仙石由人は背広を着たゴロツキである

仙石官房長官と言う人のことを個人的に知っているわけではない。
だがなんとなく人権擁護、反権力、反戦的な行動・主張を貫いてきた”正義感の強い”硬骨漢だと思っていた。
ぐじゃぐじゃになった日本の政治、そして菅政権を良くも悪くも支えて物事に筋道をつけて行くのには彼のような人材が必要だとさえ思っていた(なんせ小沢が滅多突きでやられてしまったから)。
だから国会審議で菅やアホな閣僚(まあ、それも仙石が決めたんだけど)に代わってしゃしゃり出て野党議員をからかうかの如き発言でかわして行くのもしょうがないかとも思っていた。
「柳腰外交」発言も俺は冷やかに笑って済ませば良いと書いた。

だがその認識は根本的に間違っていた。
昨日の参議院予算委員会での発言だ。
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メデイアでは断片的にしか伝わっていないが、俺が見た限りでは前哨戦として10月13日の衆議院予算委員会で自民党河野太郎が官僚の天下りがなくなっていないことについて裏天下りの実態と現役出向という抜け道を用意していることを批判したのだ
政令で現役出向先を認めるのだが長妻厚労相(他のことでは最低な大臣だったがと河野は云った)は厚労省関係をゼロにしたのに対して前原国交相は大幅に認めたと具体的に法人名をあげて批判した。
これに対して前原は「現役出向は退職金は貰わないで出向するのだから、退職後に天下りすると二度貰うのとは違う」と変な答弁をしていた。
だって出向期間を通算するのだから税金で払う退職金は増えてしまうじゃないか。

昨日の参議院予算委員会でみんなの党・小野次郎の質疑に参考人として立った古賀茂明氏が、
個人的意見だが、天下りがいけないという理由の一つは、ムダな予算が生まれることに意味がある、もう一つは民間企業との癒着が生まれる、ひどい場合は官製談合になる、この点については民主党は強く批判をされていた。

不透明な癒着は公務員の身分を維持して行っても全く同じことが起きる可能性があり、非常に問題だ。
と言う趣旨の発言をし「退職金を二回払うとかなんとかいう議論は無意味だ」と批判した。
古賀氏は現在経済産業省官房付で、昨年12月まで国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官だった。
ひらったく言うと公務員制度改革に“燃える”仙石の部下として、エリート官僚としてのキャリアを棒に振るリスクをも敢えて冒して、自らの体験や見識を国家再生のために活かそうという志を抱いて参画していたのだ。
それが民主党の政治主導から官僚依存への逆コース転回に伴ってはしごを外され窓際族になって、今は無意味な国内出張を命じられ肩叩きのプレッシャーも噂されている人だ。
菅政権を無批判またはよりマシな選択とか言って受け入れている国民も彼の加害者になっているわけだ。
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俺は古賀氏が国会の場でこういう発言をする勇気を高く評価したい。
こういう行動こそ真のエリート(選ばれて社会のために身を犠牲にして働く使命感をもつ人)だと思う。
反権力、よき社会を作るために身を投げ捨てても頑張ろう、で生きてきたはずの仙石はどうしたか?
「良く言った!どんなことがあっても君を守るから今は我慢してくれ、俺たちの力不足なんだ」とでも言ったか。

とんでも百分!小野議員が尖閣問題を尋ねているのを遮るかのように
質問されていないが上司として言っておきますが、こういう場に呼び出すのは彼の将来を傷つける。優秀な人だけに大変残念だ
と、言ってのけた(古賀氏の意見そのものに対しては何も言わずに)。
これは古賀氏に対する恫喝による言論封殺以外のなにものでもない。

さらにこのため国会審議は長い間中断した。
ただでさえ大事な問題が”熟議”どころかぐじゅぐじゅ、”ぐじゅ議”で見守る国民にとっては苛立ちが募っている今国会、やたらに審議中断が多い。
”熟議”の上、補正予算を野党の協力を得て早期に成立させたい、させる義務のある内閣の官房長官が己の個人的怒りに身を委ね不規則な恫喝発言をする!

仙石はあとで古賀氏を国会に呼び出したことを国会のルール違反だと言いたかったなどと弁解しているようだ。
たしかに役人がその職務と直接関係ない事柄で国会で発言するのは異例なことかもしれないが、古賀氏を招致するのは民主党も含めて国会で決めたことだ。
都合が悪くなると「検察庁で決める事だ」とか「国会で判断すべきことだ」などと政府の判断を逃げようとする姿勢がめだつ現政権が今度は国会で決定したことを否定する、しかも呼ばれた当人を恫喝することで。
呆れたご都合主義だ。
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官僚の中には国のことを本気で考えている人も多い。
このままではいけない、何とかしなければ!
省益などに囚われている時ではない。と。
そう思う人たちの勇気をくじくのが堕落した保身主義の官僚同盟と政治家たちのその場その場のご都合主義・党利党略だったともいえる。
政権交代に望んだのはそういう勇気ある官僚が生き生きと国のために働くことに恐れを抱かないで済むような政治を望んだからではなかったか。
今回の事件で「ほら見ろ、古賀のバカが、生意気に吠えなきゃ良かったのに」と思うような事大主義の保身之介たちが快哉を叫び古賀に続こうとした真のエリートたちが首をすくめている。

メデイアの面白おかしく報じるような姿勢も問題だ。
俺の仙石評価がまったく間違っていたことを恥じる次第だ。
仙石は一刻も早く辞任すべきだ。

西部邁「小沢一郎は背広を着たゴロツキである」
Commented by HOOP at 2010-10-16 12:05
これで古賀氏が経産省を辞めることになれば、
みんなの党がまた大きな戦力を得ることになりますね。

それにしても、知性派だったはずの仙石氏が、
全く余裕を無くしているのには、
期待していなかったにも拘らず驚いています。
これでは、期待していた人たちの落胆は大変なものがあるでしょう。
Commented by at 2010-10-16 13:21
天下り、偶然、昨日会ったよ、
事業し分けでなくなった所から、生き残った所へ引き抜いてもらって、秘書付き、運転手付きでいっぱしのトップ気取り、でも、一人じゃ仕事はできない。
無駄な出費どころじゃ・・・・、無駄な人材。もぉ60を過ぎた女性ですが、バックが大物らしい。
不公平や!!
Commented by antsuan at 2010-10-16 13:39
見事な反面教師ぶりですね。見ていて気持ちがいい。(笑)

しかし菅総理のシドロモドロぶりを見ると、このごろつきに脅かされているんじゃないかと疑ってしまいます。よって、仙谷官房長官が辞める時は、総理大臣が辞める時以外は考えられませんね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-16 14:31
HOOP さん、言論封殺ですからね。驚きます。これが人権派弁護士の本性だったのかと。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-16 14:32
蛸さん、不公平、それが一番問題ですね。いくら無駄をなくしても誰かが損をして誰かが得をしている。
みんなが納得していないのです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-16 14:34
antsuan 、一蓮托生でしょうね。
でも菅はずるいからひとり生き残ることを考えるかもしれません。
もう少しでそうしそうになったじゃないですか。
Commented by Willway_ER at 2010-10-16 16:51
なんとも言えない嘆かわしい気持ちになりました。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-16 20:25
Willway_ER さん、それは私の記事に対してでしょうか、それとも今の政治、またはそれを選んだ国民に対してでしょうか。
Commented by c-khan7 at 2010-10-16 22:40
一つぐらいはマニフェスト、守りましょうよ。。
という、気持ちです。
議員定数削減とか、給与カットなんて、一番始めにやったらいいのんに。。野党だだツッコミ。与党ボケ倒しですね。
希望が見えません。
Commented at 2010-10-16 23:27
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 旭のキューです。 at 2010-10-17 07:39
私も同感です。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-17 08:07
c-khan7 さん、全部できなければいけないなどとは思いませんがね。
少なくとも民主的政権運営をしなければ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-17 08:16
旭のキューです。さん、待望久しかった政権交代の実相がこんなものであったとは情けないことです。
Commented by もやこ at 2010-10-17 09:17
はじめまして。
junkoさんのところからきました。

自民も腐ってましたが反日の今の政府はもっと最悪です。
仙石も管も全共闘のリーダーだった人です。
中国・韓国大好き、国旗・君が代嫌い。。。
一国の総理としてどうなんでしょう。
十数年前まで北朝鮮の拉致を認めず擁護してた旧社会党
の勢力が大半を占めている民主党。。。
所詮、自治労、日教組が母体の民主党、
何も改革なんて出来ませんよ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-17 09:52
もやこ さん、いらっしゃい。
全共闘のリーダーだったからこそ既成左翼とも一線を画して国益のために身を棄てて働く志を持っているだろうと期待したのですが。
買いかぶりでした。
Commented at 2010-10-18 02:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-18 09:03
鍵コメさん、今初めて気がつきました。
ご指摘ありがとうございます。エクサイトの鍵マークは年寄りには気がつきにくくて前にも失敗しました。弁解無用ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-18 09:05
鍵コメさん、権力を笠にきて若い部下のまっとうな発言に論駁するのでもなく頭から恫喝する、しかも言論の府において。
そういう意味で見直してみるとそれまで茶番くらいに思っていた「新聞記事をもとに質問するな」などと言うやりとりもまともに質問に答えない、ある意味では言論封殺のやり方だと思う。
西部の定義とは別に「筋道を通して議論をせずに恫喝して物事を進めようとする」のはゴロツキのやることだという意味で書きました。
官房長官を止めれば少しはまともな国会運営になるのではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-18 09:09
鍵コメさん、
>正気の者は、客観において、「この国は救済すること能(あた)わず」とあっさり認めなければならない。しかし、主観においては、救国の不可能事に挑戦することだけが死に甲斐だと構えなければならない。人間は、不可能なことにのみ本格的関心を持つという意味で、つねにZ旗を掲げた存在なのではなかろうか。

と西部が書いていますが、古賀氏のごときはそれなりにZ旗をあげようとしたのではないでしょうか。
それを力と脅しで圧殺しようとするのは本来仙石のもっとも唾棄するはずの行為ではなかったのでしょうか?
Commented by yukiwaa at 2010-10-18 10:28
やくざの手法と政治家の手法は似ているのは当然かもですね。私もあの審議聞いていて、「あれっ?」と思いました。それを主人に言うと、「仙石は政治家やなぁ」という、あれは「やくざの物言いと変わらない」と私が言うと「政治家もやくざも手法は同じや」と言う。
自分の目的の為には「汚い手」も使うのが政治家なのなら、もっと成果を見せてほしい!
長妻さんは官僚と上手くゆかず、外されたと聞いているが、そこに現民主党の姿があるきがする、それも国を良くするつもりなら良いんですが、、、結果を見せないと政治家は「タダの人」ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-18 10:36
yukiwaa さん、恫喝による政治は戦前戦中の翼賛政治に通じるのではないでしょうか。
そういう政治の再来を誰よりも嫌って生きてきたのが仙石たちだと私はうかつにも信じていたのです。
小沢を倒したのもその故ではなかったのかと思うのです。
Commented by Willway_ER at 2010-10-18 14:00
>Commented by Willway_ER at 2010-10-16 16:51 x
なんとも言えない嘆かわしい気持ちになりました。
>Commented by saheizi-inokori at 2010-10-16 20:25
Willway_ER さん、それは私の記事に対してでしょうか、それとも今の政治、またはそれを選んだ国民に対してでしょうか。

それはもちろん、今の政治に対してです。
テレビ観ないので、国会でそういうことがあっていたことが知れて良かったです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-18 22:31
Willway_さん、ありがとう。
麻生や安部がやったならそんなに腹も立たないのですが、こともあろうにそういうことを無くすために戦ってきたと(勝手に)信じていた男がやるのが何とも日を追うにつれ落胆と怒りが増します。
Commented by M at 2011-04-27 01:28
センダニは大嫌いです。
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by saheizi-inokori | 2010-10-16 11:18 | 責任者を出せ! | Trackback | Comments(24)

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