チーム・”ダルジール”は健在だ レジナルド・ヒル「死は万病を癒す薬」
2010年 02月 02日
今回はテロリストにやられた名誉の負傷を癒すために海辺のリゾートに出来たアメリカ式大規模療養所に。
医者から渡された日常の記録をするためのデジタル・レコーダーを“ミルドレッド”と名付けて日々、恋人キャップとの久しぶりの逢瀬にモノの役に立たなかったことも、看護士とつい犯した過ちも、告白するのだが、、”事件のあるところ、警視あり”、いつの間にか捜査記録(飽くまでもダルジール風、公表はできないテイのものだが)と化す。
新しく登場したのは大学院進学(典型的なヨークシャーの農園主の父に反対されても)を前にした心理学を学ぶ生気溌剌、才気渙発、率直・素敵なお嬢さん。
彼女が仲良しの”おねえちゃん”に何でも隠しだてせずに(文字通りなんでも!)おしゃべりするメール、これまたいつの間にか捜査記録と化す。
一郎君がいくら隠しだてなくお話していても日本の検事たちが作る捜査記録なんて5分も読まないうちに頭が痛くなることは請け合いだが、こっちのは二段組み600ページ、アラヨット、読み終えた。
ダルジールがベンチ入りして(少なくとも始めは)パスコー警部はようやくその天才をだれにも邪魔されずに発揮できるのか。
前作で同性愛者であることをカミングアウトしたウィールド部長刑事、その部下たち、、いづれも個性豊かに気のきいた会話と行動は吉本喜劇では決してみられない。
「死者との対話」、「死の笑話集」の主人公だったフラニー・ルートも大活躍する。
同性愛を含んだ様々な愛と性、莫大な遺産、彼女の周りは死体が一杯(こいつは昨日捕まった女みたいなのが現実にでてくるから小説の迫力がへっちまうじゃないか)、、。
本格ミステリとしても面白いのだが、俺は登場人物の会話(メール・口述メモ)やスピーデイなストーリー展開にはまってアラヨットだ。
ジェイン・オースティンの未完の小説「サンディトン」(1817年)を下敷きにしてプロットやキャラクターを殆どそのまま利用しているそうだ。
19世紀から21世紀への移行のあまりの見事さに笑ってしまうこと請け合いだ。ヒルが皮肉まじりに描いている健康ビジネスや海浜地の再開発は、今のイギリスの現実であると同時に、オースティンが彼女の時代の現実として皮肉まじりに描いたものでもある。訳者の松下祥子があとがきに書いている。
ハヤカワ・ミステリ
それとも本の内容次第^^
でも、お孫さんたちにとっては嬉い雪でしょうね(*^_^*)
サンチは、変わりなく元気ですか?
この前、痩せたと云ってらっしゃいましたが・・・?
お大事に、大丈夫うまくいきますよ。
もっとも作者によってはシビアな人もいると思います。
今すぐ名前は出てこないけれど。
概して云えるのは清張よりもユーモアがあると思います。