東京には落語がある 「落語睦会 向日葵のゼントルマン」@国立演芸場

東京で待っていた猛暑、掃除機を引っ張り、洗濯物を片付け、茶碗を洗って、もう汗だく。
何もしないですんだ旅の空が懐かしい^^。

しかし、東京には家族がいて、サンチがいて、五羽のコガモがいて、落語が待っている。
田舎暮らしをしないわけの最たるものは落語かもしれない。
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永田町の長い階段を歩いて大山寺を想う。

花いち「壺算」
頭のてっぺんから声を出しておかまみたいな喋り方をする。

鯉昇「質屋蔵」
マクラのサンプル帳みたいにいろいろ話す。
台風で隣家の樹木が倒れてこちらの家屋に被害が出た時に損害賠償は、木の根っこが土地の中にあるかどうかで決まる。
浮いてしまったら、隣家は法的責任がない。
この噺、二度目、確かめてみようと(俺も昔は法律を学んだことがある)思いながらそのまま。
落語も噺家の口から出たらあとは聴いた客が気分が悪くなっても自己責任、だそうだ。

質屋蔵に出るお化けの正体を見届けてくれと頼まれた番頭と熊さん、どちらも臆病だから、細紐でお互いの腰を結んでひとりで逃げないようにして、出されたお膳に箸がついてないから二人そろって旦那のところにもらいに行く。
二見が浦みたいだな
大店の暗い廊下に、いい年をしたおっさんがふたり、細紐でつながれて立っている光景を想像したら、そのマジメな頼りなげな顔、、ははっ!今でも可笑しい。

45分近い熱演。
自分でも帯のエピソードのところで「話が長くなってすまんが」と合いの手をいれていた。
俺はさほど長すぎると思わなかった。
以前、池上で聴いたときよりいい出来だ。
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扇遊「試し酒」
館林が39.2度で関東も梅雨明け、三人とも暑さがマクラのマクラだ。

近江やがお供に連れてきた久造が5升の酒を飲めるかどうかで旦那二人が賭けをする。
自分の旦那が賭けに負けてはならじと気をもむ久造は朴訥にして忠義の男、すこぶるいい感じ。

武蔵野(=野、み尽せず=呑み尽せず)という一升入る大盃を飲み干していく。
一杯目、息をもつかず一気に。
二杯目、味をたしかめ、こんなうまい酒を飲んだことがない、ゆっくり飲もうと思っても酒の方から喉に入ってきてしまう、、
三杯目、そろそろいい気分、ドデエツ(都々逸)を連発しながら、、
四杯目、視点が変わってあっちの旦那が久造の飲みっぷりにたまげながら、ぐびっぐびっ、描写する。

五杯目、盃に口を近づけるとオクビが出そうになる、うちの旦那ァ~、心配しないでええよ、ちゃんと飲んでみせっから、、ええか、みてろや、今度は一気に飲むから、、と、ほんとに一気飲み。

賭けに敗れたあっちの旦那、
さっき五升の賭けに応じるかどうかと訊いたときに、ちょっと外で考えてくると言って出掛けたが、あの時なにか酒に酔わないマジナイでもしてきたのか
久造、笑って
ありゃ、何でもねえだよ、オラ五升と決まった酒を飲んだことがねえもんだから、外の酒屋でちょっと試しに五升のんで来たんだ
扇遊、端正にして明るい、五升を飽きさせずに見せててえしたもんだ。
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喜多八「青菜」
にこっとして
落語、やらしていただきます
柳好十八番、で柳好の遺族から使用許可をもらった柳好の口上だ。事情が分からない客たち(そんなにいなかったんじゃないか、オソルベキことに)、ほんとうは柳好(先代)に弟子入りしたかったことなど楽しそうに語る。

「鰻の幇間」をやるつもりだったが、、先の二人の噺を聴いて気が変わった、、若いころの夏の思い出などをダラダラやりながらネタを探っている。
その思い出話がツボ、二十代の頃はなぜあんなにビールがうまかったんだろう!んだんだ、海水浴に行って潮水呑んだあとの安いラーメンがうまかった!んだんだ、ラムネ!飲んだ後、いつゲップが出てくるか、すごかった、あのゲップ!んだんだ、、。

この時期、みんながやる、私はあんまりやらないけれど、やったもん勝ちのネタ、と腹が決まって、それでも一言二言あってから
植木屋さん、ご精がでますね
「青菜」が始まった。
軽妙で爆発もあって、そりゃもう楽しかった。

心なしか喜多八、少しやせた?
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あれだけ落語で刺激されたのに、我慢して一滴も呑まずに寝た。
Commented by hisako-baaba at 2012-07-18 14:52
素敵旅からお帰りになって、サンチちゃんとお散歩して、
落語会ですか。
悠々自適のご隠居様、羨ましい限りです。

試し酒も、鰻の幇間も、私は聴きに行ったこともないのに、なぜかストーリーを知っています。寄席に行きたくなりました。
Commented by junko at 2012-07-18 16:46 x
Ciao saheiziさん
saheiziさんの落語のように、こんだけ好きなものをじ分の人生で見つけられたsaheiziさんは幸せだなあと思います

>我慢して一滴も呑まずに寝た。
偉い! えらい! 
その調子 笑
Commented by チャコ&ミニ at 2012-07-18 22:07 x
柳好さんと言えば、私がsaheiziさんのブログを知るきっかけになった落語家さんです。去年の旅を懐かしく思い出しました。
テレビの旅番組や旅紹介ブログがささやかな楽しみの日々ですが、この夏は出張でまた上京できるかもしれません。
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-18 23:29
hisako-baabaさんは隠居なんて縁のない充実の毎日、それこそ羨ましいです。
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-18 23:30
junko さん、今夜はその分も呑んでしまった、でへ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-18 23:32
チャコ&ミニ さん、東京も見るところはたくさんあるけれど、地方の味あいがないのです。日本の根っこの味が。
Commented by poirier_AAA at 2012-07-19 00:18
日本はかなり暑いようですね。サンチはくるくる巻き毛でも夏バテしませんか?佐平次さんもどうぞお気をつけて。

こちらはようやくもうちょっとで30度だ!というところまで気温が上がり始めました。ようやく半袖で外に出られるようになって、青空の下でぐんと伸びをしている昨日今日です。
Commented by cocomerita at 2012-07-19 03:37
こらーーーーー!!
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-19 09:21
poirier_AAAさん、YOU MIGHT THINK BUT TODAY‘S HOT FISH!です。
知ってましたか^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-07-19 09:22
cocomeritaさん、ビール中ビン三本だけです。
昔なら10分もかからなかった量を一時間かけてのみました。
Commented by poirier_AAA at 2012-07-19 17:21
知りませんでした。
でも、うまいっ!上手すぎるっ!
今日の暑さかな、可笑しくってすっかりいい気持ちです。

Commented by saheizi-inokori at 2012-07-19 20:37
poirier_AAAさん、母に教わったんだったかなあ。
こういうのほかにもあるんでしょうね^^。
Commented by 創塁パパ at 2012-07-22 06:26 x
この、三人は「ある意味」今、一番聴いていて楽しいかも(笑)
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by saheizi-inokori | 2012-07-18 11:56 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(13)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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