若々しい国造りの時代 吉川真司「飛鳥の都」
2011年 06月 23日
この間読んだ八木荘司「遥かなる大和」「青雲の大和」全6巻の内の4巻のみ、後の2巻が予約中だがまだ着かない。
その前に小説の世界を歴史学の先生が説き明かす本書が到着、小説に勝るとも劣らぬ面白さ。
552年仏教公伝から半世紀、592年推古帝即位、596年飛鳥寺の竣工から701年大宝律令完成までの飛鳥で営まれた(孝徳天皇の難波が例外)歴代天皇とそれを取り巻くヒーローたちによる国造りの時代・7世紀史。
隋から唐へ、その覇権膨張に大きな影響を与える吐蕃や突厥の栄枯盛衰、さらに朝鮮半島の政治情勢、倭は常に大陸・半島情勢をにらみつつ、各国と時に同盟し時に争い出兵もする。
防備を固めるかたわら積極的に遣隋使・遣唐使を派遣して先進文明を吸収する。
聖徳太子、天智天皇(中大兄皇子)、中臣鎌足、天武天皇(大海人皇子)、、謀略による血縁殺しを物ともせず権力を握った者どもが、大陸からの新知識を糧に大胆な改革を行って新しい国・「日本」(大宝律令で始めて国号が改められる)の基礎を創っていくさまが躍動感を持って語られる。
小説を読んだ後だったからか、彼らの名前が生き生きとした人格を備えた存在として感じられる。
権力者のことばかりではない。
たとえば道昭という百済系の僧侶のことが2頁に渡って述べられる。
653年、25歳で中臣鎌足の長子とともに遣唐使に随行、長安で玄奘三蔵に師事、インド伝来の舎利・経典のことごとくを与えられ倭国に持ち帰る(661)。
飛鳥寺の一隅に禅院を建て、僧尼に禅行を教え、ついで天下をめぐり井戸を掘り橋を架ける。
十数年の遊行の後、天武天皇の招請を受けて飛鳥寺に戻る。
彼が遺した唐経、文字の美しさと誤りのなさで知られる「禅院寺経」は天平写経の底本として用いられ、奈良時代に発達する仏教哲学の源泉となる。
今度は道昭のことをもっと知りたくなりませんか。
従来の文献史学と考古学の最近の発見、とくに大量の木簡の出土が学説をあるいは補強しあるいは見直しを迫る。
(友達が送ってくれた玉ネギ、食うぞ~!)
JR森ノ宮駅から歩いて行くと遺跡の広がりや上町台地の地形がよくわかるという難波宮、東西600m以上、南北はさらに長かったと考えられる、小説では守旧的な孝徳が住んだと描かれる。
長良川鉄道、富加駅から歩いて20分の間の「羽生」、古代のハニフのサトの故地だという。
ハニフのサトの実像に迫った弥永貞三の
羽生の里も歩いてみたい。
シーベルト星人に冒されていなかった頃の大和の国を尋ねてみたい。
シリーズ日本古代史③
岩波新書
その前に小説の世界を歴史学の先生が説き明かす本書が到着、小説に勝るとも劣らぬ面白さ。
552年仏教公伝から半世紀、592年推古帝即位、596年飛鳥寺の竣工から701年大宝律令完成までの飛鳥で営まれた(孝徳天皇の難波が例外)歴代天皇とそれを取り巻くヒーローたちによる国造りの時代・7世紀史。
隋から唐へ、その覇権膨張に大きな影響を与える吐蕃や突厥の栄枯盛衰、さらに朝鮮半島の政治情勢、倭は常に大陸・半島情勢をにらみつつ、各国と時に同盟し時に争い出兵もする。
防備を固めるかたわら積極的に遣隋使・遣唐使を派遣して先進文明を吸収する。
聖徳太子、天智天皇(中大兄皇子)、中臣鎌足、天武天皇(大海人皇子)、、謀略による血縁殺しを物ともせず権力を握った者どもが、大陸からの新知識を糧に大胆な改革を行って新しい国・「日本」(大宝律令で始めて国号が改められる)の基礎を創っていくさまが躍動感を持って語られる。
小説を読んだ後だったからか、彼らの名前が生き生きとした人格を備えた存在として感じられる。
権力者のことばかりではない。
たとえば道昭という百済系の僧侶のことが2頁に渡って述べられる。
653年、25歳で中臣鎌足の長子とともに遣唐使に随行、長安で玄奘三蔵に師事、インド伝来の舎利・経典のことごとくを与えられ倭国に持ち帰る(661)。
飛鳥寺の一隅に禅院を建て、僧尼に禅行を教え、ついで天下をめぐり井戸を掘り橋を架ける。
十数年の遊行の後、天武天皇の招請を受けて飛鳥寺に戻る。
彼が遺した唐経、文字の美しさと誤りのなさで知られる「禅院寺経」は天平写経の底本として用いられ、奈良時代に発達する仏教哲学の源泉となる。
倭と唐、智と行、そして王権と民衆、かけ離れたさまざまな要素を、道昭は何の不思議もなく結びつけ、後代に大きな影響を与えた。それは大化改新から天智・天武朝にいたる時期の仏教が見せた、みずみずしく躍動的な姿の一つと言えるのかもしれない。どうです?
今度は道昭のことをもっと知りたくなりませんか。
従来の文献史学と考古学の最近の発見、とくに大量の木簡の出土が学説をあるいは補強しあるいは見直しを迫る。
JR森ノ宮駅から歩いて行くと遺跡の広がりや上町台地の地形がよくわかるという難波宮、東西600m以上、南北はさらに長かったと考えられる、小説では守旧的な孝徳が住んだと描かれる。
長良川鉄道、富加駅から歩いて20分の間の「羽生」、古代のハニフのサトの故地だという。
ハニフのサトの実像に迫った弥永貞三の
川浦川上流から二キロにわたって水を引いてくる羽生用水、それによって灌漑される条里水田に関する叙述は、とりわけ印象的で
読めばきっと現地を歩きたくなるであろう。いやはや!難波宮跡に行ってみたい(帰りに上方落語を聴いてもいい、もちろん銭湯にも入って)。
羽生の里も歩いてみたい。
シーベルト星人に冒されていなかった頃の大和の国を尋ねてみたい。
シリーズ日本古代史③
岩波新書
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hanarenge at 2011-06-23 13:03
saheiziさん、来て下さい、浪速へ^^
天満天神繁昌亭で寄席を聞いて、天神さんの商店街を歩くと面白いですよ、空堀もぐっと粋な店が増えましたし^^よろしおます
天満天神繁昌亭で寄席を聞いて、天神さんの商店街を歩くと面白いですよ、空堀もぐっと粋な店が増えましたし^^よろしおます
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saheizi-inokori at 2011-06-23 14:13
hanarenge さん、ますますいきとなってしもた^^。
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mama
at 2011-06-23 16:25
x
(写真のタマネギに反応)私も今年はタマネギい~っぱい食べています。美味しいですよね。
大阪で国立文楽劇場と天満の繁昌亭、ついでに南座をめぐるのが夢であります!
大阪で国立文楽劇場と天満の繁昌亭、ついでに南座をめぐるのが夢であります!
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melodynelson-2812 at 2011-06-23 19:02
数年前、仕事で大阪に行った時の空いた時間に大阪歴史博物館
に一人でふらりと行ったのですが、その時に地下の難波宮跡の
見学コースに参加しました!!平日だったので参加者は2人・・
ボランティアの案内の方が私の愚問にも懇切丁寧に答えて下さいました。 奈良から大阪までの川が通っていたので、それに
物資を載せてゆ~らゆ~らと飛鳥人達が船を漕ぐ様子を想像したらとっても浪漫を感じました。
東北の蝦夷とはまた違う浪漫がありますね。
に一人でふらりと行ったのですが、その時に地下の難波宮跡の
見学コースに参加しました!!平日だったので参加者は2人・・
ボランティアの案内の方が私の愚問にも懇切丁寧に答えて下さいました。 奈良から大阪までの川が通っていたので、それに
物資を載せてゆ~らゆ~らと飛鳥人達が船を漕ぐ様子を想像したらとっても浪漫を感じました。
東北の蝦夷とはまた違う浪漫がありますね。
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hisako-baaba at 2011-06-23 22:05
う~ん、面白そうですね。私も注文してこようかな・・・って目下物語り探しの真っ最中でした。
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saheizi-inokori at 2011-06-23 22:38
mama さん、海外旅行と違って少し頑張れば叶いそうな夢ですよ^^。
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c-khan7 at 2011-06-23 22:40
はるかかなたの物語ですが、その頃の人達の遺伝子が脈々と今に続いているのですよね。。。タイムスリップしてみたい。
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saheizi-inokori at 2011-06-23 22:41
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saheizi-inokori at 2011-06-23 22:42
hisako-baaba さん、小説も新書も面白いですよ。
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saheizi-inokori at 2011-06-23 22:43
c-khan7 さん、本を読んでいるとつい最近の物語のような錯覚に陥ります。
by saheizi-inokori
| 2011-06-23 11:46
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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