そこまでアメリカに追随するのか アリアナ・ハフィントン「誰が中流を殺すのか」
2012年 03月 21日
そこには階級が二つしかない。富める者とその他大勢だ。メキシコやブラジルのことを思い起こせばわかるだろう。富める者は要塞のような家に住んでいる。マシンガンを持った警備員がいて、子どもが誘拐されないよう見張っている。著者は、1950年、アテネに生まれケンブリッジ大学に学び1980年からアメリカに移住。
歴史に取り残された場所。外敵ではなく、国内企業の強欲と政治指導者の無視に蹂躙された場所。それが第三世界だ。
共和党下院議員と結婚、その後離婚して急激にリベラル寄りになる。
2003年カリフォルニア州知事選にシュワルツネッガーに対立して立候補、投票日の一週間前に撤退する。
ブログメデイア「ハフィントン・ポスト」を立ち上げ、2011年には月間ユニークビジター数が3560万人に達する”ネットメデイアの女王”。
2006年と2011年にタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、2009年には英フィナンシャル・タイムズの「2000年代をつくった50人」に選ばれた。
著者は、今やアメリカは第三世界への坂道を転げ落ちつつあると、その症状を具体的にうんざりするほど次から次へと列挙する。
誰が?政治家=財界の強欲、これも具体的に名指しする。
なんども名指しされる”大立者たち”、とくに金融界の不徳義ぶりには読んでいて腹が立つ。
道路、橋、水道、下水道、交通、電気、、インフラもボロボロ、、”憧れのアメリカ”は幻の彼方へ消えて今はいつ崩落するかもわからない。
なによりも社会のインフラである中流層が猛烈な勢いで消えつつある。
昨日までアメリカンドリームを成し遂げて夢と希望に満ちていた人々を襲う突然の失業、破産、家の差し押さえ。
中流層を救うための立法が企てられても多くは上程すらできず、できた場合であっても財界ロビーストたちによって骨抜きにされたのちのことだ。
意味のないイラク・アフガニスタンなど軍備・戦争に莫大な金を使い、見て見ぬふりをし続けたことによって破産するメガバンクを、つぶせないほど大きいからという理由で莫大な金で救うけれど、絶滅危惧種と化した中流層の窮状を救うための金はむしろ削減している。
人々の不安、苦しみや絶望、怒りは、妄信・妄想と結びつく。
分かりやすい「物語」を創りだし、スケープゴートや敵をつくりだす。
危機の背後にある真の原因を明らかにせず不安や不満に迎合するメデイアが火に油を注ぐ。
著者は、今や政府は中流層を守ってくれないのだから、自らが「この国を取り戻そうという決意」を固め、そういう声を自ら(メデイアに頼らず)広めることが必要だという。
たとえば強欲なメガバンクから預貯金を引き揚げて地元の信用組合に預ける運動はかなりの成功をみたようだ。
仕事をなくして途方に暮れるのではなく、増えた自由時間を使って、むしろ他人のために動くことが社会が活性化されると説く。
アメリカだけのことではないことはよくわかる。
日本のことかと思うような記述に接する。
さて政治家・財界のお偉方はここでも対米協調、日本も第三世界にお供するつもりなのだろうか。
まっぴらごめん!我々も声をあげようじゃないか。
阪急コミュニケーションズ
背景や女性が主宰していたなどとは知りませんでした。
まずはこの本からですかね。
スケールの大きな女性ですね。
私の弟みたいな奴が車の仕事でそのアメリカに行く。
心配だが、ここまでやって来たんだ。サバイブすると信じている。
しかし、アメリカの事を知れば知るほど・・・;;
とは別に、自分のサイトにアクセス制限がかかって難儀してます。;;
あ、いえいえ怖いです。未来の事を考えると。
そのアメリカが重症だとすると日本もタイも、、いったい?
アメリカってそんなに良い国なのか?って、何でもかんでもアメリカの
物をありがたがる姿勢もういい加減やめたら良いのに。。
見えていても見えないのですね、自分の関心のあることしか。
しかし、中流の復活には道徳の復活が不可欠だと思うのですが、どうやったらそれが可能なのでしょう。