飲みたくなっても我慢我慢、明日があるから 第7回「噺の扉」(日本橋劇場)
2011年 06月 26日
忘れないうちに一昨日行った落語会のことも。
勢朝「荒茶」
だいぶ前にしょっちゅう寄席で見た噺家、面白かった記憶があるのだが、そして今日も面白くなくはないのだが、、独演会があったとしても行く気にはなれない。
(いつもより混んでる。100円の日だった)
小朝「文違い」
小朝がパンフレットに事前のネタ出しを変更したことのお詫びを書いている。
さて、なんの予定だったのかと、帰宅してから調べてみたら「抜け雀」。
そのサゲは「親をカゴカキにしてしまった」だ。
どんなサゲが検討されて却下されたのか、知りたいものだ。
「文違い」、よかった。
吉原よりは一段格下の新宿貸座敷の女郎・お杉が女としての幸せをつかもうとして客を騙したつもりが信じた男に騙される。
俺こそほんとの情夫(まぶ)だと訳知り顔に気取る職人・半七、ひたすら女郎と添い遂げるつもりの田舎大尽・角蔵、騙す悪・芳次郎、三人の男の個性と、それぞれに対するお杉の変化が写楽の似顔絵をみるように簡明に際立って描き出される。
お杉が二人からだまし取った25両、芳次郎が泊っていかないならあげないと拗ねてみせると普通は芳次郎が「そんな気持ちならいらねえや」と怒るところを、「ああ、情けねえ、俺の甲斐性がないばっかりにこんなことを言われる」と泣きだして見せ、お杉を慌てさせる演出。
芳次郎の嫌らしさがより強調された。
サゲの角蔵のセリフも「あれ、あに話してるかと思ったら、、色男はつれえなあ」と変えていた。
普通の「そんなこと言ったらばオラが色男だってことが顕われやしねえか」よりシンプルな終わり方(喜助を登場させないとか)だ。
(今日も金碇庵でおろし蕎麦。ここはこういったものがいっぱい飾ってあってBGMはジャズ)
小沢昭一「隋談」
シアサッカーと言うのか、薄水色のジャケットにチャコールグレーのパンツ、丸首のシャツという姿で現れ立ったまま話し始める。
先代の正蔵・助六の思い出話、好きでしたよ、とくに助六になってからのなんともいえないボケぶり、といって助六の有名なエピソード、テレビでバスケットの試合を見ていて弟子に「教えてやれよ、網の底が破れてるって」と言った話を「バレーボールの試合で袋を縛っておけと言った」と言う、しかも二度も、バレーボールと。
前回は肝心のハーモニカを忘れてきて話だけだったが今日は早速吹いてくれる。
壊れた蓄音器みたいになるのはハラハラして閉口だがコンナに気にして早く切り上げられるともう少し話を聴きたかったと思うのだ。
(今日は見るだけ、喉が鳴る)
小満ん「猫の災難」
「こんなに早く高座に上がるとは」いつもは小沢昭一が押しまくってからの登場なのだ。
最近出囃子を「酔猩猩」に変えた。
4代目杵屋佐吉作曲の長唄。
猩猩はポインセチアと同じ色だからポインセチアのことを猩猩木と言う、酒が好きだから酒に強い芸者を猩猩芸者なんて言うン。
猩猩を生け捕ろうと浜辺に酒の壺を置いとくと、始めは子供の猩猩、ついで親猩猩も出てきて酔っぱらって踊る。
釣られて人間たちも一緒に踊る、って楽しい噺の曲です、と、そう言ってもう一度聴かせてくれる。
友達に酒を買わせ、肴に鯛を買いに行かせ、その留守に盗み酒、とどのつまりがきれいさっぱり全部飲んでしまって、ああ、いい気持ち。
そこで都々逸が
おやまあ、こっちを楽しませといて高座じゃとうとう鼾をかいて寝ちゃった。
パンフレット、小朝の言葉
表題の「明日」とは昨日の集まり↓のことです。
家に帰って寝酒に麦焼酎をロックでグイッとやったら、実にうまかった。
勢朝「荒茶」
被災地への贈り物、嬉しくないのは千羽鶴、一万円札で折ったら好いかも知れないけれど、、でも折りにくい噺家の悪口を挟みつつ七奉行が本田正信に茶会に招かれて唯一人嗜みのある細川忠興のマネをするドタバタで笑わせる。
豊臣武断派の七奉行、加藤清正は顔が長くて落語家で言えば先代の圓楽、福島正則、へそ曲がり、談志だ。
だいぶ前にしょっちゅう寄席で見た噺家、面白かった記憶があるのだが、そして今日も面白くなくはないのだが、、独演会があったとしても行く気にはなれない。
小朝「文違い」
小朝がパンフレットに事前のネタ出しを変更したことのお詫びを書いている。
私自身色々な工夫を考えておりましたが、昔からあるサゲがどうしても気にいらず二ヶ月の間になんとかするつもりだったが、どうしても納得のいくサゲが出来なかったため、と。
さて、なんの予定だったのかと、帰宅してから調べてみたら「抜け雀」。
そのサゲは「親をカゴカキにしてしまった」だ。
どんなサゲが検討されて却下されたのか、知りたいものだ。
「文違い」、よかった。
吉原よりは一段格下の新宿貸座敷の女郎・お杉が女としての幸せをつかもうとして客を騙したつもりが信じた男に騙される。
俺こそほんとの情夫(まぶ)だと訳知り顔に気取る職人・半七、ひたすら女郎と添い遂げるつもりの田舎大尽・角蔵、騙す悪・芳次郎、三人の男の個性と、それぞれに対するお杉の変化が写楽の似顔絵をみるように簡明に際立って描き出される。
お杉が二人からだまし取った25両、芳次郎が泊っていかないならあげないと拗ねてみせると普通は芳次郎が「そんな気持ちならいらねえや」と怒るところを、「ああ、情けねえ、俺の甲斐性がないばっかりにこんなことを言われる」と泣きだして見せ、お杉を慌てさせる演出。
芳次郎の嫌らしさがより強調された。
サゲの角蔵のセリフも「あれ、あに話してるかと思ったら、、色男はつれえなあ」と変えていた。
普通の「そんなこと言ったらばオラが色男だってことが顕われやしねえか」よりシンプルな終わり方(喜助を登場させないとか)だ。
小沢昭一「隋談」
シアサッカーと言うのか、薄水色のジャケットにチャコールグレーのパンツ、丸首のシャツという姿で現れ立ったまま話し始める。
先代の正蔵・助六の思い出話、好きでしたよ、とくに助六になってからのなんともいえないボケぶり、といって助六の有名なエピソード、テレビでバスケットの試合を見ていて弟子に「教えてやれよ、網の底が破れてるって」と言った話を「バレーボールの試合で袋を縛っておけと言った」と言う、しかも二度も、バレーボールと。
前回は肝心のハーモニカを忘れてきて話だけだったが今日は早速吹いてくれる。
前代の小沢昭一であるならば、ハーモニカと言えば尺八と対照的な言葉であることなどについて喋るはずだが、今は助六と名を変えた(ボケた)小沢であるから、、事前によほど強く言われてきたのか「前回45分やったから今日は15分で止めます。合わせて一回あたり30分になるから」と繰り返し、本当に三曲ほど吹いたらさがってしまった。
壊れた蓄音器みたいになるのはハラハラして閉口だがコンナに気にして早く切り上げられるともう少し話を聴きたかったと思うのだ。
小満ん「猫の災難」
「こんなに早く高座に上がるとは」いつもは小沢昭一が押しまくってからの登場なのだ。
最近出囃子を「酔猩猩」に変えた。
4代目杵屋佐吉作曲の長唄。
猩猩はポインセチアと同じ色だからポインセチアのことを猩猩木と言う、酒が好きだから酒に強い芸者を猩猩芸者なんて言うン。
猩猩を生け捕ろうと浜辺に酒の壺を置いとくと、始めは子供の猩猩、ついで親猩猩も出てきて酔っぱらって踊る。
釣られて人間たちも一緒に踊る、って楽しい噺の曲です、と、そう言ってもう一度聴かせてくれる。
いっぱい機嫌で出てこれるような気分です。恒例、酒にちなんだ歌を2.3首披露して、
酒呑めば いつか心も春めきて 借金取りも鶯の声
酒飲みは飲みたいとなったらたまらないネタに入った。
ああ、呑みてえなあ、朝湯に入ってさっぱりしたら酒が飲みたくてしょうがない
友達に酒を買わせ、肴に鯛を買いに行かせ、その留守に盗み酒、とどのつまりがきれいさっぱり全部飲んでしまって、ああ、いい気持ち。
そこで都々逸が
あたしが別府にいるその訳が東京に知ってる人がいる、、というような訳で、、なんだかワケが分からないけど楽しい。
別れています
先でもさみしくしてるでしょ
チャチャラカチャン、これドラ猫やそなたの尻尾は細くて長くていつもピンとしてる
それでなければチューチューが捕まらぬ
おやまあ、こっちを楽しませといて高座じゃとうとう鼾をかいて寝ちゃった。
パンフレット、小朝の言葉
この噺をやるための必要条件である、芸風、会場の大きさ、見巧者の三拍子が揃っての口演ですので楽屋一同の期待は膨らむばかりでございます最後の一拍子はおまけだが、芸風と芸の力は揃って大いに堪能した。
表題の「明日」とは昨日の集まり↓のことです。
家に帰って寝酒に麦焼酎をロックでグイッとやったら、実にうまかった。
Commented
by
創塁パパ
at 2011-06-26 17:41
x
おお「笹新」また行きたくなりました(笑)
やっぱり、人形町いいですね。
やっぱり、人形町いいですね。
0
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-06-26 21:15
創塁パパ さん、他にもヨサゲな店がいろいろありますね。
Commented
by
mama
at 2011-06-26 21:23
x
今回の「噺の扉」は都合がつかず断念。saheijiさんに様子を教えていただいてありがたいです。小沢昭一さん、長くても短くてもハラハラ、というお気持ち、よ~くわかりますし、どの会よりもここでの小朝は緊張感があっていいと思います。小満ん師匠、聴きたかったなあ。
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-06-26 21:49
mama さん、やればできるじゃん、やはり小朝は力がありますね。
今回はとくに時事ネタギャグのマクラも云わず緊張感のある高座でしたよ。
9月の切符も今日手に入れました。
会が始まるまではゲストが正蔵なのでパスしようと思ったのですが、聴き終ったらやはり見逃せないと思いなおしました。
今回はとくに時事ネタギャグのマクラも云わず緊張感のある高座でしたよ。
9月の切符も今日手に入れました。
会が始まるまではゲストが正蔵なのでパスしようと思ったのですが、聴き終ったらやはり見逃せないと思いなおしました。
Commented
by
mama
at 2011-06-26 22:57
x
そっかあ~。私も正蔵で躊躇したんですが、やっぱり買おうかな。
Commented
by
saheizi-inokori at 2011-06-27 08:59
mama さん、行きましょう!正蔵も化けるかもしれません。
ずいぶん前に星野屋だったかで感心したことがあります。
ずいぶん前に星野屋だったかで感心したことがあります。
Commented
at 2021-05-16 06:47
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
saheizi-inokori at 2021-05-16 09:32
by saheizi-inokori
| 2011-06-26 15:40
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(8)