恐るべし菊六 よこはま菊六開花亭

すでに今日は橋下のことを書いた↓がやっぱり昨日の菊六のことを書きたい。
桜木町に着くと
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ベイスターズファンのヨッシーの顔が浮かぶ。
菊六はマクラで今春の風物を楽しく歌い上げた中で「中畑監督はカラ元気出してますし、、」と口を滑らせて「これは高座の上の、、むにゃむにゃ」、殿、殿中でござるよ。

今秋、28人抜きで真打昇進が決まっている菊六、会場の「のげシャーレ(小ホール)」、駅の近くを散歩していた俺が入ったときは席を探す(自由席)のに苦労したほどの入りだ。
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(桜木町駅近く「ばる」で塩サバのおろしかけ定食、850円を奮発、うまかった)

前座、林家扇が前座5年目ですがことしも二つ目にはなれないことがはっきりしました、と言って語った「金明竹」、同じ上っ調子で4回「兵庫の坊主の屏風」を聴かされるのはつらいけれどお後の楽しみがあるので我慢の子。
マルコメも真っ青、青々と剃り上げた菊六の着物はいつも素晴らしい。
低いゆっくりした話し方で、AKBの「エブリデイカチューシャ」が甲子園の入場行進曲とは軟弱だと憤慨してみせたり中畑のカラ元気とかダルビッシュや小泉の息子の”名言”を誉めて、ケチに関わる金槌や扇子とか鰻の匂いなどお馴染み中のお馴染みの小噺を丁寧にやって(馴染の噺で笑いを取るのは力がある証拠)入ったのは、「片棒」
ケチで一代を築いた親父が三人の息子の誰に身代を譲るかの試験問題は「俺の葬式をどうやるのか」。

長男・金はお通夜を二日やって、築地本願寺か増上寺あたりで3800人招んで、黒漆のお重(金紋)にお土産を持たせお車代をたっぷり持たせる、そんな葬式、俺が出たいよ、このバカモノ!
二男・銀の造型が傑作、タメ口、軽薄極まる調子で提案したのは、頭連中の木やりに先導され、手古舞い、オトッツアンの人形を乗せた山車がにぎやかな神田囃子で行列を作り、さいごは花火が打ち上げるという”破天荒、未曽有、女っ惚れのする、いなせな”葬式。
山車の上のオトッツアン人形が算盤はじくクッククッという動きが、ラシクってオトッツアン本人を除いて爆笑。
末っ子、鉄はニヒル、葬式の案内時間の前に出棺してしまえば食べ物も出さなくていいし、お棺を買うのはもったいないから菜漬の樽で代用、新聞紙を詰めて担ぐのは私と、、もう一人は人夫を雇って、といえばオヤジが「片棒は俺が担ぐ」。
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志ん公「宿屋の富」
昨日落語研究会で聴いたばかりの二つ目、
菊六さんの少し先輩にあたるんですが、、、菊六さんは品があってお坊ちゃんに見えてお坊ちゃんでいいものを着て神経が太いのか、先輩たちにもタメ口をきくんですよ、、
一生懸命話して好感が持てたが、たしかに菊六が先行するのはやむを得ないだろう。
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休憩後はふたたび菊六で、志ん公の酒好き、今夜はぐずぐずになっちゃうだろう、などとちょっと触れてさっきのお返しをして、
大工の熊五郎、腕はいいのですが、酒にだらしがない、昼間っから一本つけて、、一本で済むわけがない、
「子別れ~子は鎹」に入る。

おたなの番頭と木場に向かいながら、熊が飲んだくれて連れ込んだ女郎が飯も炊かなきゃ掃除もしないいちんち寝てるばかり、追い出そうと思ったら向こうから出て行って、今じゃ、きっぱり酒を止めて仕事一筋、そうなると別れた女房、とりわけ息子のことが気になる、などと話していく。
人柄のよいわけしりの番頭に問われるままに心情を訥弁に吐露する熊さん、いい感じ。

そこに、何たる偶然がハップン、向こうから来るのは亀(息子)じゃないか。
お~い、亀!ここだよ、走ってくる亀、迎える熊、動物園でも見られない感動のご対面だ。

オッカアがまた好かった。
貧しさに身を窶してもきちっとした人の道を通して子育て、熊のことを聞けばたちまち女としての素朴な色香も取り戻す。
まっこと熊の野郎、なんでこんないい女房を捨てたんだい!

鰻やの段、涙を強いるじゃないけれど胸の奥にじんとくる親子三人の再出発のシーン。
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トリネタふたつ、どちらもまったく破綻なくみごとに仕上げた菊六恐るべし。
抑えに抑えて、余計な今風のギャグはなし、ときには声を出さずに昂じる気持ちを伝える。
ドンドン引き込まれる俺。
桜開花はもう少しだが菊六は早くも全開のたたずまい。
端正な全開だ。
秋の真打披露はぜひ行ってみたい。
Commented by antsuan at 2012-03-30 16:36
台所で聴いたのはこの「子別れ」。
うちのカミさんももう少し旦那を立ててくれないかなぁなんて言ったら、きっと玄翁でたたかれてしまいますね。(笑)
Commented by 旭のキューです。 at 2012-03-30 16:55 x
菊六さん、テンポのいい喋りですね~
Commented by tocotoco-o3po at 2012-03-30 21:37
こんばんは!
この子はスターマンです~。初めてみました~(^-^)/

ホッシー君たちは、卒業してスターマンになったのですね。

うちの球団のクラッチ君は、特技がマジックです(笑
Commented by saheizi-inokori at 2012-03-30 23:31
antsuan、理想のカミさんを現実のカミさんに押しつけてはお気の毒ですよ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2012-03-30 23:32
旭のキューです。さん、お!あなたも菊六聴きましたか!
嬉しいなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2012-03-30 23:33
tocotoco-o3poさん、スターマン、なるほどね、ちょっとメタボのスターですね^^。
Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-31 10:26 x
のげの“地下秘密倶楽部”は、大いに盛り上がったようですね。
菊六の将来は、非常に楽しみです。
私も秋の襲名披露興行には、一日でもいいので駆けつけたいと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2012-03-31 11:33
小言幸兵衛さん、無駄のない本格を徹底的に磨きこんだあとで何が出てくるのか?楽しみですね。
Commented by 創塁パパ at 2012-03-31 22:54 x
佐平次さん。菊六もベイを応援してくれるなんてうれしいです?
志ん公は志ん五のお弟子さん。期待していますよ。志ん八よりもね(笑)菊六、期待ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2012-03-31 23:03
創塁パパ さん、今日は負けてしまいましたけど明日がある、ね^^。
Commented by ほめ・く at 2012-04-02 08:56 x
落協の今年の新真打、みな数字に縁があります。一之輔、菊六、朝(兆)太。だから何だと言われても・・・。
秋の真打披露は二人なので、2回行かなくては。こりゃ忙しい。
Commented by saheizi-inokori at 2012-04-02 09:53
ほめ・く さん、やっと5月の国立、一之輔トリを予約しました。
疲れきっているかもしれないですね^^。
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by saheizi-inokori | 2012-03-30 14:35 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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