ヘエクショ~オ~イ!居残りも悪いもんじゃない ”雲助月極十番”の捌番
2011年 11月 21日
久しぶりの人形町、無添加減塩梅干しを買って銭湯へ、そのあとは「かきがら蕎麦(あったかいの)」とお決まりのコース。
店のお姉さんが「今日は誰ですか?」「雲助」っても知ってるかな。
ひと口に落語会といっても客層はばらばら、噺家によって随分違う。
喜多八とか白酒などは若い女性で華やぐ。
雲助は、どちらかというときゃぴきゃぴとは言えない、もっと熟成を感じさせる奥様方とあとはオジサンたち。
俺もこれで出場回数が多いのだが、どこに行ってもいるんじゃないかと思えるオジサンがいる。
きまぐれで池袋の寄席に行ったらいたんだもの、まいったぜ。
俺のストーカーかい、あの爺さん。
雲助「くしゃみ講釈」
抵抗しがたい笑顔で「11月は影が薄い、田舎の信号みたい、あってもなくても、、」昔はもっと寒かった。
落語を聴いて人形町のいい店で小鍋でいっぱいなんていいですね、「笹新」「山葵」、、知ってる店の名が出ると嬉しいものだ。
噺は講釈を聴いているうちに「八町迷惑往き戻り」という鼾をかいて講釈師に叱られ、恥をかいた、その仕返しに講釈のとちゅうで胡椒をいぶしてくしゃみをさせてやろうと良からぬ相談。
兄貴分とのすっとぼけた相談、乾物屋に行って胡椒を買おうと、その胡椒が出てこないので、覗きからくり「八百屋お七」をやってお七の相手は小姓の吉三、それだそのコショーだという算段。
覗きからくりの口上を「カタン、人形町~今日で命が尾張町~、カタン、今どんどんと渡る橋、悲し悲しの涙橋~」とひと通りやってみせて俺たちにはとんだ文化遺産見学だ。
そうまでしたのに胡椒が品切れ、唐辛子を代役でいざ戦場へ。
講釈師のマネがなんともいえない。
それが大坂の陣のエンモタケナワで流れ来るトンガラシの風に顔しかめ、堪え、堪え切れず
雲助の百面相、つられて俺まで、へっへっへ~くしょ。
仲入り後は雲助「居残り佐平次」
待ってました!俺の伝説を語るのだ。
佐平次は、友達4人を連れて品川遊郭でドンチャン騒ぎ、みんなには
この佐平次、俺とはまるで違って、明るく楽しく、どこの座敷にでも平気で入って気がつく、座持ちがうまい、お世辞の名人、あっというまに客の評判、「居残りを呼べ」「は~い、いのさ~ん!」、ご祝儀をみんな持っていちゃうから若い衆から苦情が出てとうとう旦那が20両の金に新調した着物や帯も付けて頭を下げて暇を出すことになる。
いい客のふりをして居続けるときの佐平次、無一文と判ってからの佐平次、客に取り入る佐平次、いろんな立場の佐平次を微妙に演じ分けるが、卑屈にならず、ずうずうしくもどこか憎めない人のよさは変わらない。
口八丁手八丁、色と欲の世間を手玉に取っておもしろおかしく生きていく(”居残り“は業なのだ)魅力の佐平次。
だが病があって母のことも心配する、ちょっと影もあるのが又、、。
佐平次の人間力も大したものだがこういう人物を受け入れた江戸の懐は深い。
最初から最後までを快調なテンポ、しかも緩急に富み、堂々の雲助佐平次だった。
フランキー堺が佐平次をやった映画「幕末太陽伝」、川島雄三 監督・脚本(ほかに田中啓一、今村昌平)、石原裕次郎が高杉晋作になって出たり傑作だと思う(落語のままではなく「品川心中」「らくだ」「お見立て」などいくつもの落語が混入されているからそれも楽しみ)。
店のお姉さんが「今日は誰ですか?」「雲助」っても知ってるかな。
喜多八とか白酒などは若い女性で華やぐ。
雲助は、どちらかというときゃぴきゃぴとは言えない、もっと熟成を感じさせる奥様方とあとはオジサンたち。
俺もこれで出場回数が多いのだが、どこに行ってもいるんじゃないかと思えるオジサンがいる。
きまぐれで池袋の寄席に行ったらいたんだもの、まいったぜ。
俺のストーカーかい、あの爺さん。
抵抗しがたい笑顔で「11月は影が薄い、田舎の信号みたい、あってもなくても、、」昔はもっと寒かった。
落語を聴いて人形町のいい店で小鍋でいっぱいなんていいですね、「笹新」「山葵」、、知ってる店の名が出ると嬉しいものだ。
噺は講釈を聴いているうちに「八町迷惑往き戻り」という鼾をかいて講釈師に叱られ、恥をかいた、その仕返しに講釈のとちゅうで胡椒をいぶしてくしゃみをさせてやろうと良からぬ相談。
兄貴分とのすっとぼけた相談、乾物屋に行って胡椒を買おうと、その胡椒が出てこないので、覗きからくり「八百屋お七」をやってお七の相手は小姓の吉三、それだそのコショーだという算段。
覗きからくりの口上を「カタン、人形町~今日で命が尾張町~、カタン、今どんどんと渡る橋、悲し悲しの涙橋~」とひと通りやってみせて俺たちにはとんだ文化遺産見学だ。
そうまでしたのに胡椒が品切れ、唐辛子を代役でいざ戦場へ。
講釈師のマネがなんともいえない。
それが大坂の陣のエンモタケナワで流れ来るトンガラシの風に顔しかめ、堪え、堪え切れず
へっ、クッション、へっへっ,やあやあ、遠からんものは、、う、う、音にもきけ、へっくしょ~~ん!シツレイ!、近くば、へっく、寄って、へっくへっくへっく、目にも、ハア~ックショ~イ!それまでふんぞりかえって威風堂々の先生だけにおかしさも百倍。
雲助の百面相、つられて俺まで、へっへっへ~くしょ。
待ってました!俺の伝説を語るのだ。
佐平次は、友達4人を連れて品川遊郭でドンチャン騒ぎ、みんなには
一分づつ出してくれ、ほら、一両になって、それに俺の持ってる全財産一両一分を足して二両と一分、これを持って帰ってお袋に当分これで食いつないでくれと渡してやってくれ。覚悟の居残り志願。
俺か?俺はちょっと身体が良くない、医者の言うには温かいところでゆっくり休めと、それにはこの品川、海に近いし魚はうまい、しばらく布団部屋にでも入って過ごすことにした、構わないから明日夜が明けたらさっさと帰っちゃってくれ
この佐平次、俺とはまるで違って、明るく楽しく、どこの座敷にでも平気で入って気がつく、座持ちがうまい、お世辞の名人、あっというまに客の評判、「居残りを呼べ」「は~い、いのさ~ん!」、ご祝儀をみんな持っていちゃうから若い衆から苦情が出てとうとう旦那が20両の金に新調した着物や帯も付けて頭を下げて暇を出すことになる。
いい客のふりをして居続けるときの佐平次、無一文と判ってからの佐平次、客に取り入る佐平次、いろんな立場の佐平次を微妙に演じ分けるが、卑屈にならず、ずうずうしくもどこか憎めない人のよさは変わらない。
口八丁手八丁、色と欲の世間を手玉に取っておもしろおかしく生きていく(”居残り“は業なのだ)魅力の佐平次。
だが病があって母のことも心配する、ちょっと影もあるのが又、、。
佐平次の人間力も大したものだがこういう人物を受け入れた江戸の懐は深い。
最初から最後までを快調なテンポ、しかも緩急に富み、堂々の雲助佐平次だった。
フランキー堺が佐平次をやった映画「幕末太陽伝」、川島雄三 監督・脚本(ほかに田中啓一、今村昌平)、石原裕次郎が高杉晋作になって出たり傑作だと思う(落語のままではなく「品川心中」「らくだ」「お見立て」などいくつもの落語が混入されているからそれも楽しみ)。
Commented
by
poirier_AAA at 2011-11-21 17:27
居残り佐平次の話を面白く読ませていただきました。でも、それも冒頭のかきがら蕎麦の威力の前には霞むかも!? うらやましすぎて、後ろにひっくりかえりそうです。。。
0
Commented
by
maru33340 at 2011-11-21 18:33
「幕末太陽伝」見なくちゃと思いながら、何故か云十年たってしまいました。今度こそ見なくちゃ。
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-11-22 09:57
poirierさん、そんなにメチャクチャうまいというものではないけれど、何時もこれを頼むのです。やっぱりうまいのか^^。
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-11-22 09:58
maruさん、楽しい映画ですよ。お薦めします。
「どこに行ってもいるんじゃないかと思えるオジサンがいる。」
もし白髪頭の目つきの悪い爺さんを見かけたら、それはあっしかも知れません。
「佐平次」っていうのは、古くから芸能界では「図々しい奴」を指す隠語だそうです。
そこいくとこちらの佐平次さんは、名は体を表さずってぇ口ですねぇ。
もし白髪頭の目つきの悪い爺さんを見かけたら、それはあっしかも知れません。
「佐平次」っていうのは、古くから芸能界では「図々しい奴」を指す隠語だそうです。
そこいくとこちらの佐平次さんは、名は体を表さずってぇ口ですねぇ。
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-11-22 22:32
Commented
by
創塁パパ
at 2011-11-29 16:09
x
雲助も最近聴いてないなあ。ああ愚痴ばかり。
少しは、休まないとね(苦笑)
少しは、休まないとね(苦笑)
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-11-29 22:13
創塁パパ さん、休んで又働く、能率があがりますよ。
by saheizi-inokori
| 2011-11-21 14:41
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(8)