TPPは他人事じゃない 関岡英之「国家の存亡 『平成の開国』が日本を亡ぼす」
2011年 11月 27日
「バスに乗り遅れるな」「勇気を持って」「アジア市場をとりこむ」「日本がリードしろ」、、精神論とか根拠なき漠然とした期待は“大東亜共栄圏”を夢見た人たちの再来かとすら思われる。
大きな違いはあの時は心ならずも(?)アメリカと戦争になったが今回はアメリカのお先棒をかついでいるかのようなところだ。
アメリカのご機嫌を損ねないようにと、必死になってるようにみえる。
帯にもあるように「TPPはもはや他人事ではない」。
「農業、医療、労働など幅広い分野であなたの生活を直撃する」
どこを読んでも問題だらけなことがよくわかるが、とくに食の安全は主婦にとっては解りやすくそれだけに恐ろしい問題だと思う。
2006年の年次改革要望書で「動物性食品の貿易拡大を促進する国際獣疫局の規約に従った科学的見地に基づく基準を適用するよう」、執拗に日本政府に要求している。
“国際基準”というとなんだか客観的で公正に聞こえるが
米国があらかじめ手を回して国際基準を引き下げておけば、他の国はそれへの同調を迫られる。これを「下方への協調(DownwardHarmonization)」という。ということだ。
アメリカが得意とするグローバル化戦略の一つで、他の分野でも応用されている。
牛肉の輸入制限をめぐってのアメリカの無茶苦茶とも言うべきゴリ押し、それに屈服した小泉政権のドタバタを覚えている人もいるだろう。
今回はアメリカの主張を入れて制限をさらに緩和するというのだから!
2011年3月に発足した「日米経済調和対話」(これがTPP交渉におけるアメリカの主張になる)をみよ。
残留農薬および農薬の仕様、として日米間で(日本の抵抗により)未解決の農薬関連の問題に対処して、新規に開発されたより安全な農薬のさらなる利用を促進し、日米両国の政府関係者の協力を促す。
議論では、国際的な基準と慣行が考慮されるべきである。
食品添加物についても、FAO/WTO合同食品添加物専門会議によって安全と認められており、かつ世界各国で使用されている46種類の食品添加物の審査を完了することにより貿易を促進する。
自分たちが食べたいものを作りそれを食べる、当たり前のことだ。
TPP交渉で今でも累卵の危機にある食糧主権を放棄することは子供たちのためにも許されまい。
本書を読んでいるとアメリカの強力な後押しで日本が原発=核に巻き込まれていった経緯がオーバーラップした。
アメリカ主導で作られた“客観的・科学的に安全な”原発、放射能の基準、それをあたかも正義であるかの如くに国内に導入していった権力(政治・行政・学者・財界・メデイア)。
食におけるフクシマを防がなければならない。
そうでなくとも既に放射能による食の汚染に怯える日々なのだから。
PHP新書
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antsuan at 2011-11-27 14:07
小泉政権は米国やマスゴミの言いなりになったふりをして逆手にとり、イラク戦争を焚きつけて米国経済をぶっ潰し、"民意に諮って"日本の官僚主導の族議員をぶっ潰したのですが、民意に諮らない民主党政権は正真正銘の属国主義政権となってしまいました。
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saheizi-inokori at 2011-11-27 16:10
antsuan、早く引っ込ませないと日本もぶっ壊れます。
Ciao saheiziさん
いや――日本人の痛いところついてますよ
みんながやるから、私も―――って奴
それがいいか悪いか検討するのではなく、なんでも多数決でジャッジする
だから、乗り遅れちゃあいかんとアセアセしてるわけでしょ
まあ品格のない国家ですから、黙って様子を探るなんてことできるわけもないよね
どうせ、俺も俺もの乗りで、自分たちの利便を主張することなく、
(だって交渉能力ゼロなんだからさ、この国は)
アジア諸国にさえ言いくるめらえて、TPPの最後尾に並ぶことになるでしょうね 溜息
いや――日本人の痛いところついてますよ
みんながやるから、私も―――って奴
それがいいか悪いか検討するのではなく、なんでも多数決でジャッジする
だから、乗り遅れちゃあいかんとアセアセしてるわけでしょ
まあ品格のない国家ですから、黙って様子を探るなんてことできるわけもないよね
どうせ、俺も俺もの乗りで、自分たちの利便を主張することなく、
(だって交渉能力ゼロなんだからさ、この国は)
アジア諸国にさえ言いくるめらえて、TPPの最後尾に並ぶことになるでしょうね 溜息
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saheizi-inokori at 2011-11-27 17:44
junko さん、対外交渉能力もない、指導者の見識もない(ISDも知らなかった野田)、ナイナイ尽くしで国が滅ぶのは切ないです。
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melodynelson-2812 at 2011-11-27 19:25
”自由経済””自由競争”・・”自由”が付くこういった言葉が絶対的にポジティブに使われ始めたのも小泉・竹中の悪政の頃からだと思うのですが、この過去10年間の世界中どこを見渡したって、新自由主義によって国の経済状況が回復した例なんて一つもありはしないのに、それでも”自由”という言葉があたかも素晴らしい物であるかのようなT.P.P賛成者の人達は本気で何かをもたらしてくれることを信じているのでしょうかね?
”自由主義”も”グローバリゼーション”も、この10年間一般市民には何も良いものなんかもたらしてこなかったじゃないですか。
”自由主義”も”グローバリゼーション”も、この10年間一般市民には何も良いものなんかもたらしてこなかったじゃないですか。
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saheizi-inokori at 2011-11-27 21:08
melodynelsonさん、昔は良かった、なんてジジイのセリフですが、ほんとにそう思います。
3・11がグローバルなど従来の延長戦ではダメだということを赤裸々にしましたね。
それに気がつかない野田ドジョウ政権は小泉よりもっとだめかもしれません。
3・11がグローバルなど従来の延長戦ではダメだということを赤裸々にしましたね。
それに気がつかない野田ドジョウ政権は小泉よりもっとだめかもしれません。
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c-khan7 at 2011-12-01 00:05
核の実験台にされてるみたいですね。
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saheizi-inokori at 2011-12-01 13:03
c-khan7さん、アメリカは国内消費と輸出用を区別しているということを何かで読んだ記憶があります。
あり得ると思える怖さをもってます。
あり得ると思える怖さをもってます。
by saheizi-inokori
| 2011-11-27 12:14
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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