この人の旦那は小三治でなくては務まらない 郡山和世「噺家カミサン繁盛記」
2011年 02月 07日
又、例の喫茶店で会うことになったが、待てどくらせど当人が来ない。仕方がないので店にあった週刊誌を読みながら、一時間程も待ったろうか。ヒトの気配を感じて目を上げると、カレがムーッと立っている。その言葉でコロッといってしまったしまったじゃじゃ馬娘、女子美の学生だった。
「ヒトを待つのに、週刊誌を読みながら待つ人は嫌いです」
そのあと4年ほど時々付き合っていたカレが一週間毎日会おうと連絡をくれる。
スワ!と、両親までも色めきたった。
一週間目、天ぷら屋で、カレが愛の告白「アタシ、結婚しようと思っている女性がいるんです」
天丼の上がのどにつかえ、とろけるような気分は一転して、寒風ふきすさぶ氷河の上の金魚鉢になってしまった。よくよく訊くと「ほんとうは、私もあなたが好きでした。でも新潟の彼女を裏切るわけにはいきません」と白状。
私は決心した。愛人になろうと。
「私」が著者、「カレ」が小三治(当時「小たけ」)。
結局、私はカレと結婚するのだが、その経緯について小三治は「家族ぐるみで、網にかけやがった」と後々歯噛みする。
小言幸兵衛さんのブログで教えられてアマゾンの古本を入手、ヘタな落語を聴くより面白かった。
小三治の大ファンとして彼の私生活(きれいごと抜きで)を覗けるというミーハー気分も満たされる。
その弟子たち、喜多八、〆治、はん治、三三、、が前座として小三治の家に通って修行した頃の呆れた失敗談、おカミさんとの闘いなどがあからさまにバラサレル(三三と喜多八について幸兵衛さんの記事に丁寧な引用があります)。
世の中の常識、マナーなど何も知らない子供たちを小三治とおカミさんは必死で育てる。
日本語の使い方がまず基礎だ。
一生懸命教えて食わせても師匠は授業料を取るわけでもない。
全て持ち出し、どうしてそんな割に合わないことをするか?
自分もそうして育ててもらったからだ。
民主党にいる偏差値野郎をみているとこういう師匠=弟子制度の導入が必要だと思う^^。
落語世界のウラ話的興味で読んでも不足はないが、なんといっても本書の魅力は著者の人柄、生き方にある。
率直で、負けず嫌いで、ケセラセラのようで、結局弟子のことをほっとけなくて(小三治についても、だ)、正義感(やや、自分勝手でもあるが、客観的正義なんてありゃしないから、当たり前)が強くて、ユーモア・シャレが分かって、、。
なんたってあの気難しい小三治が夜中に蹴起こして組み立てた噺を聴かせて感想を訊くというのが凄い。
その気になって意見を言うと「うるせェんだ!あの場合は、絶対あれでいいんだ。そう言うんならテメェがやってみろってんだ!」と怒る小三治。
そしてまた
こんなことを繰り返して落語のなんたるかを頭にブチこまれ、すっかり私ァ小三治に洗脳されてしまった。その結果、最近はもう私に意見を求めなくなった。
ほんとうにうるさくなったからだ。幸せな夫婦だね。
なんかいい夫婦ですね。今はいないのかなあ~こんなご夫婦は・・・・。
私だったら週刊誌云々のくだりで気持ち悪い人だなあ、どこかおかしいのかも。って、恐くなってもう会わないです。
新潟の女性の下りもすごい、、4年もつきあった女性に何を言ってるの、、?
自分のことアタシとか言ってる場合じゃないわよ〜
で、結婚したら夜中に噺とかやりはじめるの、、、?
どうやったらこういう人を好きになれるんだろう、、
才能に惚れたとしても限界があると思う、、
、、奥さまこそが....大物ですね。
普通の感覚ではなかなか^^。