ずっしりとした清らかな人生

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ストローを使って、奇想天外、ユーモアにあふれる動く楽器をつくり軽妙な語りとともに楽しい歌を演奏する神谷徹さん。
百人あまりの患者と職員、招待客たちは大喜びで、病院の講堂に笑い声が弾けた。

コンサートがすんだ後、友達の家で二人きりでずっと積もる話。
途中から奥さんも入って手作りの野菜の煮物、お浸し、刺身の盛り合わせをいただきながら話を続ける。
ふだんはビールしかのまないのに俺のために用意してくれた吉野川の酒がうまい。

イクタテを経て、父親からこの精神科病院を継いで三十年、ひたすら病院のために働き続けてきた。
祖谷など近辺の観光地のことを訊いても行ったこともない。
趣味はリコーダーをふくくらい、ゴルフは無縁なもの、ぼさぼさ頭、身を飾らない、学生の頃のストイックな、しかもキラキラと子供のように輝くマナコのまんまの友達だった。

病院は古かったけれど明るく、なにより看護師たちスタッフの笑顔が自然で、ああ、これがほんとの病院にあるべき笑顔だと思った。

医療だけでなく病院経営の責任者として、どちらかというと人付き合いの苦手な友達が、これだけの笑顔に満ちた病院を作り上げ維持し続けるのには大変な辛酸があっただろうし、強い使命感がなければやりとおせない。

高所恐怖症だからいまだに飛行機に乗ったことがないし、自動車の運転もしない。
さいきん金馬の全集を聴くようになったという。

心が温かくなりお腹も満たされて宿に向かった。
Commented by kuukau at 2012-11-10 10:23
壱岐線って徳島でしたか。。隣県人としてお恥ずかしい。
心温まるお話。
まだこんな方が医療現場にいらっしゃるのかと驚きです。
Commented by antsuan at 2012-11-10 11:04
心を病んだ日本の医療界ではその様な方は絶滅していたと思っていました。
Commented by takoome at 2012-11-10 11:37
サワディ〜カ〜
私はその方に阪神大震災直後に会ったことがある。
ボランティアでどこだったかの体育館で子供達にストロー笛を教えておられた。
目を見張りました。シンプルが大事。工夫が大事。
Commented by saheizi-inokori at 2012-11-10 18:17
kuukauさん、JR四国は大丈夫なんだろうか?
友達は福祉ホームも提供しています。
Commented by saheizi-inokori at 2012-11-10 18:20
antsuan、私の先輩が高知県でも精神病院をやっていますが篤実な立派な病院だそうです。
Commented by saheizi-inokori at 2012-11-10 18:23
蛸さん、あの頃に比べると遥かに進化した様々なストロー笛を作り、今やあちこちでプロとして活躍中のようです。
Commented by 小言幸兵衛 at 2012-11-13 12:28 x
佐平次さんのご友人の方の病院の素晴らしがが十分に伝わってきました。
ご友人の飾らない人柄は感動的です。
「医術」ではなく「算術」ばかりの病院が多いなか、ユートピアのような病院ですね。
今回、今松を蹴ってまで行かれた理由が、よく分かりました。
Commented by saheizi-inokori at 2012-11-13 13:12
小言幸兵衛さん、行ってよかったです。
近いうち、じゃなく^^。
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by saheizi-inokori | 2012-11-10 07:24 | よしなしごと | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori