いや東京ならでは、かな^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-12-02 21:20
ほめ・くさん、え!あの頭の、、かな^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-12-02 21:21
小言幸兵衛さん、正月と言わず鈴本は行かないのですか。
菊丸もしばらく聴いてないですよ。
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by saheizi-inokori | 2012-12-02 12:46 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori