山芋掘りの”おっしょさん”・セキヤンのこと
2012年 07月 24日
間もなく読み終わるジョン・アーヴィングの「あの川のほとりで」に登場する、ケッチャムという”リバタリアン”が魅力的だ。
新自由主義を目下の最大の敵とみなしている俺にして認める自然児にして本当の知性を備えた野蛮児なのだ。
朝の散歩をしていてセキヤンのことを思い出したのはケッチャムからの連想か、それとも土曜日の房総BBQの影響か。
セキヤンは勝浦に住んでいるのだ。
そうだ、5月に亡くなったゆきさんの仲間だから、お通夜に大原に行って以来心のどこかでセキヤンのことを想い続けていた。
現場の力持ち、出世するなんて彼の辞書にはない。
彼らとの楽しい飲み会を勝浦でやったとき、俺たちはセキヤンの家にワゴン車で乗り付けて、俺ががらっと玄関を開けたら、そこの土間のテーブルで家族が夕食の最中、きょとんとするセキヤン、奥さまと思しき人に「セキヤン借りてきますよ」と拉致したものだ。
笑顔の絶えない、いいおっさんだけど過ごすと癖が悪くなると聞いた(俺との機会ではそういう場面はなかったが)。
明日は山芋掘りに行こうということになって、それはセキヤンがオッショサンだ。
「ほんとにやるのか、さいごまでやるか」と念を押す。
傾斜地にある山芋を垂直に根気よく掘りつづける。
焦ると途中で折れてしまう。
天気の良い日でないと穴の中が見えなくなるのだ。
一緒にいったお嬢さんたちは”さいごまで”やれなかった。
しょうがねえなあという顔であとを引き受けたセキヤン、けっきょく三本くらいが彼の後始末に任された。
掘った山芋を折れないように木の枝に手際よくしばりつけて、「ほら、こうやって持っていくんだよ」とお嬢さんたちに渡すと、きゃあきゃあ言って喜んだあの子たち、今はいいおばさんだろう。
磯遊びをした時には、近くの魚屋で活きの良いカツオを一本買ってきて、岩の上で包丁一本、見事な刺身にさばいてくれた。
ありゃあ、手品とでも言いたいほどの手際だった。
ビールもうまかった。
海がキラキラと輝いて、まるで青春映画みたいだった。
(写真はすべて今朝の散歩で。こういう花たちに会わなかったら俺は毎朝散歩に出るのだろうか)
ケッチャムのような政治的な発言―フアッキン・クソバカ・ブッシュみたいなーはしない無口な人だった。
その彼が過ごして癖の悪い酒になったときに遭遇してみたいような気もちょっとある。
ゆきさんのお通夜を教えてくれた、かっつあんの話では、セキヤンも”ちょっと悪い病気”をしたらしい。
そういうかっつあんもガンを抑え込んでいるのだ。
ゆきさんと一緒じゃないと、やあやあと見舞いに行くほどの仲ではない。
元気で酒を飲んでいて欲しい、過ごさない程度に。
新自由主義を目下の最大の敵とみなしている俺にして認める自然児にして本当の知性を備えた野蛮児なのだ。
セキヤンは勝浦に住んでいるのだ。
そうだ、5月に亡くなったゆきさんの仲間だから、お通夜に大原に行って以来心のどこかでセキヤンのことを想い続けていた。
現場の力持ち、出世するなんて彼の辞書にはない。
彼らとの楽しい飲み会を勝浦でやったとき、俺たちはセキヤンの家にワゴン車で乗り付けて、俺ががらっと玄関を開けたら、そこの土間のテーブルで家族が夕食の最中、きょとんとするセキヤン、奥さまと思しき人に「セキヤン借りてきますよ」と拉致したものだ。
明日は山芋掘りに行こうということになって、それはセキヤンがオッショサンだ。
「ほんとにやるのか、さいごまでやるか」と念を押す。
傾斜地にある山芋を垂直に根気よく掘りつづける。
焦ると途中で折れてしまう。
天気の良い日でないと穴の中が見えなくなるのだ。
一緒にいったお嬢さんたちは”さいごまで”やれなかった。
しょうがねえなあという顔であとを引き受けたセキヤン、けっきょく三本くらいが彼の後始末に任された。
掘った山芋を折れないように木の枝に手際よくしばりつけて、「ほら、こうやって持っていくんだよ」とお嬢さんたちに渡すと、きゃあきゃあ言って喜んだあの子たち、今はいいおばさんだろう。
ありゃあ、手品とでも言いたいほどの手際だった。
ビールもうまかった。
海がキラキラと輝いて、まるで青春映画みたいだった。
ケッチャムのような政治的な発言―フアッキン・クソバカ・ブッシュみたいなーはしない無口な人だった。
その彼が過ごして癖の悪い酒になったときに遭遇してみたいような気もちょっとある。
ゆきさんのお通夜を教えてくれた、かっつあんの話では、セキヤンも”ちょっと悪い病気”をしたらしい。
そういうかっつあんもガンを抑え込んでいるのだ。
ゆきさんと一緒じゃないと、やあやあと見舞いに行くほどの仲ではない。
元気で酒を飲んでいて欲しい、過ごさない程度に。
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蛸
at 2012-07-24 13:09
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そんな豪快な連れが欲しいなぁ、こっちにはいないよ、
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saheizi-inokori at 2012-07-24 14:56
蛸さん、豪快というより柔和な人です、素面なら^^。
かっつあんの方が豪快かもしれない。
かっつあんの方が豪快かもしれない。
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tonkoid at 2012-07-24 15:15
今日、長居植物園でカメラを持った老人(私から見ても老人)とクロスしました。
老人「暑いですねぇ。大泉(緑地)、ここと、収穫なしですわ」
私 「鳥ですか?」
老人「鳥は飽きました。雑草の花です」
植物に関する科学的知識は豊富なようでした。しかし、おそらく、絵心では佐平次さんが優るようです。
私の収穫は、大野晋『上代仮名遣の研究』、100ページ読破。貧しいもんです。
老人「暑いですねぇ。大泉(緑地)、ここと、収穫なしですわ」
私 「鳥ですか?」
老人「鳥は飽きました。雑草の花です」
植物に関する科学的知識は豊富なようでした。しかし、おそらく、絵心では佐平次さんが優るようです。
私の収穫は、大野晋『上代仮名遣の研究』、100ページ読破。貧しいもんです。
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たま
at 2012-07-25 00:18
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「山芋」掘るときは、金環食のように「目的物」を「輪っか」の天頂につけて、自分の身体の直径だけの円周を描いて開始し、石ころの按配を考えてどちらの方向に曲がっているかを考えて「狸掘り」から「本掘り」に・・・。
モグラさんの土かきのつらさと自らの体重を思い知らされました由。
して、大量のイリコで出汁をとってから、それでおもむろにゴリゴリやりながら伸ばしに伸ばして・・・
あとは掻きこむだけ・・
口の周りが痒くなりそうです由。
モグラさんの土かきのつらさと自らの体重を思い知らされました由。
して、大量のイリコで出汁をとってから、それでおもむろにゴリゴリやりながら伸ばしに伸ばして・・・
あとは掻きこむだけ・・
口の周りが痒くなりそうです由。
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saheizi-inokori at 2012-07-25 09:05
たまさん、苦労して掘っただけの粘着力、掻きこむというより食べる感覚です。
かおりもいいですね。
かおりもいいですね。
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saheizi-inokori at 2012-07-25 09:07
きとら さん、なにをおっしゃいますやら^^。
血になり肉になる100ページでしょう^^。
血になり肉になる100ページでしょう^^。
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saheizi-inokori at 2012-07-25 09:09
tonkoidさん、犬の散歩が第一目標なのですが、それだけでなくいろいろ楽しみを増やすと意欲もわきます。
花や鳥、ほかの散歩者との他愛のない会話、、。
花や鳥、ほかの散歩者との他愛のない会話、、。
by saheizi-inokori
| 2012-07-24 11:22
| よしなしごと
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Comments(8)