映画のなかに映画があってそれが映画だったりして、クラインの壺か 映画「果てなき路」
2012年 01月 30日
思ったより時間がかかってちょっと焦って金王坂を早足で歩く。
ひゅ~ひゅ~と冷たい風が耳をいたぶり心臓はドキドキ、ああ、年寄りが倒れるのはこういうときなのかもしれないと思いながらも速度を緩めず(主観的には)歩いたからなんとか間に合った。
間に合ったけど、、そんな映画やってない。
よく似た名前、イメージフオーラムとヒューマントラスト(書いてみると似てないじゃん!)、違う映画館に来てしまった。
いまから戻ると間に合わない。
えい、ままよ、と切符を買って入ったのがこの映画だ。
時間を持て余しているクタビレタ隠居(つまり俺)みたいな爺じゃなくてアブラッケのあるお爺。
ちょっと業界っぽいような俺には真似のできないフアッションの男やどことなく不良の匂いもさせているおっさんもいる。
予告編をみるとまた映画に行きたくなるね。
その予告編が「アリラン」とか表題は忘れたが他にも2本ほど、いずれも映画監督が主人公みたいな映画だったのに不思議な感じがあった。
本編が始まる。
ヴェルマという女がベッドの上でドライヤーで指のマニキュアを乾かしている。
いらいらするくらい長い時間、女は胸元にもドライヤーをあてて何かを待っているような、、少し不吉な感じがする。
窓の外に車が来て、それは2台だったのか、後のほうから降りてきたのは私服刑事か車の中のゴミを片付けて家の中に入っていく。
家の中にも男の姿があってその男が刑事?を玄関で迎えて二人の影は消えて、、やがて銃撃と思しき音がして、、刑事とは別の男が高級車で走って野原に置いたセスナ機に乗り込んで飛び立つ。
始めの何分かは車のCMを見るようにいろんな車が走る。
さっきの女も。
女はトンネルの前で車から降りて歩いてトンネルの中で咆哮するように泣く。
そして湖のほとり、あ、落ちるぞというあたりに車を止めて湖面を見ている。
するとさっきの飛行機が現れて湖に墜落する。
主人公は映画監督と主演女優。
映画はヴェルマの死、それはヴェルマと愛人の州議会議員の情死かとも思われるのだが、死の謎をテーマにしている。
監督は映画を作りながら”事件”のことを考え主演女優とわりない仲になる。
夢のなかで、ああ、これは夢なんだとわかって怖い場面にも耐えている、怯えている自分を冷静に見つめている覚めている自分がいる。
ところがその覚めている自分もありえない状況にいる、たとえば10年前にあった人と同じ場所に坐って居たり、それで覚めている自分も夢のなかにいるということが分かる。
夢の入れ子、ときどき見る夢だ。
この映画は映画の入れ子なのだ。
トポロジーに登場するメビウスの輪とかクラインの壺みたいな映画。
現実に起きた事件の場面かと思うと映画の撮影シーンだったり、その逆だったり。
だいたい主人公の女優・ローレルと死んだはずのヴェルマの関係がはっきりしない。
ヴェルマという女が謎、ローレルという女優が謎、ふたりは同一人物?
そのうちにすべてがはっきりしてくるだろうと思いながら映像や個々の場面展開のドラマティックな面白さに引き込まれているうちに映画は悲劇的に終わる。
終わってもまだよくわからない。
映画館に「この映画をもう一度見たい人は200円引きでみられます。ただし当日限り」という貼り紙があったわけが分かった。
随所に監督・モンテ・ヘルマンのたくらみが隠された映画好き(ややマニアックな?)には楽しい映画と診た。
映画のなかの監督と脚本家はモンテ・ヘルマンと脚本・スティーヴン・ゲイドスなのだろう。
全編デジタル・キャノン一眼レフで撮った低予算映画。
映画館を間違えて映画のなかの映画を観て、、こういうのも悪くない。
>アブラッケのあるお爺。
>ちょっと業界っぽいような俺には真似のできないフアッションの男
>どことなく不良の匂いもさせているおっさん
色んな男性が観てたんですね。
背中に低温やけどのばあちゃんは、およびでない??^^;
私みたいのが少なかったんです^^。
行ってみっかなぁ...........