江戸落語は野毛に似合う 権太楼独演会(横浜にぎわい座)

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始まる前に法被を着た男が前に出てきて、携帯を切ること、途中で紙袋をごそごそするのは周りの客の迷惑になることを言って、それではどうぞ、ごゆっくりお楽しみください、とお辞儀をしたら拍手が起きた。
横浜にぎわい座は、東京とそう離れているわけではないのに、いい意味のローカルっぽさと小屋掛けという感じの作りのせいもあって独特のアットホームな雰囲気がいい。
たまに私語が気になることもあるが、総じて笑いが素直で通ぶった感じがない。
権太楼というキャラクターのせいかもしれない。
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(2,3日と「野毛大道芸」、あちこちで芸人たちを囲んでいる。3日は「ロボットのぞみ」も出るようだ)

開口一番は権太楼の6番弟子、柳家おじさんが「子ほめ」
「灘の酒」を「タダの酒」と間違えるギャグで受ける、近所のおばさんみたい、それがいい。
ほたる「疝気の虫」
お腹が痛くなる疝気は疝気の虫のせい、こいつらが腹の中でチントトトン、パッパパノパと暴れると腹が攣ったり張ったりして痛む。
この虫は蕎麦が大好きだが唐辛子には弱くて溶けちゃうので唐辛子が入ってくると別荘に退避する。
別荘ってのはすなわち金の玉だ。
亭主が疝気で苦しんでいるので医者は女房に亭主の口元で蕎麦を食わせると虫たちは女房の腹ん中に飛び移った。
ここを先途と唐辛子の汁を飲ませる。
あわてた虫たち、別荘へ、、ぎゃっ別荘がない!

志ん生の得意としたバレ(艶笑)噺を恐れ気もなく新作のようにギャグや女房の仕草、虫たちの歌や仕草などを工夫して笑わせた。
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(野毛動物園、子供たちを連れて行ったのは何年前だろう。兎もいたっけ)

後に出てきた権太楼
率直にいわせていただきますけど、(間)、家の弟子たちには、(間)、将来有望な人は(キッパリと)いません。
神保町でご馳走になった一人前8000円の焼き肉カルビの噺、横浜アパホテルの単に屋根がないというだけの屋上大露天風呂に入った、、雨がザンザン降っていた、噺などどうということのない噺で大笑いさせて、昔の旅で一番恐れられたのは雲助駕籠、今は雲助は差別語になっちゃって一番可哀そうなのは白酒の師匠、雲助、その名のせいでNHKに出られない、とお馴染みのカゴカキのことを言って「抜け雀」に入る。
籠カキのことを言っておかないと、父親に雀の籠を描いてもらった息子が「ああ、親をカゴカキにしてしまった」と嘆く、この噺のサゲがピンとこない。

朝昼晩、飯は要らない、その代わり一升づつ飲んで後は寝て過ごす、つい肝臓が心配になっちゃウ様な旅人、実は狩野派の名人絵師。
宿賃のカタについたてに描いていった5羽の雀が毎朝抜け出して外で餌をついばんでくる。

そんな凄い絵描きとはつゆ知らぬ旅籠の親爺はみすぼらしい文ナシについたてを汚されちゃ大変と抵抗するが、絵師の迫力に負けて墨を擦らされ
自分のしたことォ考えなさい!日に三升!私だってしたことがない!
怒りまくるのが権太楼節全開。
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(吉田橋から、左に見える飲み屋街に行ったこともある)

休憩後紫文の「三味線漫談」
久しぶりに聴けて楽しかった。
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最後は権太楼「唐茄子屋政談」
この噺は7月の落語研究会で聴いた。
喜多八の「船徳」もそうだったが夏の噺を秋の入口でやるのは、今となってはあの暑さもお名残り惜しいってこと?
喜多八が「夏の間、2.3度やったのでいい稽古になったから」と言ってたが権太楼師匠も7月に聴いたときより良かったような気がした。
近くでクシュクシュ鼻をすする音が、、確かに泣こうと思えば泣ける噺だ。
野毛という独特の地域性のあるところで聴いた、今は喪われた江戸の長屋の人情噺。

そうだ、権太楼も開口一番、この小屋がやりやすいと褒めていた。
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(伊勢佐木通り)
外に出ると野毛大道芸も終わったようで、その代わりあちらこちら提灯に火が入りだした。
串焼きで一杯と思ったが我慢して帰った俺はエライ。
Commented by 小言幸兵衛 at 2010-10-03 22:03
もしかすると、初にぎわい座、ですか。
私の初にぎわい座も、権太楼独演会でした。
権ちゃんのここでの独演会って、なかなかいいんですよね。
野毛大道芸も楽しそうですね。
Commented by cocomerita at 2010-10-03 22:08
Ciao saheiziさん
うわ――楽しそー――
いいなあー
この別荘が金の玉っていう、こういう初心者向けの噺はいいなあ
落語も聞いてみたいけど
笑えなかったらどうしようという心配がね
ちょっとあるのよね

で 我慢して帰ったエライ俺
家で何食べたの?
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-03 22:16
小言幸兵衛 さん、三度目くらいですか。
談春がお初、ついで三三と小満んでしようか。
権太楼が「返し」が良いと褒めてました。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-03 22:17
cocomerita さん、笑えなければ笑わなくともいいのです。
でもたいていは笑っちゃうけどね。
昨夜は湯豆腐、サバの味噌煮だったかなあ。
Commented by cocomerita at 2010-10-03 22:30
くっそーーーー
saheizi、痛いところを突くな
Commented by kaorise at 2010-10-04 00:30
この携帯カメラ、ある意味、味がありますねえ。
色とかにじみとか。
対象によっては面白い写真が撮れそうだなあって思いました。
野毛って五島美術館の近くかしら、、、
一度しか行ったことがない(美術館だけ)です。
なんだか面白そうな街ですねえ〜
Commented by penkichih at 2010-10-04 00:47
はじめましてm(__)m
私の「お初」は鈴本でした。先代小さん師匠がおられた頃です。

「抜け雀」は大好きなネタのひとつですが、一文なしの絵師があまりエバッてしまって下品になると面白くないですから難しいとこですね。
上方の米朝師匠のは絶品です。

しかし・・・。
ここにおられる方々、みんな落語ファン・・・。
居残り佐平次に小言幸兵衛、・・すごい(^。^)
権太郎師匠の「片棒」も面白かったですよ(^^ゞ
Commented by c-khan7 at 2010-10-04 06:53
抜け雀の、宿屋の夫婦のやりとり、大好きです。
サゲの「大事な親をカゴかきにした。」というところ。。
大事な親、、泣けますね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-04 09:14
cocomerita さん、日本の隠居ですけえ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-04 09:17
kaorise さん、写す時の画面が小さいので出来上がらないとどんな写真かがよくわからないのですよ。
五島美術館は上野毛、世田谷です。
こちらの野毛は横浜、桜木町駅から直ぐです。
渋谷からだと近いです。
横浜美術館でも見た後に散歩して帰るのもいいですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-04 09:44
penkichih さん、いらっしゃいませ。
米朝の上方落語大全集をもってます(えへん!)、でも殆ど未開封なのです。
他に「名人寄席」などのテープが5,600あるから毎晩聴いても追いつかない。頭の中が落語になってます^^。
Commented by saheizi-inokori at 2010-10-04 09:47
c-khan7 さん、「だからどこか違うと思ってたんだよ」とカミサンが絵描きのことをいうのが面白いですね。
「火焔太鼓」のカミサンが「お前さんは商売が上手だねェ」というのと好一対!
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by saheizi-inokori | 2010-10-03 12:24 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori