俺も乗ってみようかな 柳家小三治「バ・イ・ク」

地震の日に帰りそびれて我が家で泊った(俺は弘前にいたのだが)方が、サンチの名前のいわれが小三治→サンチだと聞いて小三治からサインをもらってきてくれた。
震災の絆ってやつかな。
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「ま・く・ら」と「バ・イ・ク」。
「ま・く・ら」は読んだことがあるが「バ・イ・ク」は未読。

凝り性の小三治がバイクに凝るきっかけ、バイクの楽しさ、ひとり旅もよし、噺家仲間で“転倒蟲”なるグループを結成して毎年北海道行脚をする冒険・滑稽談、毎晩寝る前に読んでいるとぜっこうの催眠剤だ。

”自転車が自動で動くようなもの”だから直ぐに誰でも乗れる。
自動車と違ってむき出しだから雨風、寒さが辛いだろう。
荷物を載せられないから不便だ。
あんなものに乗るのはよほどのモノ好き、しかもジグザクと自動車の前後左右に出没して危なっかしい上に物凄い騒音をたてやがって困った奴らだ。
そんなところが俺のバイク観だったが、読んでみたらずいぶん違う世界だ。
俺も乗ってみようかな 柳家小三治「バ・イ・ク」_e0016828_127301.jpg

250ccくらいでもなかなか乗りこなすのには修練が必要、それをヨーロッパ・スタイル(と言われても俺にはわかんないけど)のナナハンまで人馬一体ならぬ人車一体で乗りこなすに至るのは師匠の芸熱心、いや道楽熱心だけではない、天賦の才もあったと思われる。

4ツ輪で見る視界がバイクになると、ずっと広がって風、空気の匂い、住む人の気持ち、町の佇まいがビビッドに感じられる。
自動車から見る景色は第三者で、バイクで見る景色は当事者だ
という万沢康夫の言葉を引いて名言だという
バイクの場合は、(自動車のように)のぞくというんじゃなくて、自分が風景の中に飲み込まれているというか、風景の中の一粒でしかない、そういう感じがするわけですね
と、これは小三治の名言。

人間は生き物だった、ということを感じさせるのがバイク、師匠のバイクの旅には哲人の旅のような無常観やら人間観やらが横溢している。
それにしても小三治、伯楽、小さん、、高座でしかみてない噺家の皆さんがバイクに乗ってる姿ってなかなか想像しにくい。
着物を着て裾を翻して乗ってるんじゃないかと思ってしまう。

講談社文庫

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Commented by takoome at 2011-04-30 14:43
サワディ〜カ〜
実にリアルな生き物で、あれでこけたらとっても痛いのです。
人はあれぐらいで文明をストップしときゃよかった。
Commented by saheizi-inokori at 2011-04-30 15:01
takoome さんも経験者ですか!
女性の一人旅も多いと書いてありました。
Commented by HOOP at 2011-04-30 15:03
徒歩や自転車だと、おのずと行動範囲に制限があるのですが、
バイクはそれをエンジンの力で広げてくれますね。
自動車より遥かにマシだということは、私自身体験しているところですが、
徒歩に勝る移動手段はないと思っています。
Commented by saheizi-inokori at 2011-04-30 15:11
HOOP さん、私は半径3キロの近所を徘徊しております^^。
Commented by kaorise at 2011-04-30 16:17
いいなーバイク!
とろい私は事故がこわくて自動車もバイクも嫌で自転車です。
やっぱり目端のきく人じゃないと、使いこなせない気がする。
乗りこなせる人なら楽しい道具だなあって憧れます。
Commented by saheizi-inokori at 2011-04-30 16:19
kaorise さん、バイクってかっこいいですね。
自由を感じる。
自転車も危ないですよ、お気をつけて^^。
Commented by 豆太 at 2011-04-30 20:07 x
何でサンチなのかな・・・と思ってたけど・・・そうだったのかぁ~
洒落てるね!
僕はチビの太郎だから・・・だってさ・・・つまんねぇ~な~
Commented by saheizi-inokori at 2011-04-30 21:15
豆太君、ちびは僕も同じだよ。
小三治なんて訳の分からない名前より太郎の方がずっと由緒正しそうな感じがあるなあ。
まあ、人間たちがなんと呼ぼうと僕たちは毎日楽しく生きていこうね^^。
           サンチより。
Commented by mama at 2011-04-30 21:53 x
夜寝付くまで聴く落語に交ぜて「駐車場~」やら「卵かけ~」やらも聴きますが、何度聴いても面白い! ネタの面白さを覆う愛情豊かな観察眼!!好きだなあ。
「バ・イ・ク」も面白かったけど、前者に比べてもっと伸び伸びしていて、かつ高潔な感じがありますね。

あ、そうそう、「自然郷 」買えましたよー!!^^!
Commented by saheizi-inokori at 2011-04-30 22:12
mamaさん、あなたもずいぶんたくさんお持ちですねえ。
私は志ん生とか文楽、NHKの名人寄席のテープが主体なのです。
だから小三治のテープはあまり持っていないのですよ。
「自然郷」、ウラヤマ!
Commented by maru33340 at 2011-05-01 23:29
今日は久しぶりに鈴本に行きました。権太楼の「らくだ」も圧巻でしたが、小三治の「出来心」良かったですよ。まくらで震災の事に触れて「あの事件以来、今まで大切だと思っていたことが、さほどでもないという気がします。この事を話してると一晩中かかるから。」と語り「落語を聞いて希望がわいてきたなんて言う人がいますが、本当かなあ。それほどのもんじゃないですよ。その人は普段よっぽど悲惨な人生をおくってるんじゃあないですかねえ。」なんて笑わせて好調でした。
Commented by saheizi-inokori at 2011-05-02 09:10
maru33340 さん、私も明後日と10日に行くつもりです。
小三治は毎日同じ噺かもしれません。
Commented by gonzoukun_wahaha at 2013-01-09 11:03
こちらですね?わっワタクシその時点で両方本読んでいました(T_T)
どっどなたがお泊りになってサインをくださったのですか?
(コーフンしてわけがわからなくなっております)う
いいなあ×1000000000000です( ̄∇ ̄)
Commented by saheizi-inokori at 2013-01-09 12:19
gonzoukun_wahahaさん、小三治がときどき行く喫茶店によく行く方でえす^^。
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by saheizi-inokori | 2011-04-30 12:02 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori