魚座が最高の日 いろいろ得した一日 武田百合子「富士日記」のことなど

起きると如何にも雨が降りそうな空、濡れて来ぬうちにサンチと散歩。
カミサンが一緒に行くという。
このところ健康の回復もあって散歩づいている、いいことだ。
ひと口に柿と言っても、実にさまざまな形と色がある。
どれも美しい。
さいきん通っていないコースを取ると桜並木の落ち葉、ツワブキの黄色、ミツマタの蕾（？）、、変化があって興味がつきない。
始めは雨の降る前、朝飯前にちょっと、という気持ちだったが、空はむしろ晴れてくるし、では、あの銀杏並木の様子はどうなっているだろう、もう少し歩こう、、。
ちょっとアルコホリック（歩き依存症）の気味があるから、止まらない。
ここまで来たら頑張って駒沢公園にも。
この公園に来たら、大好きなこの木、やっぱ、いいねえ。
ジョギングしたり自転車に乗ったり体操の帰りか、けっこう人が歩いている。
帰り道もちょっと回り道、子どもたちがワイワイ、寄って訊いてみたら、４年生、サエと同じだ、今日は大根を抜きに来た由。
どこかその辺で朝飯を食べて帰ろうか、いいね、、でもやっぱり家で食べよう、、野菜たくさんのスープが食べたいもの。

けっきょく、８０００歩、二時間近く歩いて、早起きは三文の徳、いろいろ見られて、ちょっと得した気分の朝の散歩。
午後、図書館に行ったら「ご自由にお持ちください」の棚に落語関係の本が何冊かある。
以前、永井荷風の「断腸亭日乗」なども貰って帰って就寝儀式に加えている。

ちょっと欲張りかと思ったが、読めば許されるだろうと、あれもこれも返却本を入れてったバッグに突っ込んで帰る。
読みかけの大部な本をちょっと脇に置いて、貰って帰った本をあちこち読み散らす。
人形町末広の思い出、三木助、可楽など亡き名人たちの風貌・人となり、志ん朝を慕う人たちの想い、とくに三三の言葉、、あれもこれも面白い。
小学校の頃、友達から本を借りて（物々交換）帰って、早く読みたいときほど便所（と当時は言った）に行きたくなったあの気分。

かなり得した思い。
就寝前儀式・その２バージョンで「富士日記」を読む。
先日来、豆ママさんとブログの記事やコメントでこの本の話題が続いて、納戸の奥から引っ張り出してきた本。

数年前に読んだときも夢中になって読んだが、こんども面白くて目が覚めてしまう。
百合子さんの文章の魅力、そこに描かれる作家一家の別荘生活、しっかり結ばれた家族が日常のデテイルの積み重ねで築かれていることがひしひしと伝わってくる。
愛犬・ポコが足を怪我したかしてびっこをひいているのを娘の花が心配している記事など、以前読んだときには読み飛ばしたのだけれど、こんどはとても気になるのはサンチと暮らすようになったからだ。

豆ママさんに「百合子には狂気が隠れている」などと言ったけれども、今読むと清浄無垢、純真そのもの、そのどこに？そういう資質をまぶしく感じて狂気なんて思ったのか、我ながらよくわからん。

昭和４０年、自分のその頃と重ねあわせるようにして読んでいたら、突然、

まるで幕があがったばかりの「お夏狂乱」の舞台そっくり。一めんの、しいんとした、眼をみはるような菜の花畠。

という記述にぶつかった。
箱根の紅葉を書いた記事に豆ママさんが「百合子さんだったら、『お夏狂乱』といいますかね」というコメントを下さったのだが、俺はその百合子さんの言葉に思い当たるところがなかったのだ。
豆ママさんはあちこち探してみたそうだが見つからなかったという。
それにここでぶつかろうとは！

昨日は一日中、得した気分の日だった。
それもそのはず、魚座が最高の日だったのだ。
今、記事を書き終わって写真などをつらつら眺めていたら、「寄席の人たち」は読んだことがあるような気がしてきた。
自分のブログを検索したら、、あった！この記事。
いやはや、読めども書けども、すべて忘却の彼方だ。