秋深し隣を大事にいたしましょう 第519回「落語研究会」
2011年 09月 28日
渋谷駅でこの間買い損ねた来月の指定券を買おうとしたら高校生が凄い列を作っている。
定期の書き換えかと思ったらどうやらグループで旅行らしい。
女子高校生の笑い声を交えた話声が甲高くて頭が痛くなりそう。
けっきょく落語会に間に合いそうもなくなったので列を抜け、頭痛くなり損。
気持がゆったりするからだ。

番台でバナナをくれた。
火曜日はバナナ、水曜日はスポーツドリンクみたいに皇居マラソンをする客にサービスしているらしい。
俺が走り始めたころはマラソンの客はややノーサンキューの気味があったが今やジョガーは大顧客だ。
桂吉坊「始末の極意」
わんぱく中学生みたいなカワユイ顔だけれど、噺の方はどうしてどうして間がよくテンポも快調、上方言葉をいい心持ちで聴いた。
隣の落語仲間が「前から注目していたけど一段とうまくなった」と、俺もひいきにしよう。
「ケチ」、シブチン、それも「始末」といえばキリキリシャン、杉村春子とか幸田文が代表選手だ。
上方だから京町屋の杉本節子さんかいな。
吉坊が語るのはシワンボウ、しみったれ、ただしその極意を争う文化遺産的しみったれだ。

(駒沢公園)
左龍「締め込み」
マクラで寄席で許されるサンボウ=けちん坊、泥棒、つんぼうのことを話す。
今日は吉坊がけちん坊をやって左龍が泥棒、あと一つが揃えば、、そうか吉坊が代役か。
空き巣狙いが狙った家が留守かどうかを「こんちわ」とかなんとかなんども声をかけて確かめる冒頭、念入りにゆっくり、独特の目の玉と頭をぐりぐり動かす。
少し力が入りすぎたかもしれないがこの人の味は嫌いじゃない。
圓太郎「ひとり酒盛り」
怒り心頭、真っ蒼になって帰った留さんを
いや、もしかして熊は留も呑んでると思っていたのかな。
俺は酒を注いだり注がれたりが、とくに盃のやったりとったりがキレエだ。
ビールなんどは勝手に注ぎ足されれると腹が立つ。
一人酒も好きだしみんなと呑むときは手酌が原則。
ときおり話の接ぎ穂に「どうだ一つ」みたいなのとか、白魚のような手で「おひとついかが」とくりゃあ別だが。
今まで俺と付き合った人で留さんのような思いをさせたこともあるかもしれない。
「隣をはずす」という言葉があるもんな。
圓太郎の熊さんは二本呑んだくらいのところから顔が赤くなってほんとに小憎らしい酔っ払いになっちまいやがった。

仲入り後志ん輔「反魂香」
伊達の殿様をふって殺された高尾大夫の想い人が世をはかなんで坊主になって、毎晩鉦を叩いてお勤めをするから近所の大した迷惑、文句をつけに熊さんが行ってみると、
この反魂香を焚くと高尾大夫の幽霊が現れる、これは夜じゃないとダメなので、反魂香がなくなるまで見逃してくれ、という。
熊さんも死んで三年になる女房に会いたくて薬屋に行ってうろ覚えのままに買ったのが反魂丹。
いそいそうきうき、「お梶よ出てこい」と反魂丹を焚くと煙ばかりがモクモクと、、近所の衆が火事だと水をかけると

小満ん「三軒長屋」
この人のこの噺は初めて。
いつも出る季節の句や歌が「秋深し隣は何をする人ぞ」一つだけやって、「隣近所とは仲良くつきあいたいものです」と受けて直ぐにネタに入った。
カシラのカミサンがカシラが吉原に行ったきりをこぼすところとか、がりがり宗二とへこ半が銭湯で屁をこいたの何のでつかみ合いの喧嘩をしたくだりなどをきれいさっぱり省いて、代わりに野郎どもが隣のお妾さんの顔を見に”実際に”隣に「カシラの家を訊ねて」行き「隣のカシラの家はどこですか」と喋ってしまうくだりがあったり、内容も初めて聴くやり方だった。
誰のやり方だろう、もしかすると小満んオリジナルかもしれない。
ちょっといつもの生彩を欠いたような感じがしたが志ん輔のブログによると
会が終わって俺は反省会を欠席して渋谷駅で切符の買い直し。
窓口の子の知識不足を教えてあげてようやく来月の旅二件、座っていけることになった。
定期の書き換えかと思ったらどうやらグループで旅行らしい。
女子高校生の笑い声を交えた話声が甲高くて頭が痛くなりそう。
けっきょく落語会に間に合いそうもなくなったので列を抜け、頭痛くなり損。
おまいさん、風呂を先にするかい、それとも直ぐにいっぱいやるかい?後で聴いた「締め込み」の女房のセリフだが俺には訊くまでもない、酒や飯もそうだが夜の落語は湯あがりに聴くとひと味もふた味も違う。
気持がゆったりするからだ。

番台でバナナをくれた。
火曜日はバナナ、水曜日はスポーツドリンクみたいに皇居マラソンをする客にサービスしているらしい。
俺が走り始めたころはマラソンの客はややノーサンキューの気味があったが今やジョガーは大顧客だ。
桂吉坊「始末の極意」
わんぱく中学生みたいなカワユイ顔だけれど、噺の方はどうしてどうして間がよくテンポも快調、上方言葉をいい心持ちで聴いた。
隣の落語仲間が「前から注目していたけど一段とうまくなった」と、俺もひいきにしよう。
「ケチ」、シブチン、それも「始末」といえばキリキリシャン、杉村春子とか幸田文が代表選手だ。
上方だから京町屋の杉本節子さんかいな。
吉坊が語るのはシワンボウ、しみったれ、ただしその極意を争う文化遺産的しみったれだ。

左龍「締め込み」
マクラで寄席で許されるサンボウ=けちん坊、泥棒、つんぼうのことを話す。
今日は吉坊がけちん坊をやって左龍が泥棒、あと一つが揃えば、、そうか吉坊が代役か。
空き巣狙いが狙った家が留守かどうかを「こんちわ」とかなんとかなんども声をかけて確かめる冒頭、念入りにゆっくり、独特の目の玉と頭をぐりぐり動かす。
少し力が入りすぎたかもしれないがこの人の味は嫌いじゃない。
圓太郎「ひとり酒盛り」
友達から上方のいい酒を貰った、一人で呑むのはつまらない、そこで浮かんだのが、留さん、おめえだ、熊さんは燗がつくのが待ち切れず留さんに注がせて一杯
なに?急ぎの用がある?そりゃいけねえ、じゃあ急いで一杯やろう、ついてはすまねえが火を熾して燗をつけちゃあくれねえか
うめえ、うめえ、カカアに見張られずにこうして気の合うオメエと気ままに呑むからますますうめえ。留をこき使いながら五合の酒をひとりで全部呑んでしまう。
いい酒だ、百年寿命が延びるってものよ。
そろそろ次のももういいんじゃないか、ちょっと味を見させてくれよ。
ところでオメエの体のためにいうんだが何かちょいとつまみがないといけない。
海苔を炙って、え、ない、じゃヌカミソをカクヤノコウコで、とんとんとん、おめえは器用だなあ。
ああ、これもうめえ。
ほれもう一本つけとかないと、
ああ、いい気持ちだ、どうだい一つ歌でも歌えよ、、詰まらねえ奴だなあ、じゃ俺が、、えやあ~あいずばんだいさんは宝の山よ、、日本人なら手拍子くらい出そうなもんだが、、
ほら、燗がつきすぎて沸騰しているぞ、気が利かねえ奴だなあ、、こんなうまい酒を、、
怒り心頭、真っ蒼になって帰った留さんを
ああ、あいつは酒癖が悪いんだよ意地の汚い俺まで怒り心頭に発しそうな熊の意地の悪さ。
いや、もしかして熊は留も呑んでると思っていたのかな。
俺は酒を注いだり注がれたりが、とくに盃のやったりとったりがキレエだ。
ビールなんどは勝手に注ぎ足されれると腹が立つ。
一人酒も好きだしみんなと呑むときは手酌が原則。
ときおり話の接ぎ穂に「どうだ一つ」みたいなのとか、白魚のような手で「おひとついかが」とくりゃあ別だが。
今まで俺と付き合った人で留さんのような思いをさせたこともあるかもしれない。
「隣をはずす」という言葉があるもんな。
圓太郎の熊さんは二本呑んだくらいのところから顔が赤くなってほんとに小憎らしい酔っ払いになっちまいやがった。

仲入り後志ん輔「反魂香」
伊達の殿様をふって殺された高尾大夫の想い人が世をはかなんで坊主になって、毎晩鉦を叩いてお勤めをするから近所の大した迷惑、文句をつけに熊さんが行ってみると、
この反魂香を焚くと高尾大夫の幽霊が現れる、これは夜じゃないとダメなので、反魂香がなくなるまで見逃してくれ、という。
熊さんも死んで三年になる女房に会いたくて薬屋に行ってうろ覚えのままに買ったのが反魂丹。
いそいそうきうき、「お梶よ出てこい」と反魂丹を焚くと煙ばかりがモクモクと、、近所の衆が火事だと水をかけると
ああ、カジが出ないで煙ばっかりはめもの(囃子)を使ったりして賑やかに笑いを前面に出した演出でしんみりするところを救った。

小満ん「三軒長屋」
この人のこの噺は初めて。
いつも出る季節の句や歌が「秋深し隣は何をする人ぞ」一つだけやって、「隣近所とは仲良くつきあいたいものです」と受けて直ぐにネタに入った。
カシラのカミサンがカシラが吉原に行ったきりをこぼすところとか、がりがり宗二とへこ半が銭湯で屁をこいたの何のでつかみ合いの喧嘩をしたくだりなどをきれいさっぱり省いて、代わりに野郎どもが隣のお妾さんの顔を見に”実際に”隣に「カシラの家を訊ねて」行き「隣のカシラの家はどこですか」と喋ってしまうくだりがあったり、内容も初めて聴くやり方だった。
誰のやり方だろう、もしかすると小満んオリジナルかもしれない。
ちょっといつもの生彩を欠いたような感じがしたが志ん輔のブログによると
「反魂香」は楽しく出来た。とあって一安心。
終演後の反省会はトリの小満ん師匠もいらっしていつも以上に盛り上がりながらこちらも終宴。
会が終わって俺は反省会を欠席して渋谷駅で切符の買い直し。
窓口の子の知識不足を教えてあげてようやく来月の旅二件、座っていけることになった。


Ciao saheiziさん
ぁ、saheiziさんもだったのね
私もね、注いだり 注がれたり苦手です
じゃあ、今度saheiziさんにあったらしないからね ^^
杉村春子さん 大好き
まだお元気なのかなあ...
ぁ、saheiziさんもだったのね
私もね、注いだり 注がれたり苦手です
じゃあ、今度saheiziさんにあったらしないからね ^^
杉村春子さん 大好き
まだお元気なのかなあ...
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junkoさん、白魚は別だって^^。
杉村さんはずいぶん昔に亡くなりましたよ。
杉村さんはずいぶん昔に亡くなりましたよ。
koro49さん、二枚で400円、はて、なんのことでしょう?

「カンナ」の緋色がいいですね。
その花弁が、大工が使う鉋の「けずりぶし」に似ていることから、その語源はてっきり「鉋」と勘違いしてましたが、ものの本を調べると、ギリシア語の「アシ」(葦)の意味にて、「CANNA」のようですネ。
祖父が宮大工の棟梁にして、12人兄弟(妹)の長男の父が復員後に多くの家族の口に糊すべく、誇らしげに(?)、慣れない「雪隠大工」とその末っ子息子こぼしていたことを思い起こしました由。
その花弁が、大工が使う鉋の「けずりぶし」に似ていることから、その語源はてっきり「鉋」と勘違いしてましたが、ものの本を調べると、ギリシア語の「アシ」(葦)の意味にて、「CANNA」のようですネ。
祖父が宮大工の棟梁にして、12人兄弟(妹)の長男の父が復員後に多くの家族の口に糊すべく、誇らしげに(?)、慣れない「雪隠大工」とその末っ子息子こぼしていたことを思い起こしました由。

「一人酒盛り」は、下手すると後味悪くなっちゃいけれど、いかがでしたか?
小満ん師匠の「三軒長屋」は想像できないなあ。今度は11月のらくだ亭までオアズケ・・・。
小満ん師匠の「三軒長屋」は想像できないなあ。今度は11月のらくだ亭までオアズケ・・・。

吉坊はいいですよね。東京なら「しわいや」ですね。志ん輔のブログでは、結構「反魂香」の稽古していましたね。この噺はなんと言っても八代目の可楽だと思います。志ん輔も良かったみたいですね。
さぁ、佐次さんの次の落語会は何かな?!
さぁ、佐次さんの次の落語会は何かな?!
たま さん、さっきまで衛星テレビで宮大工の小川さんのこと、彼のみごとなカンナの削り方を見ていましたよ。薬師寺の改築をした人です。
sweetmitsukiさん、ほんとですね。坊とは人のことらしいです。
押し取り坊がなまってドロ坊になったというのですがあまり納得できないです。
呑む方は呑み助とか呑ん兵衛ですね。坊より格下?
甘えん坊、泣き虫、怒りん坊、威張りん坊、、^^。
押し取り坊がなまってドロ坊になったというのですがあまり納得できないです。
呑む方は呑み助とか呑ん兵衛ですね。坊より格下?
甘えん坊、泣き虫、怒りん坊、威張りん坊、、^^。
mamaさん、ノンベイには辛い噺ですね。
後味悪いまでは行きませんでしたが憎らしいとは思いましたよ。
後味悪いまでは行きませんでしたが憎らしいとは思いましたよ。
小言幸兵衛さん、今夜は可楽の「反魂香」と円生の「ひとり酒盛り」を聴きます(テープで)。
明日は小金治ですね^^。
明日は小金治ですね^^。
私白魚じゃないし....苦

接尾語として「坊」を使うのは、軽い”あざけり”を含んでいるようです。「食いたい病死ぬ病」という諺があるように、大食いは軽蔑の対象だったんです。
酒飲みは”あざけり”の対象とは見做されなかった。昔は酒は贅沢品でしたから。
だから格は上(?)なのではないでしょうか。
酒飲みは”あざけり”の対象とは見做されなかった。昔は酒は贅沢品でしたから。
だから格は上(?)なのではないでしょうか。

吉坊さんは、大阪で本屋さんでとなり合わせになったこと
ありますよ(笑)小満ん、最近聴いてないなあ。聴きたいなあ。
志ん輔の「反魂香」も聴きたかったなあ。私は春團治の「高尾」
も好きです。では大阪から夕方もどります(笑)
ありますよ(笑)小満ん、最近聴いてないなあ。聴きたいなあ。
志ん輔の「反魂香」も聴きたかったなあ。私は春團治の「高尾」
も好きです。では大阪から夕方もどります(笑)
cocomeritaさん、いやどうしてどうして^^。
poirierさん、私も妻が亡くなったときは幽霊でもいいから会いたいと思いましたよ。
ほめ・く さん、謙遜して云ったのですが^^。やはりエラインだな、ノンベイはオッホン!
創塁パパ さん、私は小三治をこのところ聴いてないですよ^^。
by saheizi-inokori
| 2011-09-28 14:42
| 落語・寄席
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