人が怒るのを見るのは楽しいかも 白酒・扇遊・市馬・小三治、みんな良かった 第508回「落語研究会」

志ん吉「たらちね」
こないだまでここで高座がえしをしていた前座、二つ目になったばかり、はっきりと良く通る声で、どんどん伸びていつかここで二つ目時代の思い出噺をしたらいい。
そんときゃ俺は空から聴いてるかもよ。

白酒「だくだく」
筋書きはこちら。
模造紙を張り巡らせて真っ白けのけ、家具も何もない部屋、紙に床の間、掛け軸、「尖閣諸島は日本の領土」なんて生臭いことを書かずに「鬼畜米英」、これもいかんな、「落語研究会」とでもしておくか、ラジオからは天気予報、台風接近中なんて、おいおい絵だぞ、かまやしない吹き出しでさ、猫が欠伸していて、横に玉と書いて、羊羹は厚く切って、、全部絵を描いて貰って見た目には豪勢な部屋が出来上がる。
そこにドキンガン、乱視に遠視の泥棒が入って今日は好い仕事が出来るぞと張り切って箪笥の引き出しを開けようとして、あれ?突き指しそうになって、コン畜生め、絵じゃねえか、そういやあの猫ずっと欠伸のしっぱなしだ、それじゃオイラは盗むつもり、風呂敷に包むつもり、、八つあん起き上がって(あれ、こいつだけ本物だと泥ちゃん驚く)エイ泥棒めと長押の槍で突いたつもり、泥棒、う~む、だくだくと血がでたつもり。
快調なテンポで一つひとつのセリフと仕草が活きている。

世界中「つもり」で生きていたら平和だろうなあ。
もっとも政権だけが有言不実行、しゃべればそれでもうやったつもりってのは困るけれど。
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(落語の前の腹ごしらえ)

扇遊「付き馬」
喜多八のやった時の筋書きはこちら
俺はこの噺が大好き、題名をきくだけでワクワクする噺がこれだ。
無一文男が口から出まかせ、吉原でひと晩どんちゃん騒ぎ、烏カアで夜が明けて
流連(居続け)のバカバカしくも上天気
昨夜の騒ぎはどこィ消えちゃった?てな吉原土手に出て、浅草、仲見世、雷門、田原町、微醺を残した頭を冷やしながら歩いて行く、銭湯に入って、湯あがりに冷奴でぐっと冷や酒をやって(扇遊はここを飛ばしたのが欲求不満)、花屋敷、観音様、仁王、鳩の群れ、、いろいろ見ちゃあ、ブイブイと与太を飛ばす。
このくだりがなんともいえないのだ。
流離(さすらい)の放蕩児の血が疼くのだ。
この男、悪さをするけど憎めない、佐平次党の強力メンバーだ。
懐かしきかな無責任男、植木の旦那はどこ行ったィ!
扇遊師匠もかなり遊びに年季が入ったかな、又来たくなったぜ。
さしずめ国立ぞめきってか。
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(寄席文字の書き方。隙間を作らない)

市馬「七段目」
付け馬から市馬、ほんとに秋らしい秋もないのに肥えた馬のような仁、嘶いたかと思ったぜ。
枕で昔の「鹿芝居」の思い出、志ん生や小さんがお軽をやったと、想像するだに恐ろしくも笑える。
芝居の真似事で見せるこの噺、市馬さん、やるのが楽しくって楽しくってしょうがないようだ。
大きな鼻の穴を膨らませヒクヒクしながらタップリでした。

トリは小三治「かんしゃく」
小満ん小三治は二度ほど聴いている。
枕もいつもと同じ、昔の母親がいかに重労働だったかを仕方噺でやってちょっとジンとする、俺は秋はおセンチなんだ。

運転手つきの車でご帰還遊ばした社長が、出迎えがいない、、庭に水が打ってない、箒が玄関に立てかけてある、「ワシが客を連れて帰ったときにさかさまになっていたらどうするんだ!」(今どきの奥様たちには何を言ってんだか、かもね)、女どもの履物が脱ぎ散らしてあって、帽子掛けや額は曲がってて、鉢の花が一本向う側にダラット倒れてて、座布団が出てこない、風呂の支度も出来てなければ飯はこれから炊くという、社長旦那、怒髪天を突きたくとも禿なのかもしれないが、まるでみんな揃って俺をバカにしやあがる!みたいな拗ねた声やら裏返しの声で怒りまくる。
社長が怒れば怒るほどこっちはおかしくて可笑しくて!
この社長、アイスクリームを出されて「アイスクリーム、好きだ」と一人ごちる。
カワユイ社長なんだ。

ちらっと思うには、使用人が何人もいるのにこれは確かにシズコ奥様、イケませんぜ。
そうしたらヤッパリ逃げ帰った実家のお父さんが厳しくも懇々とそのあたりを諭す。
けぶるほど後で寝やすき蚊遣りかな
今がシズコがまともな人間になれるかどうかの瀬戸際だ、安易な慰めは許しませんよと、婆さんをも諭す。

要は計画的に家事をこなす、に尽きると俺などは思うんだけど、それが出来ない人もいるのが世間の面白さかも。
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白酒、扇遊、市馬、小三治、みんな脂が乗り切って天地晴朗にしてゆったりとした芸風。
いろんな噺家の魅力に目覚めつつある俺だけどこのあたりが一番コア、身内感覚のメンバーだ。
滑稽噺4連発、満足満足。
Commented by maru33340 at 2010-10-31 14:27
こりゃ素晴らしい!オールスター戦のような布陣ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-31 17:28
maru33340 さん、こんな出演者なのに空席があったのが不思議でした。
当日券は完売でも予約席に。
楽しい一夜でしたよ。
Commented by 創塁パパ at 2010-11-01 10:27 x
本当に、すごいメンバーです。私もみんな大好きな噺家さんです。
小三治師の「かんしゃく」聴いてみたいです。小満師も聴いたことないのです(泣)きっとすばらしいでしょうね。是非出会いたいです。ではまた。
Commented by saheizi-inokori at 2010-11-01 12:42
創塁パパ さん、いらっしゃいませ。
なかなかこれだけのメンバーが揃うことはないと、とくに我が好みから、そう思いましたよ。
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by saheizi-inokori | 2010-10-31 11:47 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori