絶望せずに44年間戦い続けた布川事件のふたり 井手洋子「ショージとタカオ」
2012年 09月 28日
ショージ君、桜井昌司、1947年。
タカオちゃん、杉山卓男、1946年。
二人とも茨城県利根町生まれ。
1967年、強盗殺人事件の容疑者として逮捕される。
布川(ふかわ)事件だ。
”自白”と犯行現場付近におけるあいまいな目撃証言のみ、公判では一貫して否認、物証のないまま、無期懲役となる。
千葉刑務所で服役しながら1983年再審請求するも1992年最高裁で棄却される。
獄中から各方面に無罪を訴える手紙を書き、支援団体もできる。
1996年、29年ぶりに仮釈放、そのときショージ君は49歳、タカオちゃんが50歳。
今浦島として仕事を探しながら、2001年第二次再審請求。
弁護団の血のにじむような努力により、検察が隠していた資料を公開させ、独自に指紋採取の実験などを行い、無罪である証拠を探した。
2011年、仮釈放から15年、獄に繋がれてから44年ぶりに無罪となる。
ショージ64、タカオ65。
本書は主として二人が仮釈放になってからの生活・生き方をフリーの映像ディレクター・井手が自費で追いかけたルポ。
その成果は自主制作ドキュメンタリ―映画「ショージとタカオ」となって2011年3月劇場公開され、文化庁映画賞文化記録映画大賞、毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞など多くの映画賞を受賞した。
筆舌に尽くしがたい苦労の連続だったと思う。
そういうことも書いてあるのだが、全体にある種の明るさがあるのは二人のめげない独特のキャラクターがあるからだと思う。
獄中から発表した詩が支援者によって歌われもする。
(二子玉川駅ホームから、27日)
それにしても検察・警察がこうと決めたら普通の人間には脱出できそうもない。
佐野洋は「檻の中の詩」というノンフィクションで答える。
無罪なのになぜ自白したか?
そのときの彼らの心理には、今苦し紛れに”自白”しても警察は正義の味方だから、必ず間違いは正してくれるという信頼があったのだ。
自分の家でゆっくり風呂に入ることを始め俺たちが当たり前のこととしている日常の瑣事を、そのたびに
本書では警察・検察・裁判所は彼らに謝っていないそうだ。
文藝春秋
タカオちゃん、杉山卓男、1946年。
二人とも茨城県利根町生まれ。
1967年、強盗殺人事件の容疑者として逮捕される。
布川(ふかわ)事件だ。
”自白”と犯行現場付近におけるあいまいな目撃証言のみ、公判では一貫して否認、物証のないまま、無期懲役となる。
千葉刑務所で服役しながら1983年再審請求するも1992年最高裁で棄却される。
獄中から各方面に無罪を訴える手紙を書き、支援団体もできる。
1996年、29年ぶりに仮釈放、そのときショージ君は49歳、タカオちゃんが50歳。
今浦島として仕事を探しながら、2001年第二次再審請求。
弁護団の血のにじむような努力により、検察が隠していた資料を公開させ、独自に指紋採取の実験などを行い、無罪である証拠を探した。
2011年、仮釈放から15年、獄に繋がれてから44年ぶりに無罪となる。
ショージ64、タカオ65。
その成果は自主制作ドキュメンタリ―映画「ショージとタカオ」となって2011年3月劇場公開され、文化庁映画賞文化記録映画大賞、毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞など多くの映画賞を受賞した。
筆舌に尽くしがたい苦労の連続だったと思う。
そういうことも書いてあるのだが、全体にある種の明るさがあるのは二人のめげない独特のキャラクターがあるからだと思う。
獄中から発表した詩が支援者によって歌われもする。
それにしても検察・警察がこうと決めたら普通の人間には脱出できそうもない。
私はこれまで裁判というものを神聖なものと信じてきました。それゆえに期待を裏切られたショックは大です。真実の訴えは通らず、有罪とされ、警察検察の国家権力と予断をもった裁判官の力の大きさというものをしみじみと今程恐ろしく感じたことはありません。獄中から、作家・佐野洋にタカオちゃんが出した手紙の一節だ。
佐野洋は「檻の中の詩」というノンフィクションで答える。
無罪なのになぜ自白したか?
そのときの彼らの心理には、今苦し紛れに”自白”しても警察は正義の味方だから、必ず間違いは正してくれるという信頼があったのだ。
自分の家でゆっくり風呂に入ることを始め俺たちが当たり前のこととしている日常の瑣事を、そのたびに
なんて幸せなんだろうという、いじらしくなる。
本書では警察・検察・裁判所は彼らに謝っていないそうだ。
文藝春秋
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antsuan at 2012-09-28 12:13
わたしの場合は検事さんに正義感があったので不起訴になりましたが、悪意ある告発が権力側の常套手段である以上、裁判制度そのものを国民の監視下に置かなければなりませんね。
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saheizi-inokori at 2012-09-28 18:37
antsuan、裁判員制度も中途半端ですね。
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cocomerita at 2012-09-30 18:31
Ciao saheiziさん
イタリアでも、こういうこと日常茶飯事
検察にはめられたら、出口はないなと思わざるを得ません
読んでみたいです
で、観たいです この映画も
お二人のこれからが、幸多い、楽しい、安らかなものとなりますように
イタリアでも、こういうこと日常茶飯事
検察にはめられたら、出口はないなと思わざるを得ません
読んでみたいです
で、観たいです この映画も
お二人のこれからが、幸多い、楽しい、安らかなものとなりますように
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c-khan7 at 2012-09-30 21:22
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saheizi-inokori at 2012-10-01 10:13
cocomeritaさん、裁判所まで一緒になるんですからどうにも救いがないないですね。
彼ら以外に冤罪に服している人もいるのでしょう、この瞬間にも。
彼ら以外に冤罪に服している人もいるのでしょう、この瞬間にも。
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saheizi-inokori at 2012-10-01 10:14
c-khan7さん、まったくですね。
もっともショージ君だったかはもし冤罪で獄中生活を送らなかった暴力団の幹部くらいになっていたかもしれないというのですよ(本人が)^^。
もっともショージ君だったかはもし冤罪で獄中生活を送らなかった暴力団の幹部くらいになっていたかもしれないというのですよ(本人が)^^。
by saheizi-inokori
| 2012-09-28 10:40
| 今週の1冊、又は2・3冊
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Comments(6)