粋な花見は小満ん師匠と 卯月の独り看板(雪月花三たび)
2010年 04月 06日
雨の平日、井の頭公園の花が素晴らしいことを思い出した。
人が少なくて池のボートが片付けてあるのだ。
妻が元気でいた頃、近くに住んでいた。
毎朝、池のほとりで自己流の気功をやったり休日は公園の中をランニングした。
気力充実、仕事に邁進していた。
左遷されて小さな会社にいたけどそこで新しい喜びをみつけた。
妻がいけなくなったのもここだ。
まだ歩ける頃、帰宅がゆるされて公園の中をゆっくり散歩したことも、つい昨日のようだ。
夕闇せまる公園のちょっとぬかるんだ道を急いで、かつての通勤路だった階段を上って行くと
よーし!楽しむぞ~!若い子たちがきゃあきゃあ言いながらすれちがって行く。
惜しいかなシャレの分からぬ男にてと川柳をいって
かんにん信濃の善光寺
鳩はしじゅゥくる屋根の上(佐渡は四十九里波の上)
私待ちましたわ
立てつづけに地口やら回文を披露する。
とくりゃあ「雑俳」。
八つあんが隠居を訪ねて五七五七七を使った言葉遊び。
お題を出して遊ぶのは八つあんの頓知がきいて隠居も大喜び。
「リン」で隠居が
リンリンとリンと咲いたる桃桜とやると八つあん
嵐につれて花はチリ(=散り)リン
リンリンと淋病病みは痛かろうちょっと品がない。
小便するたびチョビリチョビリン
「初雪」の題に
初雪やこれが塩なら金儲け「初雪やトリの足跡梅の花」に対しては
初雪や蛸の足跡藤の花おいおい、蛸が歩くのかい。
メモを取るのも難しいほどのスピードで出てくる出てくる二人のかけ合い。
良いなあ、こんな遊びをしてみたい。
ついで「塩原太助 あおの別れ」。
圓朝の名作、俺は志ん生のテープでしか聴いたことがない。
淡々と太助が女房の企みで情夫に殺されそうになり、今はこれまでと江戸に向かうまでを語り、いよいよ愛馬「あお」との別れの場面で「あお」が大きな涙を流しているのに気付き、大きな声で嗚咽するクライマックスでこちらもぐっとくる。
仲入り後は「花見の仇討」。
若い衆4人組、どうせ花見をするなら趣向を凝らそうじゃないかってんで、上野の山で仇討の茶番をやることに。
浪人に煙草の火を借りた巡礼兄弟、見上げると傘の中には父の敵。
やあやあ、なんじは何の誰兵衛、、、盲亀の浮木優曇華の花待ち得たると、ここは花見客に見せるため真剣で渡り合う。
今日の対面、、いざ尋常に勝負勝負!
そこへ通りかかった六部(修行僧)が仲に入って、シャンシャン手打ち、あとは六部の荷物から取り出した酒とつまみで一杯飲んで、かっぽれでもやって、、。
とまあ、筋書きは出来たし練習も積む。
ところが当日、六部は途中で耳の遠いオジサンに捉まって成り行きで家まで行って酒を飲んで酔いつぶれてしまう。
一方、巡礼兄弟は途中で酔った侍にもった仕込み杖が当たり、「直れ、そこに切り捨ててやる、遠慮するな」の危うき場面、必死の思いで敵討の兄弟ゆえと許しを乞うたがよいが、「それは見上げた者、ついては身どもが助太刀を申そう」と困った成り行き。
果ては討たれる方も討つ方もほうほうのテイで逃げだすという、これぞホントの茶番になっちまう。
三つ、それぞれ趣の異なる噺をそれぞれにゆったりと聴かせる“小満んの世界“、余は満足であったぞ。
(東京芸術劇場)
独りで佇めば、疼きだけがあの時を確かなものにしてくれている、そんな景色。
景色とともに時の敷居も水に濡れて、想い出の世界が目の前にどんどん広がって行きそうです。
心のなかにいる奥さんの面影のようですね。
大事な人と歩いた場所に一人で行くのは、淋しいよね
誰かがいたその空間を感じて、時が流れたなあと実感しなきゃいけない時でもある
淋しいけど、仕方がない
でもね、奥さまはあの時、井の頭公園でsaheiziさんの横をきっと歩いていたと私は思います。
>五七五七七を使った言葉遊び。
確かに楽しそー
こういうのって、頭の回転がよくて、なおかつシャレのセンスがないと出来ないんですよね~
井の頭公園の桜、こうも美しかったのですね。魅了されました。
思い出が景色を連れてくるのか、それとも懐かしい景色が、その人を想いださせるのか。
確か、公園の近くに、芙蓉亭がありますね?(^^)
↓、可愛い、はあちゃんは、船橋在住だったのですね!
桜も佐平次さんの奥様を想う心も。
いつもやってると調子が良くなるかもしれないけれど。
満開、雨、夕方、、いくつかの条件がそろうと不思議な美しさを帯びてきます。
本当は辛いんだけど、ちょっと我慢したり、強く見せたりしてしまう、
落語のよく登場する人物達の様な、生き方なのではないかと...........言っていました。。。。
雨 桜............いいですね..................。
誰にも言えない気持が、桜には言えていたりする...それも独りである事の醍醐味ですね。
様々なつぶやきを、桜は黙って受けとめてくれている様な気がします。
奥様との思い出...........大切な宝物ですね。
確かに飽食は粋じゃないけど。
私にとってもここはいくつ目かの故郷で、懐かしさいっぱいです。
吉祥寺江戸邸のそばや井の頭側にも住んでいました。
今年もこんなに綺麗だったのですね!
井の頭公園というと、この頃は佐平次さんの奥様をも思い起こします。お辛かったでしょうけれども、この桜をご覧になって一刻を楽しまれたかと。