うっとりした春團治の空間 東西最長老揃い踏み にっかん飛切落語会
2012年 06月 18日
今や、マジに落語がなければ生きていけない状態の佐平次。
忘れないうちに素晴らしい春團治のことを書こう。
「東西最長老揃い踏み」と題した第340回「にっかん飛切落語会」@イイノホール。
腹ごしらえはしないで日比谷公園を歩く。
団子より花、食欲もないし。
薄暮の日比谷公園、こんなにきれいだったか。
春團治は、翔丸「出来心」のあとに上がる。
薄藍というのか朧花色というのか、いっそホリゾン・ブルーとでもいうか、明るくすっきりして、ああ!きれいといいたくなる着物、白い紋に羽織の紐。
ゆっくり、ふつうに歩く姿が、もう、たまらない。
丁寧にお辞儀をして、すこししわがれた低い声で折り目正しく自己紹介をする。
上品な色気、暖かくちょっといたずらっぽい、とてもハンサムな千両役者。
すぐにネタ「代書屋」に入る。
権太楼の倍とも思えるくらいゆっくり、3分の2くらいのことしかしゃべらない。
東京でよく聴く「代書屋」と地名や人名を除けばほとんど同じで客は一人、米團治ので聴いた長いバージョンではない。
代書屋が硯をする手の動き、前に見た時よりも小さくなっているが、より美しくなった。
上半身の無駄のない動き、とくに手先の仕草が美しくて、耳をふさいで見ていたっていいくらいな美術品だ。
もちろん、そんなもったいないことはしないが。
客のあまりにも間抜けなのに、呆れたり、少しむっとしたり、同情もしたり、変化する代書屋の表情が、たっぷりした、完璧な間と相まって、たまらない。
温かく静かな爆笑、なんてのがあるとしたらこれだ。
春風駘蕩、しかも豊饒な滑稽という、他で見ることが出来ないものを形にして見せてくれた代書屋とガタロの問答。
終わってまた丁寧にお辞儀をして、立って羽織は自分で手にして、もう一度お辞儀をして、ため息の出るような余韻を後にして静かに去った。
82歳の春團治、至宝だ。
(松本楼)
春團治にこんな芸を見せられたら、あとに出る人は災難かもしれない。
現役最長老、87歳の米丸は、なかなかエンジンがかからず長~いマクラで、師匠の今輔やら人形町末広亭の思い出噺。
年を取ったら誰もがする思い出噺だが、ここまで年を取った人のそれは聴く者の幸せだ。
もう、噺には入らないかと思ったら「宇宙戦争」。
星新一のSFショートショートみたいな噺だった。
(明治時代の馬の水飲み)
仲入り後、ほんとうは松之助(86歳)のはずだったが休演ということで円楽が代演。
急きょの代演探しにみんな逃げてお鉢が回ったが「どやったらいいんでしょ」。
高齢の師匠たちの最後の高座を観られたお客様は幸せと聴きようによってはジョークでもないようなことを言って「船徳」
若旦那の徳さんが職人みたい、というよりもみんな同じように聞こえる登場人物。
今日は動きのあるネタがいいと思ったというだけに徳さんの竿を使ってカッコつけるところは動き満載。
(姉妹公園がある宮崎県から贈られた埴輪)
トリは圓歌「中沢家の人々」
83歳。
色艶もよくマルマルを肥えて身長は依然として伸びていない。
自家薬篭中の十八番、やっぱり笑わせた。
目出度い長寿三人の高座、たしかに幸せな落語会だった。
忘れないうちに素晴らしい春團治のことを書こう。
腹ごしらえはしないで日比谷公園を歩く。
団子より花、食欲もないし。
薄暮の日比谷公園、こんなにきれいだったか。
薄藍というのか朧花色というのか、いっそホリゾン・ブルーとでもいうか、明るくすっきりして、ああ!きれいといいたくなる着物、白い紋に羽織の紐。
ゆっくり、ふつうに歩く姿が、もう、たまらない。
丁寧にお辞儀をして、すこししわがれた低い声で折り目正しく自己紹介をする。
上品な色気、暖かくちょっといたずらっぽい、とてもハンサムな千両役者。
すぐにネタ「代書屋」に入る。
権太楼の倍とも思えるくらいゆっくり、3分の2くらいのことしかしゃべらない。
東京でよく聴く「代書屋」と地名や人名を除けばほとんど同じで客は一人、米團治ので聴いた長いバージョンではない。
代書屋が硯をする手の動き、前に見た時よりも小さくなっているが、より美しくなった。
上半身の無駄のない動き、とくに手先の仕草が美しくて、耳をふさいで見ていたっていいくらいな美術品だ。
もちろん、そんなもったいないことはしないが。
客のあまりにも間抜けなのに、呆れたり、少しむっとしたり、同情もしたり、変化する代書屋の表情が、たっぷりした、完璧な間と相まって、たまらない。
温かく静かな爆笑、なんてのがあるとしたらこれだ。
春風駘蕩、しかも豊饒な滑稽という、他で見ることが出来ないものを形にして見せてくれた代書屋とガタロの問答。
終わってまた丁寧にお辞儀をして、立って羽織は自分で手にして、もう一度お辞儀をして、ため息の出るような余韻を後にして静かに去った。
82歳の春團治、至宝だ。
春團治にこんな芸を見せられたら、あとに出る人は災難かもしれない。
現役最長老、87歳の米丸は、なかなかエンジンがかからず長~いマクラで、師匠の今輔やら人形町末広亭の思い出噺。
年を取ったら誰もがする思い出噺だが、ここまで年を取った人のそれは聴く者の幸せだ。
もう、噺には入らないかと思ったら「宇宙戦争」。
星新一のSFショートショートみたいな噺だった。
仲入り後、ほんとうは松之助(86歳)のはずだったが休演ということで円楽が代演。
急きょの代演探しにみんな逃げてお鉢が回ったが「どやったらいいんでしょ」。
高齢の師匠たちの最後の高座を観られたお客様は幸せと聴きようによってはジョークでもないようなことを言って「船徳」
若旦那の徳さんが職人みたい、というよりもみんな同じように聞こえる登場人物。
今日は動きのあるネタがいいと思ったというだけに徳さんの竿を使ってカッコつけるところは動き満載。
トリは圓歌「中沢家の人々」
83歳。
色艶もよくマルマルを肥えて身長は依然として伸びていない。
自家薬篭中の十八番、やっぱり笑わせた。
目出度い長寿三人の高座、たしかに幸せな落語会だった。
Commented
by
創塁パパ
at 2012-06-18 18:34
x
いやあ。すごい会でしたね。松之助師は米朝師と同い年でさすがにもうなかなか高座は難しいでしょうね。円楽はきらいですが今回は同情します(苦笑)やはり、三代目は「綺麗」ですよね。
最高です!!!
最高です!!!
0
Commented
by
c-khan7
at 2012-06-18 19:28
x
「代書屋」の後に金毘羅・・・・・?
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-06-18 22:39
創塁パパ さん、ことしはあとは付録、もういいや、というほどの出来でした。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-06-18 22:40
c-khan7 さん、米丸はショウウインドウみたいな感じでした。
やはり春團治が凄かった。
やはり春團治が凄かった。
Commented
by
saheizi-inokori at 2012-06-18 22:42
豆ママさん、金比羅さんが出るのは辛いくらいな春團治の素晴らしさでしたよ。
by saheizi-inokori
| 2012-06-18 14:10
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(6)