堂々たる一之輔&さすがの昇太 春風亭一之輔独演会
2012年 10月 03日
一昨日、新宿紀伊国屋ホールで「春風亭一之輔独演会」(夜の部)。
11月から二つ目になることを嬉しそうに披露して、明るく元気な金明竹、ばっちりやった。
ところどころに自分なりの工夫もいれる。
オカミサンがちょっと長屋のオカミサンみたいになったのはご愛嬌。
一之輔「堀之内」
今日は昼夜二部興行、昼に二席をやってからの夜の二席だ。
彼のブログをみても毎日日本中を駆け回り早朝から深夜までよく働いている。
身体が大丈夫だろうかと、ついわが身に引き比べて心配してしまう。
もっとも俺も彼の年頃は徹夜の連続などもよくやったものだが。
真打になって何が変わったと思いますか?
客に問いながら答えていく。
芸?急によくなるものでもない。
師匠と呼ばれる?言ってる心の中ではそう思っていない。
弟子が取れる?くればね。
二つ目のときに弟子入り志願してきた”死んだサバのような目をした”男の噺、真打になったときになけなしの金を包んできたけれど、表の「お祝い」とある下が修正したあとがあってよく見たら「お呪い」とあった。
東京の人は自分がどんな鉄道路線に住んでいるかについて異様なステータスにしている人が多い。
さいきん粗忽な間違いが多くなったと失敗談を披露してネタにはいる。
延々25分を超えるマクラ、客を引っ張りまわして、堂々たるもんだ。
ネタ「堀之内」、軽くやるのかと思ったらどうして、これも30分近くたっぷり笑わせる。
大したもんだ、真打なり立てとはとうてい思えない。
いつも若く見える昇太だが、「生まれてきた時には大学に入っていた」と一之輔がいう、さすがに老けて見える。
しかしマクラでは若く見えることをネタに「こうみえても志の輔と同期です」。
富山県から夜行列車に乗って上京して民間会社を経て談志に弟子入りした重厚な志の輔に対して明るく開放的な静岡県から「東海二号」に乗って上京して柳昇に弟子入りした”薄っぺらな”自分を対比してみせる。
オリンピックの柔道選手たちが金メダルにこだわる姿をからかって、”国技”である大相撲のあのおおらかなところを見習え、オリンピックが4年に一度、しかもたった一日の勝負なのに相撲はしょっちゅう日本でやっているけれどいつもモンゴル、敢闘賞でもとればさも嬉しそうに、、。
どんなに情熱を傾けて頑張ってもダメな人はダメってことがあるんですね。
そういうこともあると考えてボクの落語を聴いてください。
どういたしまして、昇太師匠、「壺算」、よかったよ。
壺を買うちょっと間抜けな吉公が「負けてくれ」と頼み込む、首っ玉にかじりついて舐める攻撃、昇太一流のギャグも楽しく笑い転げる客席。
まだまだ一之輔になぞ負けるもんか、ってね。
噺家の世界も嫉妬が渦巻く、てなマクラからネタへ。
だいぶ前、二つ目時代に聴いた時よりずっとまとまりがよく、チンドンヤのチャラマンが口トンがらかせて拗ねたり理屈をいったりするのが傑作。
さて一之輔、これからどう伸びていくのか。
楽しみだ。
昇太さんは永遠のアイドルですね!「タイガー&ドラゴン」はとてもよかった。
私的には、昇太さんはテレビで見たい人、志の輔さんは落語会で聴きたい人、です。
昇太は落語が面白く、志の輔は司会がいい。
白が混じっているのが好きです。
それぞれのいろんな好みが落語界を支えてるんですね!