風刺の効いた大人向けSF娯楽映画 映画「第9地区」
2010年 04月 22日
ヨハネスブルグの上空に巨大な宇宙船が現れる。
中にはやせ衰えた宇宙人、エビの姿をしていたから人間たちはエビと呼ぶ。
隔離して第9地区と名付けMNUなる民間機関に管理・監視を委託する。
28年も経つとスラム化した第9地区のエビたちは増え続け100万人を超える。
人間たちとのトラブルも頻発、排斥運動が暴動化しそうだ。
見るからに気味の悪い、いかにも共存したくないエビたちなのだ。
白人に徹底的に差別されてきた黒人たちが先頭に立って排斥を叫ぶ。
差別意識もあるけれどヨハネスブルグの底辺で衝突が起きるような都市構造だから。
(新緑の駒沢公園、平和です)
MNUは彼らを遠隔の地に移住しようとする。
その責任者に“抜擢”された男・ヴィカスが主人公だ。
人権擁護運動の目もあるからエビたちの同意を取り付けなくてはならない。
というわけでヴィカスは第9地区内の各戸をおとづれ奇妙な、多分に暴力的かつインチキ極まりないやり方で同意を取り付けていく。
傭兵部隊を抱えた軍事組織でもあるMNUはエビたちの武器を手に入れたいのが本当の狙いだ。
ただこの兵器、すさまじい威力があるのだが、エビたちでないと作動できない。
下等動物の外見とキャッツフードに目の色を変えるエビたちが実は人間よりも高度なハイテクを駆使するだけでなく、親子の情愛、同胞愛、プライド、人間に対する思いやりなどについても優れている。
人類たちが下等動物、少なくとも野蛮で暴力的かつ欺瞞的なのだ。
MNUの白人トップたちがもっとも非人間的な行動をとる。
みんなで渡れば怖くない。
ヨハネスブルグの裏を仕切るナイジエリア人ギャングのボスの存在感。
呪術の世界が堂々と生きている南アフリカの現実に対する痛烈なギャグ?
グロのシーンが続出する。
SFであるのにとてもリアルな感覚にとらわれる。
現代世界の残酷さを厳しく糾弾しているからだ。
前半のドキュメンタリータッチが途中から、陸空の銃撃戦、カーチエイス、あげくは鉄人28号みたいな戦闘ロボットが大暴れしたり、はらはらドキドキもしっかり。
アフリカのワンダーランド、アフリカのカフカ「変身」、アフリカのET、アフリカの「アバター」、、、どれもこっちの方がとてもリアルで、だから”汚い”。
中にはやせ衰えた宇宙人、エビの姿をしていたから人間たちはエビと呼ぶ。
隔離して第9地区と名付けMNUなる民間機関に管理・監視を委託する。
28年も経つとスラム化した第9地区のエビたちは増え続け100万人を超える。
人間たちとのトラブルも頻発、排斥運動が暴動化しそうだ。
見るからに気味の悪い、いかにも共存したくないエビたちなのだ。
白人に徹底的に差別されてきた黒人たちが先頭に立って排斥を叫ぶ。
差別意識もあるけれどヨハネスブルグの底辺で衝突が起きるような都市構造だから。
MNUは彼らを遠隔の地に移住しようとする。
その責任者に“抜擢”された男・ヴィカスが主人公だ。
人権擁護運動の目もあるからエビたちの同意を取り付けなくてはならない。
というわけでヴィカスは第9地区内の各戸をおとづれ奇妙な、多分に暴力的かつインチキ極まりないやり方で同意を取り付けていく。
傭兵部隊を抱えた軍事組織でもあるMNUはエビたちの武器を手に入れたいのが本当の狙いだ。
ただこの兵器、すさまじい威力があるのだが、エビたちでないと作動できない。
下等動物の外見とキャッツフードに目の色を変えるエビたちが実は人間よりも高度なハイテクを駆使するだけでなく、親子の情愛、同胞愛、プライド、人間に対する思いやりなどについても優れている。
人類たちが下等動物、少なくとも野蛮で暴力的かつ欺瞞的なのだ。
MNUの白人トップたちがもっとも非人間的な行動をとる。
みんなで渡れば怖くない。
ヨハネスブルグの裏を仕切るナイジエリア人ギャングのボスの存在感。
呪術の世界が堂々と生きている南アフリカの現実に対する痛烈なギャグ?
グロのシーンが続出する。
SFであるのにとてもリアルな感覚にとらわれる。
現代世界の残酷さを厳しく糾弾しているからだ。
前半のドキュメンタリータッチが途中から、陸空の銃撃戦、カーチエイス、あげくは鉄人28号みたいな戦闘ロボットが大暴れしたり、はらはらドキドキもしっかり。
アフリカのワンダーランド、アフリカのカフカ「変身」、アフリカのET、アフリカの「アバター」、、、どれもこっちの方がとてもリアルで、だから”汚い”。
Tracked
from 掬ってみれば無数の刹那
at 2010-04-22 22:52
タイトル : District 9
先だっての米国往復で、 何度も繰り返し観てしまった映画がコレ。 どこかの星からエイリアンがやってくるのだが、 彼らは戦火を避けてやってきた難民。 故郷に帰りたいのだが、必要なものが足りない。 人類は彼らを南アフリカに設けた難民キャンプに隔離し、 そこを管理するための国際組織(=役所)を作る。 配給する食料は猫缶だ。 やがて、28年の歳月を経て、 キャンプは恒久的な様相を帯びてくる。 当然のことながら、地元の闇組織とのつながりが生まれ、 彼らは猫缶と交換...... more
先だっての米国往復で、 何度も繰り返し観てしまった映画がコレ。 どこかの星からエイリアンがやってくるのだが、 彼らは戦火を避けてやってきた難民。 故郷に帰りたいのだが、必要なものが足りない。 人類は彼らを南アフリカに設けた難民キャンプに隔離し、 そこを管理するための国際組織(=役所)を作る。 配給する食料は猫缶だ。 やがて、28年の歳月を経て、 キャンプは恒久的な様相を帯びてくる。 当然のことながら、地元の闇組織とのつながりが生まれ、 彼らは猫缶と交換...... more
Ciao saheiziさん
不思議だなあ
昨日チッチのごはんの缶詰を開けながら、
この映画の事思い出してました。笑
すごいグロでありながら、なぜか心に残った不思議な映画でした。
そうね、きれいな顔して正しそうなことを言ってる人間がいちばんずるくて汚くて、エビと言われてる醜い彼らのほうがよっぽど愛がある。
あの同意の取り方なんてホントいやらしいもんね
でもあの傲慢な雰囲気は今の移民管理局にもあるけどねえ
イタリアでもあるんだから、アメリカなんてもっとひどいと思うけど、、
結局、ただの作り話の映画じゃないってことなんでしょうねえ、
人々の差別観といい、、
不思議だなあ
昨日チッチのごはんの缶詰を開けながら、
この映画の事思い出してました。笑
すごいグロでありながら、なぜか心に残った不思議な映画でした。
そうね、きれいな顔して正しそうなことを言ってる人間がいちばんずるくて汚くて、エビと言われてる醜い彼らのほうがよっぽど愛がある。
あの同意の取り方なんてホントいやらしいもんね
でもあの傲慢な雰囲気は今の移民管理局にもあるけどねえ
イタリアでもあるんだから、アメリカなんてもっとひどいと思うけど、、
結局、ただの作り話の映画じゃないってことなんでしょうねえ、
人々の差別観といい、、
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kaorise at 2010-04-22 17:37
このお話、ジェイムズ・ティプトリー・Jrっぽいですね。
かなり痛いし恐ろしいバイオSFなのですけど、物理的生命と哲学的な側面、差別なども描いていて、このような作品こそSFの真骨頂ではないかと思う作家です。
やっとこういうテーマも映画になるようになったのかなと思いました。
ティプトリーが作品を発表したのは30年以上も前なのですが、、
かなり痛いし恐ろしいバイオSFなのですけど、物理的生命と哲学的な側面、差別なども描いていて、このような作品こそSFの真骨頂ではないかと思う作家です。
やっとこういうテーマも映画になるようになったのかなと思いました。
ティプトリーが作品を発表したのは30年以上も前なのですが、、
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c-khan7 at 2010-04-22 19:32
救いのあるラストで、あってほしいです。
子供達のゲームの世界では人間と異星人が普通に共存する世界が広がっています。差別の意識も徐々に変わってくるかもしれませんね。
しかし、エビって。。昔はタコだったり、ヒトデだったり。。
そのビジュアルが問題なのではないかなぁ。
エビに告白されても、困るなぁ。。
子供達のゲームの世界では人間と異星人が普通に共存する世界が広がっています。差別の意識も徐々に変わってくるかもしれませんね。
しかし、エビって。。昔はタコだったり、ヒトデだったり。。
そのビジュアルが問題なのではないかなぁ。
エビに告白されても、困るなぁ。。
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HOOP at 2010-04-22 22:56
酒を飲んで、字幕もなしで観たのでは、やはり理解不足な点がたくさんあったのだなと思います。しかし、この代償を求めないヒューマニズムは、しばしば欧米の作品に出てきますが、いったいどこから来るのでしょうね。
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saheizi-inokori at 2010-04-23 00:31
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saheizi-inokori at 2010-04-23 00:33
kaorise さん、映画はみましたか?
見たら感想を訊きたいなあ。
見たら感想を訊きたいなあ。
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saheizi-inokori at 2010-04-23 00:35
c-khan7 さん、救いがある、、?世界に救いはあるのかなあ。
観る人の考え方次第です。
観る人の考え方次第です。
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saheizi-inokori at 2010-04-23 00:39
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sweetmitsuki at 2010-04-23 06:30
エビのような姿と聞いて、バルタン星人みたいなのを想像してしまいました。
「ウルトラマン」のシリーズ中にも、同じようなテーマを扱った作品があったような気がしましたけど、いかんせん子供向け勧善懲悪ドラマの哀しさか、それともまだ幼かった自分にそこまでの理解力がなかったのか、リアルさは感じられなかったです。
ウルトラマン(超人・聖人)の存在なくして人類はどう異星人と対峙するのか、この映画、見てみたいです。
「ウルトラマン」のシリーズ中にも、同じようなテーマを扱った作品があったような気がしましたけど、いかんせん子供向け勧善懲悪ドラマの哀しさか、それともまだ幼かった自分にそこまでの理解力がなかったのか、リアルさは感じられなかったです。
ウルトラマン(超人・聖人)の存在なくして人類はどう異星人と対峙するのか、この映画、見てみたいです。
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sakura(野川)
at 2010-04-23 09:49
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saheizi-inokori at 2010-04-23 13:13
sweetmitsuki さん、人類が加害者なのです。
それを護るのも人間ですが。
それを護るのも人間ですが。
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saheizi-inokori at 2010-04-23 13:15
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蛸
at 2010-04-23 14:55
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この映画、最後のシーンでスキになりました。
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saheizi-inokori at 2010-04-23 20:21
蛸さん、ちょっとグロテスクなラストシーンではないでしょうか。
by saheizi-inokori
| 2010-04-22 12:09
| 映画
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