追っかけたい噺家 露の新治 ぼちぼちいこか寄席@さばのゆ
2012年 11月 29日
経堂・さばのゆ、銭湯跡を居酒屋にした、そこで30人ほどの客が酒を飲んだり笑ったり、始まる前から濃密ななごみの空間をつくっていた。
意味があるかどうかではなくて。
今ァ、英語もしゃべられへん。
朝起きて窓を開けると山の気が入ってくる。
人の気がいい。
みんなが床屋の仕事を喜んでくれる。
「権兵衛狸」の出、いままで聴いたことのない権兵衛の人物造型だ。
てんごう(いたずら)しよる狸を捕まえて天井からつるす。
訪ねてきた庄作は「狸汁にしよう」という。
それを聞いた狸の必死の目が権兵衛さんの目と、目と目があったら情が通う。
懲らしめのために頭をクリクリ坊主に剃って命は助けてやる。
その噺を村中に広める庄作、感じて集まる村の衆、それぞれ何かを持ってきて酒を飲む、酒は何を呑むかじゃなくて誰と呑むかだ。
孫たちに聞かせてやりたい落語、ちょっとお色気部分も含めてね。
(近所。犬も歩けば黄葉にあたる)
岡大介・カンカラ三線
沖縄で米軍捕虜になった人たちが、配給缶詰の空き缶と米軍ベッドの廃材、パラシュートの紐でつくったサンシンで唄って生きた。
いきなり「骨まで愛して」で、「骨まで骨まで」は客に歌わせる。
「お座敷小唄」は男女に別れて。
唄っていたら何かが心にひっかかる。
そうだ、「富士日記」のなかに武田家の工事に来た人たちが宴会で唄うのがこの歌だった。
百合子さんも一緒に歌っているような気分で「すっちゃんちゃららかすっちゃんちゃららか」。
ついで演歌、演歌と言っても艶歌や怨歌、または金儲けの円歌じゃなくて、本来の演説歌。
「東京節」、ラメちゃんたらぎっちょんちょんのぱいのぱいのぱい、、。
民権論者の涙の雨で~、、「ダイナマイト節」
ァ、のんきだね~、添田唖蝉坊の「のんき節」、元祖を唄って、ついで自作の平成のんき節、訥々と語りながら真っ直ぐな歌声、底に怒りや主張がある、テナコトおっしゃいましたかね。
ふたたび新治「紙入れ」
亭主の留守にわりない仲になった新吉を呼び寄せるおかみさん。
世話になっている旦那に申し訳ないともじもじするけど、オカミサンが色気たっぷりに脅したりすかしたりするとひとたまりもない。
酒をついで新吉が飲むのを見守るカミさんの色気の迫力、おおこわ!
いよいよ、の場面、、ここは孫には聴かせられない。
いいところで旦那が帰ってきちゃってさあ大変、紙入れ置き忘れて逃げ出す新吉。
後悔、自責、不安、、新吉の懊悩が、聴いてるこっちも苦しくなるほど(だからやらなきゃよかった、って男はバカだね)。
翌朝、旦那にバレタかとこわごわ様子を見に来る新吉、なにも気がついていない旦那と珍妙なやり取りのあとカミさんが出てきて新吉に
10分間の休憩のあと、新治「中村仲蔵」
上方から江戸に下って名題になってもらった役が忠臣蔵五段目・「斧定九郎」。
端役、観客が弁当に夢中になっている弁当幕にやる役、名題のやる役ではない。
がっかりして上方へ帰ろうという仲蔵を諌めて激励するカミサン、「紙入れ」のカミさんとは違う貞女(超強いところは同じだけど)。
仲蔵が蕎麦屋で出会った落ちぶれた侍の風体・仕草に感じて、従来とはガラッと違う役作りに成功する。
その舞台描写と夫婦の喜び合うシーンが聴かせどころ・見せ所。
どちらも良かったが、今日は後者がとくに良かったのは狭いけれど温かな会場の空気のせいかもしれない。
稲荷町の正蔵が師匠の露の五郎に教えて下さって大胆にも上方でやり、弟子では新治だけが教えて貰ったというネタ。
東京で落語会をやることがあればやりたいと思っていたネタ。
今日、やっと夢がかなった、と噺のあとで語った。
その新治と仲蔵の姿が重なってみえた。
軽妙で、お軽くはなく、聴かせどころではみっちりと聴かせ、主張を秘めながらそれが邪魔にならないホドの好さ、、。
追っかけになりそうだ。
会場を出ると外に立っていて、「良かったです、佐平次です」と、俺もひと言、向こうから手を差し出してグッと握り締めた。
HOOPさん曰く半影月食の月が皓皓と照る経堂の街を歩いて帰った。
初めての東京独演会、緊張してます。そういってニッコリ笑う、露の新治、よかったなあ。
人間て自分のことが大事なくせに自分のことは棚にあげちゃうんですね。交通渋滞にはまって怒るマイカー運転者(自分かて一員やないか)、選挙に行かないくせに選挙速報や投票率には興味があったり、エレベーターで重量制限を超えると最後に乗った人を責める眼でみたり、PK戦で失敗した選手を責めたり、、
みんなに責任があるのに、誰かの責任にして、可哀そうな人をつくる、、人生において出来るだけそういう人をつくらないようにしたいそれで、つい言わなくてもいいことを言ってしまうそうだ(新治は人権運動にも関わっている。HPをご覧ください)。
意味があるかどうかではなくて。
考えてみたら意味のないことばかりやって育ってきましたやんか、ずっと座高測り続けてきたり。ほんまやな、俺も化学の亀の子とか周期律表とか、一生懸命覚えたなあ。
Am I a boy?
こんなん習って、誰が誰に訊くのん?
今ァ、英語もしゃべられへん。
奈良の山奥に権兵衛さんという床屋さんがおりました。不便なところで年も取ったけれど引退しない。
朝起きて窓を開けると山の気が入ってくる。
人の気がいい。
みんなが床屋の仕事を喜んでくれる。
「権兵衛狸」の出、いままで聴いたことのない権兵衛の人物造型だ。
てんごう(いたずら)しよる狸を捕まえて天井からつるす。
訪ねてきた庄作は「狸汁にしよう」という。
それを聞いた狸の必死の目が権兵衛さんの目と、目と目があったら情が通う。
懲らしめのために頭をクリクリ坊主に剃って命は助けてやる。
どなたもご経験がおありでしょうが、生き物の命を助けると実にすがすがしい気持ちになりますね。涙を流してお辞儀をして去っていく狸。
その噺を村中に広める庄作、感じて集まる村の衆、それぞれ何かを持ってきて酒を飲む、酒は何を呑むかじゃなくて誰と呑むかだ。
孫たちに聞かせてやりたい落語、ちょっとお色気部分も含めてね。
岡大介・カンカラ三線
沖縄で米軍捕虜になった人たちが、配給缶詰の空き缶と米軍ベッドの廃材、パラシュートの紐でつくったサンシンで唄って生きた。
いきなり「骨まで愛して」で、「骨まで骨まで」は客に歌わせる。
「お座敷小唄」は男女に別れて。
唄っていたら何かが心にひっかかる。
そうだ、「富士日記」のなかに武田家の工事に来た人たちが宴会で唄うのがこの歌だった。
百合子さんも一緒に歌っているような気分で「すっちゃんちゃららかすっちゃんちゃららか」。
ついで演歌、演歌と言っても艶歌や怨歌、または金儲けの円歌じゃなくて、本来の演説歌。
「東京節」、ラメちゃんたらぎっちょんちょんのぱいのぱいのぱい、、。
民権論者の涙の雨で~、、「ダイナマイト節」
ァ、のんきだね~、添田唖蝉坊の「のんき節」、元祖を唄って、ついで自作の平成のんき節、訥々と語りながら真っ直ぐな歌声、底に怒りや主張がある、テナコトおっしゃいましたかね。
ふたたび新治「紙入れ」
意味のない言葉、やりとりでなんとなく済ませてしまうのってありますねえ。そんなマクラのあとネタに。
スーパーで出会った奥さま「あら、お買い物ですか?」、ほかに何の用があるねん。
道で「お出かけですか、どちらへ?」「はあ、ちょっと」「そりゃよろしいなあ」、なにがや。
ぼや~っとしていいもんですね、こういうの。
「よう知らんけど」、これはようつかわれますね。
亭主の留守にわりない仲になった新吉を呼び寄せるおかみさん。
世話になっている旦那に申し訳ないともじもじするけど、オカミサンが色気たっぷりに脅したりすかしたりするとひとたまりもない。
酒をついで新吉が飲むのを見守るカミさんの色気の迫力、おおこわ!
いよいよ、の場面、、ここは孫には聴かせられない。
いいところで旦那が帰ってきちゃってさあ大変、紙入れ置き忘れて逃げ出す新吉。
後悔、自責、不安、、新吉の懊悩が、聴いてるこっちも苦しくなるほど(だからやらなきゃよかった、って男はバカだね)。
翌朝、旦那にバレタかとこわごわ様子を見に来る新吉、なにも気がついていない旦那と珍妙なやり取りのあとカミさんが出てきて新吉に
そんなに心配せえでも、ええんとちゃいますやろか。よう知りませんけど、、色っぽく図太くマクラが活きた。
上方から江戸に下って名題になってもらった役が忠臣蔵五段目・「斧定九郎」。
端役、観客が弁当に夢中になっている弁当幕にやる役、名題のやる役ではない。
がっかりして上方へ帰ろうという仲蔵を諌めて激励するカミサン、「紙入れ」のカミさんとは違う貞女(超強いところは同じだけど)。
仲蔵が蕎麦屋で出会った落ちぶれた侍の風体・仕草に感じて、従来とはガラッと違う役作りに成功する。
その舞台描写と夫婦の喜び合うシーンが聴かせどころ・見せ所。
どちらも良かったが、今日は後者がとくに良かったのは狭いけれど温かな会場の空気のせいかもしれない。
稲荷町の正蔵が師匠の露の五郎に教えて下さって大胆にも上方でやり、弟子では新治だけが教えて貰ったというネタ。
東京で落語会をやることがあればやりたいと思っていたネタ。
今日、やっと夢がかなった、と噺のあとで語った。
その新治と仲蔵の姿が重なってみえた。
追っかけになりそうだ。
会場を出ると外に立っていて、「良かったです、佐平次です」と、俺もひと言、向こうから手を差し出してグッと握り締めた。
HOOPさん曰く半影月食の月が皓皓と照る経堂の街を歩いて帰った。
Commented
by
蛸
at 2012-11-29 15:24
x
ええ時間やね、濃いゎ、
0
Commented
by
fukuyoka
at 2012-11-29 19:16
x
下北沢ならともかく経堂に落語など聞かせるさばの湯があるのは驚きました。近頃はもっぱら経堂通いです。ツタヤがあり、本屋があり、そして美味しいお店も何軒かあります。さばの湯一度行ってみますね。
にぎわい座の兼好のチケットを先に取っていなければ、ぜひご一緒したかった会です。
追っかけるにはちょっと上方は遠いですが、そのうち聴きたい噺家さんです!
追っかけるにはちょっと上方は遠いですが、そのうち聴きたい噺家さんです!
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-29 21:59
蛸さん、ほんま温かくてこいい時間やったわ^^。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-29 22:02
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-29 22:03
小言幸兵衛さん、会場と客と噺家がぴったり合った一夜でした。
早く次を聴きたいなあ。
早く次を聴きたいなあ。
ホームページ「まいどおおきに露の新治です」管理人です。「ぼちぼちいこか寄席」の詳しいリポート、ありがとうございます。ホームページからリンクを張らせていただきたいと思います。ご了解くださいませ。
Commented
by
molamola-manbow at 2012-11-30 00:50
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 09:07
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 09:08
Commented
by
kuukau at 2012-11-30 09:48
命あるものは皆愛される資格がある。
人間も動物も幸せに生きられる権利を守りたいっ。
人間も動物も幸せに生きられる権利を守りたいっ。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 11:03
kuukauさん、理屈じゃないですよね、それは真実です^^。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 14:05
ほめ・く さん、民話の情感は扇辰といい勝負かもしれません。
物語の世界をつかんでいるのですね。
物語の世界をつかんでいるのですね。
Commented
by
かおる
at 2012-11-30 15:56
x
ご来場ありがとうございました!新治師匠良かったですね~☆本当にぜいたくな時間でした!2月もぜひよろしくお願いします(^o^)すでにぼちぼちアレです!?
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 22:26
かおるさん、2月も行きたいけれど、畳に座るのが辛いので泣く泣く、、。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-11-30 22:44
かおるさん、追伸、やっぱりがんばってみます。
メールしました^^。
メールしました^^。
Commented
by
tsuyuno_shinji at 2012-12-01 00:06
ありがとうございます!!盛り上がると思いますのでお楽しみに☆
Commented
by
福
at 2012-12-01 07:07
x
私が聴いたときも、マクラで「イズ ジス ア ペン?」なんて誰に聞く?と演って、盛んに笑いを取っていました。演目は矢張り「権兵衛狸」でした。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-12-01 09:55
tsuyuno_shinji さん、あっという間に2月になります。
楽しみがあるとなおのこと!^^。
楽しみがあるとなおのこと!^^。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-12-01 09:57
福さん、私も前に聴いたギャグですが、まじかなところで聴くと世間噺みたいな趣きがあって面白かったです。
Commented
by
かおる
at 2012-12-03 10:56
x
ありがとうございます!
さばのゆの後にドドドドドっとご予約をいただき完売になりました!!
繁昌亭HPに新治師匠のインタビューが載りました。こちらもご一読ください(^^)♪
http://eonet.jp/hanjotei/interview/
さばのゆの後にドドドドドっとご予約をいただき完売になりました!!
繁昌亭HPに新治師匠のインタビューが載りました。こちらもご一読ください(^^)♪
http://eonet.jp/hanjotei/interview/
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-12-03 12:49
by saheizi-inokori
| 2012-11-29 13:29
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(23)