2011年 09月 25日
講談社ノンフイクション賞授与に抗議があった本です 森達也「A3」(2) |
図書館への返還期限にはだいぶ間があるけれど読了したし、他に読みたい人もいるだろうから返しに行こう。
その前にもう一度本書について書いておこう。

今、フクシマをめぐって多くの人がメデイア・評論家・権力に対して疑いの気持ちを抱いている。
本当のことを隠していたのではないか、今でも隠し続けているのではないか?
福島第一原発がどうなっているか。
放射能の被害はどこまで拡がるのか。
ストレステストとやらで原発の安全は守れるのか。
フクシマの真因は原子力ムラの人々だけに帰せられるのか。
いろいろなことが分からない。
わからないからいっそう不安だ。
不安であるから僅かな情報にも過敏になる。
過敏になることはメデイアにとっては市場の拡大だ、どんどん書け映せ!(情報の売れ行きが下降したら次なる話題へ転身!)。
政治家も過敏になった世論を追い風にしたい、少なくとも向かい風にはしないように気を配る(風向きが変われば、、)。

オウム事件でも同じことが起きていた。
いまだにサリン事件の詳細、誰がどのように計画をたてたかなどは明らかにされていない(サリン事件前後のオウムをめぐる過熱した報道にもかかわらず)。
わかっていないままに司法権力は強引に一審のみの審理で麻原を死刑にしようとしている。
メデイアも司法も何か隠してはいないか。
麻原は死刑が確定してから家族との面会も許されていない。
麻原の意向によると司法はいう。
垂れ流し、あらゆる呼びかけに無反応であるにもかかわらず“正常”とされた麻原の意向によると。
そうしたことを多くの国民は疑問視していないかのようだ。
フクシマは今眼下にある危機だから徹底的に究明されなければならず、オウムは過去の危機だから麻原以下を死刑にしてしまえばそれでおしまい。
ほんとうにそうなのだろうか。
本書は司法が隠したがっているだろうこと、麻原・オウムがどのようにしてあの事件を起こしたのか、オウム事件によって日本の社会がどのように”激変”したのか、、を追い求める。
ここに書いてあることがすべて真実かどうかはわからない。
森の推測も多い。
しかしあの事件直後の狂騒から時を経た今もう一度オウム事件とは何だったのか、なんで在り続けているのかを考えてみることは意味があると思う。
本書は本年度講談社ノンフイクション賞を受賞した。
それに対して日本脱カルト協会という団体と、青沼陽一郎・藤田庄市・滝本太郎の3個人が講談社に抗議を行った。
抗議文はこちら。
珍しい、異例な事態だ。
ちょっと長いけれどこちらも読んだ方がいいと思う。
その前にもう一度本書について書いておこう。

今、フクシマをめぐって多くの人がメデイア・評論家・権力に対して疑いの気持ちを抱いている。
本当のことを隠していたのではないか、今でも隠し続けているのではないか?
福島第一原発がどうなっているか。
放射能の被害はどこまで拡がるのか。
ストレステストとやらで原発の安全は守れるのか。
フクシマの真因は原子力ムラの人々だけに帰せられるのか。
いろいろなことが分からない。
わからないからいっそう不安だ。
不安であるから僅かな情報にも過敏になる。
過敏になることはメデイアにとっては市場の拡大だ、どんどん書け映せ!(情報の売れ行きが下降したら次なる話題へ転身!)。
政治家も過敏になった世論を追い風にしたい、少なくとも向かい風にはしないように気を配る(風向きが変われば、、)。

オウム事件でも同じことが起きていた。
いまだにサリン事件の詳細、誰がどのように計画をたてたかなどは明らかにされていない(サリン事件前後のオウムをめぐる過熱した報道にもかかわらず)。
わかっていないままに司法権力は強引に一審のみの審理で麻原を死刑にしようとしている。
メデイアも司法も何か隠してはいないか。
麻原は死刑が確定してから家族との面会も許されていない。
麻原の意向によると司法はいう。
垂れ流し、あらゆる呼びかけに無反応であるにもかかわらず“正常”とされた麻原の意向によると。
そうしたことを多くの国民は疑問視していないかのようだ。
フクシマは今眼下にある危機だから徹底的に究明されなければならず、オウムは過去の危機だから麻原以下を死刑にしてしまえばそれでおしまい。
ほんとうにそうなのだろうか。
本書は司法が隠したがっているだろうこと、麻原・オウムがどのようにしてあの事件を起こしたのか、オウム事件によって日本の社会がどのように”激変”したのか、、を追い求める。
ここに書いてあることがすべて真実かどうかはわからない。
森の推測も多い。
しかしあの事件直後の狂騒から時を経た今もう一度オウム事件とは何だったのか、なんで在り続けているのかを考えてみることは意味があると思う。
本書は本年度講談社ノンフイクション賞を受賞した。
それに対して日本脱カルト協会という団体と、青沼陽一郎・藤田庄市・滝本太郎の3個人が講談社に抗議を行った。
抗議文はこちら。
珍しい、異例な事態だ。
ちょっと長いけれどこちらも読んだ方がいいと思う。

by saheizi-inokori
| 2011-09-25 10:20
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Trackback(1)
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Comments(8)
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タイトル : 控訴が無効になると死刑が確定するんだけど
趣意書、期限内提出せず オウム松本被告弁護団 (Excite/共同通信) 松本智津夫被告の弁護団は、控訴趣意書の提出期限である今日、 東京高裁の須田賢裁判長と面会したが、控訴趣意書は提出しなかった。 刑事訴訟法では、これで控訴棄却を決定しなければならないと規定しており、 一審の死刑判決が確定してしまうことになるのだが、 東京高等裁判所は先に松本被告が 訴訟継続能力があるかどうかの精神鑑定を要請しており、 控訴棄却の決定は鑑定結果を待ってからになる模様だという...... more
趣意書、期限内提出せず オウム松本被告弁護団 (Excite/共同通信) 松本智津夫被告の弁護団は、控訴趣意書の提出期限である今日、 東京高裁の須田賢裁判長と面会したが、控訴趣意書は提出しなかった。 刑事訴訟法では、これで控訴棄却を決定しなければならないと規定しており、 一審の死刑判決が確定してしまうことになるのだが、 東京高等裁判所は先に松本被告が 訴訟継続能力があるかどうかの精神鑑定を要請しており、 控訴棄却の決定は鑑定結果を待ってからになる模様だという...... more
抗議がある、ということは、影響力があって、
真贋微妙なラインを行っているから関係者としては看過できない、
つまりは大ハズレではなく真実にかなり近い部分に迫っている、
という風に考えていますが、さてどうなんでしょう。
結局、本屋では買わずアマゾン注文にしました。
数日後に届く予定です。
麻原が何らかの精神疾患があり、認知症様の症状を呈しているのは、
雑誌かなにかで読んで気になっていたので、本書で確かめてみたいと思います。
ピック病(前頭側頭葉型認知症)だったかなぁ……。
真贋微妙なラインを行っているから関係者としては看過できない、
つまりは大ハズレではなく真実にかなり近い部分に迫っている、
という風に考えていますが、さてどうなんでしょう。
結局、本屋では買わずアマゾン注文にしました。
数日後に届く予定です。
麻原が何らかの精神疾患があり、認知症様の症状を呈しているのは、
雑誌かなにかで読んで気になっていたので、本書で確かめてみたいと思います。
ピック病(前頭側頭葉型認知症)だったかなぁ……。

非常に興味ある経過、目の前から消えると自分の中からも消えるとゆう恐怖、
Willway_ERさん、私はこの抗議はやや揚げ足取りというか枝葉末節に近いところをついているように思われました。
少なくとも森の主要な論点(私の考えた)である麻原が訴訟能力がないのにキチンとした鑑定を行っていないという点については明確な反論をしていないように感じました。
少なくとも森の主要な論点(私の考えた)である麻原が訴訟能力がないのにキチンとした鑑定を行っていないという点については明確な反論をしていないように感じました。
蛸さん、目に見えず臭いもせず触ることもできず害もいつ発生するかも分からない。
放射能も社会の変化も似たようなところがあります。
むしろ社会の変化の方が分かりやすいかもしれない。
放射能も社会の変化も似たようなところがあります。
むしろ社会の変化の方が分かりやすいかもしれない。

記事を紹介してくださって、ありがとうございます。ちゃんと知っていなかったので、本も読んでみます。
mama さん、面白い本だと思いました。
Ciao saheiziさん
マラケシュに武田新玄の本持って行ったんで、読んだばかりなんだけど、彼は必ず戦のあとに勝っても負けても、会議を開いたそうです、何が良かったか何が悪かったか
日本の今の社会の様に、原因をきちんと追求することなく、目を出した悪い目を摘んでしまえばそれで良しと言う社会が、いつまでたっても熟した大人の社会になれないのは、むしろ当たり前の様な気がします
もしくは、原発の時と同じく、オウム事件でも隠さなければいけないことがたくさんあるのか??
いずれにしても、油断できない社会です
マラケシュに武田新玄の本持って行ったんで、読んだばかりなんだけど、彼は必ず戦のあとに勝っても負けても、会議を開いたそうです、何が良かったか何が悪かったか
日本の今の社会の様に、原因をきちんと追求することなく、目を出した悪い目を摘んでしまえばそれで良しと言う社会が、いつまでたっても熟した大人の社会になれないのは、むしろ当たり前の様な気がします
もしくは、原発の時と同じく、オウム事件でも隠さなければいけないことがたくさんあるのか??
いずれにしても、油断できない社会です
cocomeritaさん、上関では推進派の町長が圧勝しました。
彼を推す人はヨソモノの原発反対にいら立っているのかもしれないです。
いつ起きるのか分からない(起きないだろう、ここだけは)原発事故を心配するより今の生活を選ぶのでしょう。彼らを有効に説得できない反原発運動は無力だと思います。
どうやって力を蓄えていくか、おっしゃる通り自己を総括し続けることが必須だと思います。
彼を推す人はヨソモノの原発反対にいら立っているのかもしれないです。
いつ起きるのか分からない(起きないだろう、ここだけは)原発事故を心配するより今の生活を選ぶのでしょう。彼らを有効に説得できない反原発運動は無力だと思います。
どうやって力を蓄えていくか、おっしゃる通り自己を総括し続けることが必須だと思います。