台風が過ぎたから寄席に行こう 上野鈴本中席昼&不忍池

台風一過、サンチと散歩して、いろいろをササっとすませて、鈴本へ。
露の新治が出ている中席の楽日だ。
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アメ横、可愛い靴が並んでるのを横目に先を急ぐ。
入ると前座市助「道灌」をやっている。
ほぼ満員、売店で訊いたら団体が入っているとのこと。
行儀のいい団体だったのが救い。
恵比寿駅で買っていったお握り、おかかと昆布をガシガシと食う。
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(不忍池)

歯切れよくたたみかけるような家見舞。
お握りを食い終わった後でよかった。
ストレート松浦・ジャグリング
ボックス、お手玉、独楽、、生き物のように磁力を持っているように浮力を持っているように、不思議な動き、「お疑いですか?曲芸です」お馴染みのセリフなのに手品のように見える、スピーデイ、リズミカルな芸。
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白酒「金明竹」
三三の代演、チト残念だが白酒じゃしゃあんめい。
独演会と違って明るくさらっとしたマクラ、こっちの方が好きだ。
早口上方弁の口上、相当なスピードでそれ自体が芸になってるから繰り返されても苦にならない、と思っていたら、4度目の最後で噛んでしまった。
オカミサンが「さいごはちょっとごちゃごちゃして、、」使いの者「お茶が出ないからかんじゃった」。
オカミサンの旦那への報告も白酒独特の工夫が面白かった。
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喬太郎「仏馬」
酔っぱらった僧がつながれた黒馬に荷物を振り分けに担がせてお寺に帰し、自分は寝転がっていると馬の飼い主が現れる。
いや、じつは私は行いが悪かったために馬にされてしまった僧なのですが、やっと今僧に戻れました。
どこかで聴いた覚えがあると思ったら、喬之進のを落語研究会で聴いたのだった。
ホジャさんの物語のひとつ。
ペペ桜井
ハーモニカを吹きながら歌うっての、もういいよ。
どうしてもってなら一番だけにして。
ぞうさんぞうさん、お鼻が長いのね、そうよ、刑期も長いのよ
あかりをつけましょボンボリに、暗くてなんにも盗めない

刑務所慰問の童謡メドレーなど、くだらなくて世話がない。
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琴調・講釈「いかけやの松」
格差に目覚めて大泥棒になった鋳掛屋の息子の噺。
はん治「せなで老いてる唐獅子牡丹」
90の親分、酒も煙草も吸わず適度の運動に粗食の臭い飯、規則正しいムショ暮らしが長かったから、妙に丈夫になっちまって島荒しの落とし前をつけたいが、若ェもん・鉄が60、若頭は83、田舎で畑を作ってる仙蔵はぺースメーカー、施設にいる流れ星の銀次が外出許可証をもらって立ち上がる。
景気づけに大好きだった「唐獅子牡丹」を唄おうとするが歌詞を忘れて「義理と人情を保険にかけて、、」なんちって。
独特の末枯れた語りで笑わせる十八番。
久しぶり、久しぶりだから面白かった。
ホームラン
さいきんのってるね。
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お目当て中トリ、露の新治ひときわ大きな拍手に迎えられて、精子3億のうちのトップグループが討ち死にしたあと、偶然にも卵子と一緒になれたうすぼんやりした精子が人になるんやそうで、気楽に生きたらどうやろうか、と、そやね。
ちょっと夏らしいお噺をします、「お菊の皿」
鉄山がお菊を井戸端で折檻して惨殺するところは適度に恐ろしく、しつこ過ぎず。
若い連中が怖いもの見たさに寂しい姫路城下を歩く。
怖がりの男が抜ける(いぬる)と行ったときの連中の締め付け
いぬんやったら、これから友達やっていわんといてほしい
村八分による日本社会の結束統制もかくや。
一番後ろなのに、あとからピタピタ足音がすんねん

そりゃ、なんでもあらへん、影の足ゆうてな、ちょっと止まって、さ、お先に言うたら行くよ

は!そりゃもっと怖い!
お菊の幽霊が「一枚二枚、、七枚」でぎゃあっと逃げて(九枚まで聴くと祟られて死ぬ)、
怖かったなあ、ああ、こわこわ、、、明日もイコカ
スイカじゃないところが上方やね。

ああ、おもろかった!
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仲入り後、幕の前で市助ともう一人前座が携帯電源切りについての寸劇まがいのPR。
ダーク弘和の「奇術」は、本人も言う通り、どこが不思議なのかがわからないくらい不思議なロープの奇術だ。
BGMに「運命」をアップテンポなジャズにしたものを使って、ダークも髪型をすっきりさせて舞台のイメージが前よりシャープになった。
一之輔「夏泥」
浅草寺に忍び込んだ泥棒が仁王に屁を嗅がせて「臭いやつ」「におうか」という古典的マクラからすぐにネタに。
「殺せ~殺せ~」、泥棒を逆に脅して有り金、襟に縫い付けた一円札までぜ~んぶ、巻き上げる暗闇に寝ている男。
情けの熱い正義感に富んだ泥棒。
切れ味のよい、生き生きとしたやり取り。
文句なしに笑いましたぜ。
半蔵「桃太郎」
師匠の円蔵の影響大かな。
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(将棋をする人々、それを観る人、映す人)

遊平・かほり・「漫才」
マンネリも味のうち、切なさも味のうち、がんばれ。
トリはさん喬「唐茄子屋政談」
熱演、さいごの誓願寺店の貧乏な母親が首を吊って頑是ない子供が「もう人の食べてるもの欲しがらないから降りてきて」と足を引っ張る場面では涙をゴシゴシふいてるおっさんもいたくらい。

でも、助けてくれる叔父が唐茄子の駕籠を担げない所をカットするとか、その癖に、途中でかぼちゃを売ってくれる義侠心に富んだ男が「俺にもそんないい叔父が一人でもいたらこんなところにやさぐれちゃいねえ」などとつぶやいたり、カボチャを買うのが女ばかりのようで、あの「江戸っ子が唐茄子なんぞ食うかい」といろいろ言った上に、唐茄子の安倍川をバカ食いした居候時代を暴かれて、いざ買うとなったら「選んで買う」セコイ男が出てこなかったり、「遊びが過ぎて」というところを「勘当が過ぎて」なんちゃったり、、。
好きな場面やセリフを削られて不要なセリフがいくつも入って、間違いもあって、、。

ぜんたいに重くて、俺の好みにはちょっと、、。
といってもこれだけ充実した寄席もそうあるもんじゃない。
気持ちの佳い夕方不忍池を一周して、喉が渇いて「シンスケ」あたりで一杯ひっかけて帰ろう、と思ったが、ぐっとガマン。
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家に直帰。
退院以来、我が家でリハビリしている義母のリハビリ散歩に付き添った。
毎日少しづつ距離を伸ばしていくのが嬉しい。
歩くと食欲も出るし脳も刺激されていいことだらけだ。
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サンチと蝶は今朝の散歩から。
Commented by at 2012-06-21 19:00 x
皆、寄席に行って一息ついて、また歩き出せばいいのになぁ、
Commented by poirier_AAA at 2012-06-21 19:44
日本の子ども靴ってすごくカラフルなんですね。
本題とはずれたところでビックリです。

もう寒い季節じゃないでしょうに、雀がふっくらして見えます。
Commented by saheizi-inokori at 2012-06-21 20:08
蛸さん、そういう気持ちのない人が世界を壊しつつあります。
Commented by saheizi-inokori at 2012-06-21 20:09
poirier_AAAさん、この靴はアメリカのメーカーが多いんじゃないかな。
フランスは地味ですか?
Commented by 創塁パパ at 2012-06-23 10:15 x
新治、ますます聴きたくなりました(笑)
Commented by ほめ・く at 2012-06-23 10:35 x
姫路城にはちゃんと「お菊の井戸」がありますから、やはり上方の方がリアリティを感じます。
「偶然にも卵子と一緒になれたうすぼんやりした精子が人になるんやそうで」って、そうか、コチトラの頭が冴えないのはそこに原因があったか。
Commented by saheizi-inokori at 2012-06-23 10:44
創塁パパ さん、上方の縁のあるうちに^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-06-23 10:45
ほめ・くさん、私もあの井戸をみましたよ。
「気楽にいこうやないですか」新治はヤサシイ^^。
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by saheizi-inokori | 2012-06-21 13:52 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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