Ｂ君！Ｔ君が社長になったよ！

復元工事の完成まぢかの東京駅を八重洲側から見て、懐かしい通りをさまよって、一年に一度の集まりに。
２２年前に亡くなったＢ君を偲ぶ当時の戦友たちが飲む会だ。
そろそろ引退しようとしたが逆に１０年後にＢ君の墓のある四国に行こうということになって今年も俺の日程優先で決行。

ことしはビッグニュース、仲間のＴ君が今度の株主総会で社長になるのだ。
戦友たちは我がこと成れり、みたいに喜んで乾杯したのは当然。
が、いろいろ話を聞いているうちに、会社を守っていくことの大変さが今更ながら想像以上であることが分かって、お祝いなんだか、激励なんだか、さいごは慰めすらいう俺。

嬉しく頼もしかったのはＴ君がすべての苦難をよく承知していて、浮いた気持ちなど微塵もなく、死ぬ気でやると、俺と二人だけのときに言い切ってくれたこと。
おいおい、Ｂ君のあとは追うなよ、と心中つぶやきつつ酒を注いだ。
もうひとつ、ここに来るまでのあいだ、運転手に俺の戦争時（Ｔ君が社長になる会社設立時）のことを語って「今から行く集まりは、その人の集まりだ」と聞かせたんです、という。
人生を顧みて反省することのみ多い毎日だったから、素直に嬉しかった。
「今半」の牛肉。
散歩用のバッグとハンカチ。
前にも載せた花束。
子供たちから父の日のプレゼント。
これも嬉しかった。

なにかが起きては折れそうになる心に喝をいれてくれる。
ありがたいことだ。
梅の香りがするでしょう？
甘酸っぱい人生の香り。