俺が星みた

武田百合子さんの本は「犬が星みた」だったかな。楽しいロシア紀行だ。
俺は小淵沢ペンションのベランダ。ハートランドビールをのんで蜩や鳥たちの声を聞いている内は夕焼け。
七賢の燗酒を野沢菜で飲んでいるうちにとっぷり暮れて手元を照らすキャンドルが心細い。

ふと空を見上げると、メイプルとニセアカシアの葉の間に、ひとつ、ふたつ、光ってみえるもの、星だ。
見ているうちに星の数はどんどん増える。

宿の若主人に訊いたら、待ってましたとばかりにスマホを持って現れる。
現在位置を入力して空にかざすだけで星座名や星の名がばっちり。
白鳥座、ベガ、ペルセウス、カシオペア、土星、火星、スピカは三連で、オオクマ座、蠍座、、興奮！

子供の頃、野尻抱影の星の本で覚えた星たち。

あの頃も星空は素晴らしかったはずだが、子供の俺には、ウマイ空気と同じように当たり前の存在だった。
ああ、孫たちを連れてくれば良かった！