サンチの可愛さ＆一朝の楽しさ 第４３回「らくだ亭」

人生はいつも「これから」だ。

カッコ付きでしゃべったわけじゃないが、シャワーを浴びているときに聞いたラジオ、相田みつをみたいなクサイセリフでもツンと来る時があるものだ。

読み終わった本もあるし、昨日は新宿砂漠をさまよって（観たい映画の時間を外したものだから）、アウトローの映画を観てきて、それも書きたいような気がするが、なんだかアンニュイ、やっぱり熱中症が続いているのかもしれない。

朝はサンチの散歩をサボろうと思って七時過ぎに起きてサンチに「さあ、食べろよ」と言ったがじろっと見るだけで食わない。
しょうがないから、日焼け止めをたっぷり塗ってアイスノンみたいなのを首に巻いて長袖を着て散歩に連れて出た。
やっぱり嬉しそうだ、嬉しそうなのにしょっちゅう止まってなかなか前に進まない。
日影の川沿いの道、馴れっこになっているから、方向を変えて帰ろうとすると、すたすた歩く。
歩きたいのかそうじゃないのかよくわからない。

向こうから犬が来るとじっとお座りをして待つ。
今朝はどういうわけか、来る犬みんなにシカトされてキョトンとしていた。
暑くなったから飼い主が先を急いでいるせいもあるのかな。

帰って足を洗ってやって俺はそのままシャワーを浴びて出たのだがまだご飯に手を付けていない。
いつもご飯の前にやる「くるくる」、俺の周りを回らせて、たっちをさせて、お座りをさせて、お手をさせて、伏せをさせて、ヨシ！というと嬉しそうに食べてしまった、ウイ奴。
炎熱落語会シリーズの三日目・日本橋劇場「らくだ亭」は簡単に。

開口一番、神田真紅・講釈「桂昌院」
小袁治「水屋の富」
いろんな新しい噺家の新しい才能を見続けているとこの人のじっくりと話す古典が返って目新しい佳味を感じさせる。
富くじにあたった８００両の隠し場所に困る水屋、今は銀行があるからいいなあ、とんでもない銀行が一番やばい、ヤバイ世の中だぜ。

松鯉・講釈「怪談乳房榎　重信殺し」
なんと昨日喜多八のやった落語の続きだ。
松鯉も「今年は怪談が多い」と言ってたが、まさに。
喜多八の浪江よりワルになっている。
それにしても正介はなんで重信にちくることもせず逃げ出しもせずに殺しの手伝いをするのか。
騙されて浪江と兄弟分の盃を交わしたから義理にしばられたか。
蛇に睨まれた蛙のように正常な判断や行動ができなくなって浪江の言われるがままに恩ある主人の重信を呼び出したのではないかというのがここでもお会いした落語通の方のお見立て。
さん喬「皿屋敷」
「お菊の皿」という題でも知られている、こちらは”その後のお菊”が、「一枚、二枚、、」と毎夜やるのが興行化されるという笑いの怪談。
弟子の喬太郎のはだいぶ前に観て、それが喬太郎初体験で、こういう落語もあるのかとカルチャーショックだったが、今になると師匠の方が落ち着きがあって俺好み。

最後は一朝「たがや」
一之輔の披露興行が終わって弟子に後押しされたか一皮むけたような一朝、この噺は先日もマクラからさも楽しげに飛ばしていたが、今日は一段と、いや二段と楽しげに遊ぶが如くに両国の活劇を、漫画を観るように演じてみせた。
三夜連続の落語会の締めにふさわしい「たが～や～！」。