伊八ィ~~! 権太楼パワーが炸裂した「宿屋の仇討」 鈴本夏祭り(2)

今日は徹底的に遊ぶぞ~。
江戸っ子でい!
金はいくら安くたってかまわねえンだからっ。
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しじゅうさんにん、と云うから43人も泊まるのかと番頭の伊八、慌てるやら喜ぶやら、よく聞いたら、なあに「しじゅう」始終三人で歩いてる、お笑い三人組(古いか)だって。
がっかりさせたけれど、芸者を呼んで裸踊りをして、ハシャイで騒ぐのは立派に43人分だ。

パンパン!手が鳴り「伊八イイ~!」二階からお呼びだ。
そーら来た、このセリフ!俺はもうこれを聴くだけで嬉しくなる。

声の主は三人組の隣の部屋、侍が一人、前夜の宿がやかましくて眠れなかったから今夜は静かな部屋をと、伊八はチップをもらってる。
「何のために一朱やったか。みどもの部屋を変えるかあっちを変えるか、なんとかせい」
「へいへい、部屋がないので静かにさせます」

「もうし、お客様、もう少し静かに騒いで頂きたい」、侍が云ってると聞いて一旦は頭を寄せ合って巴に寝るけれど、相撲の話をしているうちに仕方噺になり、とうとう起き上がって本気でハッケヨイ残った残った、ドタンバタン。
もう修学旅行だね。
いや俺も30過ぎての社内旅行で同じことやって押入れの襖破ったことがある。

「伊八イ~」パンパンと手が鳴る。
ああ、一朱貰うんじゃなかった、「どうか静かに騒いで、、」
「寝ます!」又もや一旦は静かに寝るが
「相撲の話が悪かった、どうでえ、今度は女にもてた噺をしようじゃないか」

鬼瓦の源兵衛、
どんなにヘベノレケの女でもおめえが口説くと酔いが醒めちゃう
ってほどの醜男、「莫迦にすんねえ、俺のもてた噺を聞け」と、旅先で侍の留守中にその奥方と好い仲になって、それを侍の弟に見つかり、二人とも殺ってしまったと云う噺をする。
源兵衛は色事師、源兵衛は悪者だ!
喜んだ二人が大声で囃す。

「伊八い~!」パンパン。
「もう(一朱は)返します」
「いや、そんなことじゃない。隣の男は拙者が探し求めていた妻と弟の仇だと云うことが分かった。明日外で討ち果たすゆえ今夜は逃げられないようにふんじばっておけ。連れの二人もついでに斬るからそのつもりで。もし逃がしたらこの宿のものたちを斬る」
青くなった源兵衛、あれは他所で聞いた噺を自分のことのように話したので、自分じゃない、見ての通りの鬼瓦、もてるわけがない、と、後の二人は、この人は他人、友達でもなんでもない、無関係っ!、、必死に熱く冷たく訴えるが伊八は宿のみんなに命じて柱にぐるぐる巻き。

翌朝、侍はなにごともなかったかのように上機嫌で出発しようとするので、伊八が「あの三人はどうしましょう?夜通し泣いてましたが」
「三人?、、ああ、あれか、あれはな、ああでも云わないと拙者が夜っぴて寝られん」
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(あっさり炊いた大根もいいものだ)
権太楼「宿屋の仇討」
権太楼モード全開、軽薄、お調子者、鬱のない躁鬱、江戸っ子トリオが可笑しくって可笑しくって、葬式でやってもみんな笑うだろう。
対する侍、万事世話九郎ってふざけた野郎の苦虫を噛みつぶした顔のウラッカワに透けて見える茶目っけ。
そして伊八!侍と江戸っ子の板挟みになって右往左往する、その様が目に見えるようだ。

さん喬&権太楼、18日に観てたっぷりたっぷり夏の寄席を楽しんだ。
書きたいことがたっぷりあるのでオイオイ。
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それにしても成田高校、よくやったね。
去年秋の練習試合で三人続けて三球三振を喰らった一二三投手からあんなに打つなんて!
県予選ノーシードから勝ち上がって甲子園の準決勝まで堂々たる試合ぶり。
子供たちの可能性には目を見張らされる。
Commented by 小言幸兵衛 at 2010-08-21 14:07 x
ようやく(笑)、権太楼版『宿屋の仇討』を拝見できました!
良かったんでしょうねぇ、やはり。
昨夜の楽日も悩んだあげく、にぎわい座の百栄&一之輔を選んでいたので、今年の鈴本夏まつりは、佐平次さんや他の方のブログで楽しんでいます(歯軋り・・・・・・)。来年は行くぞ!
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-21 17:05
小言幸兵衛さん、はい、ようやく^^。
やはり権太楼はこういう噺がニンですね。ツボにはまるととどまるところを知らない怒涛の寄り身です。
この日は白酒「鰻の幇間」も良かったです。
もちろんさん喬の「水屋の富」も。
Commented by c-khan7 at 2010-08-21 18:07
話が盛り上がると、調子に乗っちゃうんですよね。。
おしゃべり3人組。私もコジャレタ喫茶店で「もう少しお静かにねがいます」と注意された事がありました。
ぐるぐる巻きにされずに、帰って来れました。よかった。
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-21 21:58
c-khan7 さん、そうそう、お調子者ってのが江戸っ子の特徴なんでしょうかね。
Commented by kaorise at 2010-08-21 22:55
一番したの立体紙芝居みたいなディスプレイ、好きです。
似たようなのがパリのオペラ座にもありました。
そっちは洋風で、楽しかった。
でも、こういう遠近法を使ったのをあくまで二次元的な日本の浮世絵風でやると何とも愉快ですねえ。
作りたくなっちゃった〜
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-21 23:16
kaorise さん、三軒茶屋にありましたよ。
なんか雰囲気がありますね。
Commented by たま at 2010-08-22 01:34 x
「関東」勢をボコボコにしてくれた「沖縄」勢然り、「口蹄病」に難儀する「宮崎」勢の九州勢諸君もしっかりやってくれました。
「プロのサラリーマン」(※否、「笑うビジネスマン」)、あるいは「プロ野球」(いわんや、「国技」たるプロ相撲)の場合と違って、彼らの発揮する「無邪気」には、思わず目を見張り、感動するものが常に転がり、ついぞ忘れていた「涙」をも思い起こしてくれるものがありますネ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-22 08:03
たま さん、私もついついテレビを見てしまいました。
暇だからということもあったけれどプロ野球の冗長にはない何かがありました。
Commented by minmei316 at 2010-08-22 09:54
宿屋の仇討ち 面白いはなしですね
まるで目に浮かぶようです
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-22 10:45
minmei316 さん、この噺でも下手ない人がやると笑えないのです。
なんども聴いていてセリフも分かっているのに腹を抱えて笑わせるってのが権太楼などの凄さです。
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by saheizi-inokori | 2010-08-21 12:36 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori