亡き師匠を語る、その語りが弟子たちの答案だ 第533回「落語研究会」

水曜日は、経堂で露の新治が「中村仲蔵」をやって、それを師匠の五郎が正蔵(先代)から習ったことを言うときの新治が師匠に抱いている思いが滲んだ。
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昨日は国立小劇場で、文菊が自分の前座時代に師匠の圓菊(先ごろ亡くなった)が毎朝早くからテレビを見て何やらつぶやいていたこと、始めは何を言ってるか分からなかったが、毎日聴いているうちに聞き取れた。
象さん象さん、お鼻が長いのね
師匠もいろんな稽古をしたんでしょうね、といってネタの「稽古屋」に入った。
他の人がやるようなオーバーなものではなく、さらっと圓菊の仕草・喋り方を織り交ぜて話す、その仕方噺には老齢の師匠の最後の弟子として傍近くで育ってきた者ならではの愛情、哀惜を感じた。
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生志も一周忌を迎えたばかりの談志のことを言ったが、そしてそれは文菊の圓菊に触れたよりずっと長いものだったが、ほとんどは自分のことを語っていた。

次に上がった小遊三は、今日の演目である「六尺棒」は前座時代に談志から教わったのだと、その思いがけない、彼にとっては宝物のような出来事のイクタテを達者に語った。
よく練られた噺で「ちょっといい話」を聴く気分にさせてくれた。
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さいごに上がった文治も文治を襲名して師匠・先代文治の出囃子「武蔵名物」を使うようになった、と言い、その出囃子が圓菊と同じだったが、ふたりとも強情だったから衝突することもあったなどと、師匠・文治の強情ぶりを語った。
この日のネタ、「掛取り」は、大晦日の掛取りに来た者をそれぞれの好きな道楽をやってみせて煙に巻いて撃退するという楽しい噺なのだが、狂歌、歌舞伎についで、京須屋の旦那(落語研究会ゆかりの落語評論家の名前)には落語談義で応接するという趣向があった。
そのときに、柳昇「カラオケ病院」の中で「お久しぶりね」を唄うところや、桃太郎の茶を啜る真似など(ほかに先代正蔵、円丈も)がさすが達者で、文治の思い出話より面白かった。

師走を迎えるというのに街には紅葉・黄葉が美しいという不思議な東京。
それぞれが故人落語家のことに触れた。
怖いものだ、自ずから自分を語っている。
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他に最初にこみち「兵庫舟」
前日美容院に行き、夜は美顔器をかけ袴を着用しての登場。
とても楽しくて良かった。
又聴きたい噺だ。

文菊はお師匠さんが色っぽく粋な噺にしていた。
生志「寝床」はマクラが長すぎ、ネタも長すぎ(喋りたいことをダラダラ)、雇人をみんな首にしたって「中国人を雇えばいい」というセリフが気にくわず、、。
Commented by 旭のキューです。 at 2012-12-01 12:18 x
落語の良し悪しを感じました。
Commented by saheizi-inokori at 2012-12-01 21:20
旭のキューです。さん、落語は奥が深いですよ^^。
Commented by tonkoid at 2012-12-01 22:04
そちらはまだこんなに紅葉 黄葉がきれいなのですね。
福島 今朝はうっすら粉化粧でした。

落語は深夜のラジオで聞くくらいで、舞台は未経験です。
ここで勉強させていただいております。ほんと奥が深いのですね。
Commented by saheizi-inokori at 2012-12-01 22:28
tonkoidさん、東京も今夜は冷え込んでいます。紅葉を楽しめるのもあと何日かなあ。
福島の雪が除せんしてくれるといいんだけどね。
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by saheizi-inokori | 2012-12-01 11:07 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori