笑って笑って、少し涙 今見るとしたら、この映画だ 「英国王のスピーチ」

平和な時代に買ってあった国立能楽堂・金曜日公演のチケット、訊いてみたらやはり中止だという。
それは良いのだがスケジュール帳の同じ日の「病院」というメモが頭に残って、病院に出かけた。
それも行き先は同じだけれど経路の違うバスに飛び乗って、だから遠回りをして乗り換えて。
ああ、それなのに、今日は木曜日、無駄な病院行きだった。

癪に障るから渋谷に出て映画をみた。
ちょっと前、これも平和な時代に混んでいて見られなかった「国王陛下のスピーチ」、と思いこんでいたら「英国王のスピーチ」。
笑って笑って、少し涙 今見るとしたら、この映画だ 「英国王のスピーチ」_e0016828_1044439.jpg
面白かったなあ。
久しぶりに映画館で声を出して笑った。
吃音症に悩む王子が世紀のスキャンダルで王位を棄てた兄に代わって王になる。
権利も自由もないけれど役割だけは果たさなければならない、奴隷のような存在(奥方がそういうのだ、本人も)の王に。
しかも、イギリスはヒトラーとの闘いに立ち上がらなければならない。
本国のみならず世界の半ばに広がるイギリス領土に向けて闘いの不可避な所以とすべての国民が団結して勝ち抜こうというメッセージを放送しなければならない。
エリザベス女王の父、ジョージ6世の実話なのだ。

俺は何度か書いたことがあるが上がり症だ。
仕事上人前で話をしなければならないのに緊張するとぶるぶる震えて視線が定まらず何を言ってるのか分からなくなった。
靴磨きのおじさんを見て、俺も靴磨きになろうかと思ったり死んでしまおうかとさえ思った。
それは今も”治っては”いないが、今は震えてもいいから云うべきことを言おうという気持ちがもてるようになった。
先日福島原発についての院内集会で質問したときも震えたし、思うことの半分も言えなかった。
だから、たとえばジョージ6世がニュース映像でヒトラーを見たときに「演説がうまい」という印象が先行するような気持がよく分かる。
俺も話の内容よりも上がらないでしゃべるかどうかで人を見てしまったなあ。
笑って笑って、少し涙 今見るとしたら、この映画だ 「英国王のスピーチ」_e0016828_10453386.jpg
(この塩ネギラーメンを食うのは何年振りだろう)

彼を友として(友になるまでがこの映画だ)力づけ、導くオーストラリア人とその妻、子供たち。
王の妻、娘たち。
良かったなあ。
涙がでちゃったぜい。
笑って笑って、少し涙 今見るとしたら、この映画だ 「英国王のスピーチ」_e0016828_10475864.jpg

地震の後「菅よ、チャーチルになれ」と書いた。
無いものねだりだとは思いながらそう書いた。
映画を見ながら彼我の違いを痛感した。

前に紹介したジョー・ウォルトンのファージングシリーズ三部作は、イギリスがヒトラーと手を結んでしまったという歴史改変ミステリだ。
エドワード8世とシンプソン夫人のランチキを見ているとこの小説のイフが現実であり得たこともうっすらと想像できる。
チャーチルという男が偉かったと思う。
チャーチルは自分も舌がくっついて旨く喋れなかったということを王に云って力づけるのだ。
日本にもチャーチルが出ないか。

ところで、俺は昨日水曜日だと思っていた。
つまり金曜日に行くべき病院に水曜日に行ってしまった、病院に行くのは明後日だと。
寝る前に偶然木曜日である事に気がついた。
だから、今から病院に行きます。
バスを間違えないようにして。
Commented by antsuan at 2011-03-25 11:18
チャーチルは大英帝国を滅亡させた男ですよ。その原因は日本人を見くびっていたからなのですが、確かに、菅首相にもその気がないとはいえませんね。
Commented by at 2011-03-25 14:04 x
笑ってください。それが必要です。
Commented by saheizi-inokori at 2011-03-25 14:23
antsuan、チャーチルがいなくとも大英帝国は崩壊したと思いますが、菅がいなければも少し日本はマシな状態になってるのではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2011-03-25 14:23
蛸さん、笑いは力の源でもありますね。
Commented by mama at 2011-03-25 20:13 x
「英国王のスピーチ」は3月2日に観たのですが、なんだかずいぶん前のことのように感じます。

久しぶりに整骨院に行きましたら、院長の実家が南相馬で、家族だけでなく先輩一家も呼び寄せたと聞きました。その先輩は来週原発関連の仕事に戻るのだそうです。被災だけでもたいへんなことなのに・・我々のために仕事をしてくださっている人が身近にいることに改めて気持ちが引き締まりました。今日は東北の人たちの我慢強くて人を思い遣る気質、できるだけ故郷を離れたくないという気質についても話を聞きました。
はやくはやく事態が好転しますように。
Commented by saheizi-inokori at 2011-03-25 21:10
mama さん、原発さえなければ、時間とともに好転するはずですが、、なんとも。
Commented by kaorise at 2011-03-25 23:08
そうですよね、、あがりますよね、、すごくわかります。
人前で自分の専門分野の話をするだけでもあがるのに、こういう質問をするには信念がないとできないです。
ほんとうに頭がさがります。
日中は働いている人間は集会にいけませんから、、saheiさんのような方がおられる事がどれだけ心強いかわかりません。
英国王のスピーチ、面白そうですね、、
私も見に行きたいなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2011-03-26 08:57
kaorise さん、ぜひ!あのユーモア感覚好きです。
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by saheizi-inokori | 2011-03-25 11:00 | 映画 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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