「柳腰外交」って?蒟蒻問答の方がまだましじゃないか 「西のかい枝・東の兼好」
2010年 10月 13日
「弱腰外交」とそしられて「柳腰だと思ってくれ」とエライ官房長官が切り返した。
「柳腰」って美人のなよなよとした腰のことだと思うけれど、あんなにエライ人がおっしゃるのだから、もしかして「粘り腰」のような意味もあるのかと思って辞書を引いてみたら、やっぱり「美人の細い腰」。
なよなよとしてるようでも芯は強い、というような気持で言ったのか、それとも「柳に風と受け流し」のイメージがあったのか。
いっそ「二枚腰」で頑張ります、くらいの方が良かったな。
まあ、二枚どころか「腰砕け」状態を何枚重ねてもしょうがないのだけど。

8日、横浜にぎわい座のことを書き忘れていた。
小言幸兵衛さんのブログで教えていただいた三遊亭兼好を聴きに行った。
「西のかい枝・東の兼好」、第十回にぎわい俱楽部と銘打たれているのはいつもこの二人でやってるのか分からないがどちらも初めての人だ。
一階のみに七割ほどの入り、ほとんどが中年以降の男女だ。
オープニングトークと言うのがあって二人が座布団に座ってしゃべる。
かい枝が「人数限定、選ばれた方ばかり」と言ったが、ほんとに独特の”お馴染みさんの集い”。
車上荒らしにあった話に「えーっ!うわーっ!」、落語を聴くというより友達と世間話を一緒になってやってる感じ。
笑助、落語をやらない笑瓶のたった一人の弟子が「牛褒め」
12.3年もやってるそうだがちょっと可哀そうな出来、それでも会場は温かい笑いに包まれる。
兼好が「黄金の大黒」
このところあちこちで聴いているがその中でもっとも明快にしてスピーデイ、いろいろ刈り込んだり付け加えたり工夫をしている。
笑いを取ろうというあざとさはないがサービス精神は感じる。
テンポもいいから気持ちよく聴くことが出来る。
かい枝「星野屋」
星野屋の旦那の商売がいけなくなったからと手切れ金をもって妾のお花に別れてくれという。
思わず「旦那と別れるくらいなら死んだ方がまし」と、これは言うところの社交辞令だ。
それを逆手に取られて「ありがたい、じゃあ、いっしょに死んでくれ。俺も死のうと思ってた」、思い立ったが吉日、手に手を、取らないんだなあ、それが、お花は死ぬ気はない、旦那だけ橋の上から飛び込ませて自分は後ろに飛んで生き残るつもり。
同居してるおかあちゃんの入れ知恵、おかあちゃんは若い頃そんなことを何べんもやったというしたたかな人生、こういうのは柳腰じゃなくて五枚腰。
めでたく旦那が飛び込んでお花が帰宅すると、どっこい旦那も生きていたのよ。
お花の本心を確かめるお芝居、橋の下には船を待たせてあったのさ。
もし、本気でお花が心中する気だったら後妻に直そうと思ったと幽霊ならぬ旦那が言うと「旦那、今からもう一度死にましょう」と、そうは問屋がおろさない。
やろうと思えば暗く陰湿なやり方も出来る(東京ではそうやる人が多い)のを徹底して明るくハギレよくやった。
おばあちゃんとお花のやりとりがいかにも上方らしく面白かった。

(開演前20分)
休憩後はかい枝「豊竹屋」
志ん輔の十八番を上方流、この噺は上方が本場だ。
エア三味線、口三味線と即興の義太夫の語りの掛け合い言葉遊びが軽妙・滑稽。
義太夫らしさを醸して面白いのは志ん輔の方が上手、でも可笑しい。
先の「星野屋」もそうだが多分に漫画的だ。
最後は兼好「蒟蒻問答」
始めのうち、なんとなく調子が出ない感じがしたが、だんだん良くなって肝心の蒟蒻問答の百面相ではしっかり会場をつかんでいる。
目ん玉をまあるく見開くのが特徴かも。
この人は噺によっていろいろな工夫を加えてまるで違う噺家になったかのように見せる(それともまだ固まらないということか)。
初体験の二人、帰る客を出口でお辞儀をして送る。
もう一度チャンスを作って見ようか。
「柳腰」って美人のなよなよとした腰のことだと思うけれど、あんなにエライ人がおっしゃるのだから、もしかして「粘り腰」のような意味もあるのかと思って辞書を引いてみたら、やっぱり「美人の細い腰」。
なよなよとしてるようでも芯は強い、というような気持で言ったのか、それとも「柳に風と受け流し」のイメージがあったのか。
いっそ「二枚腰」で頑張ります、くらいの方が良かったな。
まあ、二枚どころか「腰砕け」状態を何枚重ねてもしょうがないのだけど。

8日、横浜にぎわい座のことを書き忘れていた。
小言幸兵衛さんのブログで教えていただいた三遊亭兼好を聴きに行った。
「西のかい枝・東の兼好」、第十回にぎわい俱楽部と銘打たれているのはいつもこの二人でやってるのか分からないがどちらも初めての人だ。
一階のみに七割ほどの入り、ほとんどが中年以降の男女だ。
オープニングトークと言うのがあって二人が座布団に座ってしゃべる。
かい枝が「人数限定、選ばれた方ばかり」と言ったが、ほんとに独特の”お馴染みさんの集い”。
車上荒らしにあった話に「えーっ!うわーっ!」、落語を聴くというより友達と世間話を一緒になってやってる感じ。
笑助、落語をやらない笑瓶のたった一人の弟子が「牛褒め」
12.3年もやってるそうだがちょっと可哀そうな出来、それでも会場は温かい笑いに包まれる。
兼好が「黄金の大黒」
このところあちこちで聴いているがその中でもっとも明快にしてスピーデイ、いろいろ刈り込んだり付け加えたり工夫をしている。
笑いを取ろうというあざとさはないがサービス精神は感じる。
テンポもいいから気持ちよく聴くことが出来る。

かい枝「星野屋」
星野屋の旦那の商売がいけなくなったからと手切れ金をもって妾のお花に別れてくれという。
思わず「旦那と別れるくらいなら死んだ方がまし」と、これは言うところの社交辞令だ。
それを逆手に取られて「ありがたい、じゃあ、いっしょに死んでくれ。俺も死のうと思ってた」、思い立ったが吉日、手に手を、取らないんだなあ、それが、お花は死ぬ気はない、旦那だけ橋の上から飛び込ませて自分は後ろに飛んで生き残るつもり。
同居してるおかあちゃんの入れ知恵、おかあちゃんは若い頃そんなことを何べんもやったというしたたかな人生、こういうのは柳腰じゃなくて五枚腰。
めでたく旦那が飛び込んでお花が帰宅すると、どっこい旦那も生きていたのよ。
お花の本心を確かめるお芝居、橋の下には船を待たせてあったのさ。
もし、本気でお花が心中する気だったら後妻に直そうと思ったと幽霊ならぬ旦那が言うと「旦那、今からもう一度死にましょう」と、そうは問屋がおろさない。
やろうと思えば暗く陰湿なやり方も出来る(東京ではそうやる人が多い)のを徹底して明るくハギレよくやった。
おばあちゃんとお花のやりとりがいかにも上方らしく面白かった。

休憩後はかい枝「豊竹屋」
志ん輔の十八番を上方流、この噺は上方が本場だ。
エア三味線、口三味線と即興の義太夫の語りの掛け合い言葉遊びが軽妙・滑稽。
「子供の着物を親が着てェ」てな具合。
「ハッ、つんつるてん」
「おなかこわァしてェ、かようのはッ」
「せっちんせっちん」
義太夫らしさを醸して面白いのは志ん輔の方が上手、でも可笑しい。
先の「星野屋」もそうだが多分に漫画的だ。
最後は兼好「蒟蒻問答」
始めのうち、なんとなく調子が出ない感じがしたが、だんだん良くなって肝心の蒟蒻問答の百面相ではしっかり会場をつかんでいる。
目ん玉をまあるく見開くのが特徴かも。
この人は噺によっていろいろな工夫を加えてまるで違う噺家になったかのように見せる(それともまだ固まらないということか)。
初体験の二人、帰る客を出口でお辞儀をして送る。
もう一度チャンスを作って見ようか。
こないだ会ったカネモチの旦那、お妾にバケツ持って追い回されたって言ってましたよ。
くれるお金が足りないとかで。
お金をくれって追い回せる根性もすごいけど、養ってくれないなら死ね、というど根性もすごい。
どうしてカネモチの旦那はすさんだ人とつきあうのかしら?
逆にストレスたまりそうなんだけど、、謎だわあ〜、、
くれるお金が足りないとかで。
お金をくれって追い回せる根性もすごいけど、養ってくれないなら死ね、というど根性もすごい。
どうしてカネモチの旦那はすさんだ人とつきあうのかしら?
逆にストレスたまりそうなんだけど、、謎だわあ〜、、
0
僕もある人から「今、兼好が面白い。」と聞いて気になってました。機会見つけ聴いてみたいと思います。

kaorise さん、妾も商売なのですねえ。
maru33340 さん、チャンスあり次第、ですね。
小言幸兵衛 さん、次回の情報を探したのですが気がつきませんでした。
兼好を教えて下さってありがとう。
兼好を教えて下さってありがとう。
秋ですね。裏の路地を入ると、下町情緒溢れる野毛、
何とも不思議な町ですね。
フグや鰻や焼き鳥が美味しい、お馴染みさんが集う、
隠れ家的な居酒屋も多いようです。
そこにジャズなど流れるとまた楽し...。
最近友人が、落語・寄席にはまっております。
私も鑑賞デビューしたいと思いつつ、
saheiziさんのお宅でこうして楽しませていただいています。
先日はTB,有難うございました。
何とも不思議な町ですね。
フグや鰻や焼き鳥が美味しい、お馴染みさんが集う、
隠れ家的な居酒屋も多いようです。
そこにジャズなど流れるとまた楽し...。
最近友人が、落語・寄席にはまっております。
私も鑑賞デビューしたいと思いつつ、
saheiziさんのお宅でこうして楽しませていただいています。
先日はTB,有難うございました。
なるほどですねえ、、例えばだけど食堂やってて食い逃げされたら私もバケツ持って追いかけると思うな。
そんでもってそいつを容赦なく川に突き落としちゃうわ。
ねえさん達は「女食堂」を営んでおられるのね〜
世界三大ミステリーの一つがいま明らかに・・・!
saheiさんのおかげで記念すべき秋の夜を迎えましたわ。
そんでもってそいつを容赦なく川に突き落としちゃうわ。
ねえさん達は「女食堂」を営んでおられるのね〜
世界三大ミステリーの一つがいま明らかに・・・!
saheiさんのおかげで記念すべき秋の夜を迎えましたわ。
芙蓉 さん、一度ゆっくり野毛で飲み歩きをしたいなあと思いつつ、見るだけで帰ってきちゃいます。
落語のない日に行かないと、、。
落語のない日に行かないと、、。
kaorise さん、後の二つのミステリーはなんですか^^。
by saheizi-inokori
| 2010-10-13 11:16
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(10)