花見酒を飲んで夢で百両 J亭落語会「柳家三三独演会」
2012年 04月 02日
JTホール、昔の専売公社ビルには行ったことがあるが、こんな立派なホールが出来ていたとは。
あの頃は36階建てビルが前に聳えてあたりを睥睨していたような気がするが今はどこにあるのか分からないくらいに高層ビルばかりだ。
寄席に出ているのだからそこに行けばいいのだが俺の方も忙しい、遊ぶのに。
嬉しいことに開口一番が朝太「唖の釣り」。
菊六と一緒に今秋真打抜擢の期待の星だ。
丸いからだと丸い顔、芸風も丸く人懐っこく、一之輔、菊六とは対照的。
与太郎をやらせると噺家のキャラが生きてなんとも心休まる与太さんになる。
三三があがって、朝太に比べて細身の自分だが実は人一倍大食漢で前の小さんに指名されて食べるお供をしたこと、それには大食漢のせいもあったが「小多け」という前座名(小さん、小三治もそうだった)のせいもあったかと、その証拠に三三になったらお呼びがかからなくなったと、罪のないマクラがいいね。
仕事は良くするけれど、理屈っぽくて主人の言葉の一つひとつの揚げ足を取って喜ぶ手代を懲らしめようと「し」の入る言葉を使ったら罰金というゲームを仕掛ける。
主人が仕掛けた罠をなんとかかいくぐって逆に主人に言わせてしまい、罰金をもらうのだが、、。
話し終わって「短いけれどやってる間中、とても緊張します」と笑い、続いて河津桜のことなど話して「花見酒」。
スッカンピンのふたりが向島の花見客を相手に酒を売ってひと儲けをたくらむ。
三河屋の番頭にワケを話したら快く灘の生一本を三升、かけで売ってくれた。
つり銭用として十銭、それも呆れながら貸してくれた。
張り切って酒を入れた樽を担ぐふたりだが天気は良し、喉は乾くし、後棒には樽の酒の匂いがもろにあたって、我慢ならない。
金を払えばお互いに客だ、と借りた十銭がふたりの間を行ったり来たり、そのやり取りが愉快で、酒にありついてお約束の喉を鳴らすさまなどが見どころだが、つまるところは金は増えないけれど酒は空になる。
半世紀も前のこと、笠信太郎という朝日新聞の論説委員が「花見酒の経済」という本を書いて日本経済の底の浅さに警鐘を鳴らした。
もちろんこの落語に由来する比喩だ。
中身の詳細は忘れたが、なんとなく巧い表題だ。
落語がえらいのか、かつての朝日の記者がえらかったのか。
休憩後は三三「夢金」。
雪の降りしきる隅田川を舞台に欲張り熊という船頭と駆け落ち途上の娘を切り殺して懐中の金を奪おうとする不良浪人の物語。
敢えて季節外れのネタに挑んで、船頭が船を漕ぎながらの一人ごとに賤しさをにじませ、共犯を持ちかけられたあと、機転を利かせて娘を救うところに根っこの健全な人間性がうかがえてほっとさせ、いい出来でした。
これから何度か三三を聴く予定。ほんとはもうちょっと後にとっておきたかったんですが。
JTホールは何年か前に行って、その細長さに驚きました。ちょいと見づらくありませんか?
サンちゃんお孫さんに抱っこされて嬉しそう~(^-^)
サザエさん一家と記念撮影ですね!
満開の梅で鳥さんがかくれんぼでしょうか~
私は、花見酒ならぬ花見団子がとても楽しみです~(^-^)/
風流だなあ^^。
今や「花見酒の経済」真っ盛りで、実態が落語を追い越してしまいました。
落語は先見性が、いや、人間に対する洞察力がありますねえ。
私は「締め込み」を練馬で聴きました。まだ書いてませんが(苦笑)
剛直、もしかすると一番小さんに近いかも。