元は落語だった 人形町で聴く「雲助×小里ん 髪結新三」
2012年 05月 15日
久しぶりに人形町、一か月も行かないと久しぶりなのだ。
ウメボシを買って、第二金曜日、ふれあいデーの100円銭湯に入ってぶらぶら。
水天宮の後ろに時間外参詣の入り口があるのに今頃気がついた。
中老の夫婦が撫でていたけれど、あれは孫が無事産まれますように。
前座「市助」のあと、まず、小里んがあがって「発端から永代橋川端」までをやる。
この落語会、いったんは来ないつもりだったが、東京かわら版で長井好弘が小里んのことを
今頃になって、柳家小里んの高座が猛烈に面白くなった。そのわけは
何てったって、柳家の王道だ五代目小さんそのままの芸風と容貌で、極上のあっさり加減、、なんて書いてあったから、そうだとも、小里んがいたよな、小里んを聴かなくちゃ、とミーハーの血が騒いだのだ。
もう売り切れかと思ったら買えた、買えたどころじゃない、ガラガラだった。
発端を淡々と語る。
紀伊国屋文左衛門、その番頭庄三郎、白子屋、女房お常、その娘お熊と手代の忠七のわりない仲、放蕩息子の庄之助、、前置きに出てくる人名とその関係が聞き取りにくい。
どのエピソードもあとで利いてくるのかと思うから聞き逃すまいと力が入ってしまった。
なに、あとから見ればハナのそれは聞き流していればよかったのだ。
髪結新三がお熊を騙してかどわかし、口から出まかせ、美味しいことを並べ立てて手代の忠七を連れていくあたりから俄然面白くなる。
小里んの淡々とした語り口が変わるわけではないが。
新堀まで来て降り出した雨、相合傘から忠七を置いてけぼりにして一人先に歩く新三、待っておくれよ、ぬれるじゃないか、とすがる忠七、高座の明かりが暗くなり、新三の本性がギラリと現れる。
不断は帳場を回りの髪結、いわば得意のことだから、芝居掛りで前段を締める。
うぬのような間抜け野郎にも、ヤレ忠七さんとか番頭さんとか上手をつかって出入りをするも、
一銭職と昔から下がった稼業の世渡りに、にこにこ笑った大黒の口をつぼめた傘も、
並んでさして来たからは、相合傘の五分と五分、轆轤のような首をしてお熊が待っていようと思い、
雨の由縁にしっぽりと濡るる心で帰るのを、そっちが娘に振りつけられ弾きにされた悔しんぼに、
柄のねえところへ柄をすえて、油紙へ火のつくようにべらべら御託をぬかしゃアがると、
こっちも男の意地づくに覚えはねえと白張りのしらをきったる番傘で、
うぬがか細いそのからだへ、べったり印を付けてやらア
ロビーにはこの噺のあらすじや、初鰹、車力、一両の価値、、などを解説したコピーが掲示されている。
こちらはもう何度も見ている雲助大得意の芝居噺。
からりと晴れた5月5日お節句。
車力(車引き)の善八とカミさんの滑稽なやりとり、大親分の弥太五郎源七と新三のかけひきは圧倒的に新三がかっこいい、割って入る大家の長兵衛が最高、狡くて腹も座って、さすがの新三も手玉に取られる。
いくら売出し中の悪党だとて町の主にはかなわない。
初鰹一匹が二分ニ朱だって、45000円!
女房を質に入れても追っつかねえ。
壺算みたいなやり取りが笑わせる。
最後に閻魔堂の名調子
源七:まだ駆け出しの遊び人、盆の見えねぇ手前だから、落語会主催のいたちやさんのブログから頂きました。
こうばっかりじゃぁ読めなかろうが、いつぞやおれが白子屋から拠なく頼まれて、
娘を貰いに行った時、扱い金を顔に打ちつけ、恥をかかせた意趣返し、
その時いっそ一思いと二三度家は出かけたが、
いい年をして大人気なく、小僧ッ子あがりの手前を相手に、
組んで落ちるも智恵がなく、売った喧嘩を買わねぇのも此方の盆が高いゆえ、
今日まで我慢をしていたが、臭ぇもの身知らずと、取り合わねぇのをいいかと思って、
世間へ出ちゃぁおれが事を、意気地が無ぇの腰抜けのと、
言い触らし歩くとやら、人の噂を聞く度に癪に障って今日此処で、
焼の廻った源七の刃鉄が切れるか切れねぇか、
命を賭けての遣取りだ。受けられるなら受けてみろ。
新三:その仕返しは今日来るか、明日来るかとあの時から、
毎日待っていたところ、幾日経っても来ねぇから、
尻腰の無ぇ親父だと、手前の子分に逢う度毎、言伝同様悪く云った、
聾近えその耳へようやくそれが聞えたか、雨の降るのに深川まで、ぼくぼく足を運んで来たは、耄たようでも流石は源七、命を捨てによく出て来た。
源七:なんと。
新三:ちょうど所も寺町に、娑婆と冥途の別れ道、その身の罪も深川に、
橋の名さえも閻魔堂、鬼といわれた源七が、ここで命を捨てるのも、
餓鬼より弱い生業の、地獄のかすりを取った報いだ、
手前もおれも遊び人、一ツ釜とはいいながら、黒闇地獄の暗闇でも、亡者の中の二番役、
業の秤りにかけたらば貫目の違う入墨新三、こんな出合いもその内に、てっきりあろうと浄瑠璃の、
鏡にかけて懐に隠しておいた此の匕首、刃物があれば鬼に金棒、どれ血塗れ仕事にかかろうか。
源七:いかに所が寺町とて、まだ裏盆も来ねぇのに、聞きたくもねぇ地獄の言立て、
無常を告げる八幡の死出の山鐘三途の川端、あたりに見る目嗅ぐ鼻の、人の来ぬ間にちっとも早く、冥土の魁さしてやろう。
小満んの「江戸東京落語散歩」が役に立つ。
人形町の近くが多い。
こんどはこっちを歩いてみようか。
http://ameblo.jp/beans-cafe/entry-11242494082.html
サンチは無理かな^^。
このからくり時計みたことがあります~。
この水天宮があるところが人形町なのですね!
お友達に散歩に連れて行ってもらいました。
二人でのんびり歩いていたら、あのからくり時計が動き出してふたりでたのしくみていたことを思い出しました。
戌の日にちなんでワンコがたくさんなのでしょうか?
相変わらず落語の話でなくてすみません(汗
いつもありがとうございます。
落語や小説でおなじみの地名、今度はその噺に沿って歩いてみたいと思います。
豆太はいったんですね^^。