寒い夜はお婆ちゃんと食べる鍋料理がおすすめ 村田喜代子「八つの小鍋」
2010年 01月 18日
「蕨野行」で村田喜代子を思い出して読んだ「村田喜代子傑作短編集」。

浸るなあ、この世界。
他の作家にはないどっしりした生活感があるのに不思議な夢の中の出来事のような噺。
そう、話と書くより噺と書いた方がふさわしい。
お伽噺、絵本を読んでいるような気がする。
絵本、そうそう、色が鮮やか、赤が多いかな、ぱっと広がる色彩。
子どもの頃の懐かしい思い出が幻燈をみるように映し出されてモノカラが突然赤で覆われたりする。
俺は格闘技みたいな遊びも好きだったけれどおままごとも好きだったなあ。
ショウコちゃんがお嫁さんで、、。
お婆ちゃん見本館のようにいろんな変わったお婆ちゃんが登場する。
「腰が曲がって”つ”の字になってるのに毎日石段を登り降りするおばあちゃん」、「50歳の頃から”もうすぐ死ぬ”と言い続け、そう言わなくなった90歳で死んだおばあちゃん」、、山また山の向こうの谷あいに住む「驚くほど手早く、うまい山菜料理を作るおばあちゃん」の噺には思わず涙が出てきた。
「鍋の中」のお婆ちゃんは驚くほどまずい料理を作る、老いた悪戯ニンフみたいな忘れられないお婆ちゃんだ。
どんなに変わっていても存在感のあるお婆ちゃんばっかり。
もともと人間の本質には”変わっている”ところがたくさんある。
それがお婆ちゃんになって遠慮なく露出されるのかもしれない。
あたかも自分の姿を見つめるようにユーモア・愛情をこめて描く。
食べ物も必ず、豪華絢爛な料理ではなくてオバンザイのような料理、あ、店屋物もあったか。
うまそうなんだね、料理自体を描写しなくてもその料理がおかれた空間がうまそうにみせる。
エロテイック、猥雑ではないエロ、とても気がつかない一瞬とか部分に漂うエロ。
狂気、日常に隠されている狂気。
血のつながりの意味、親子兄弟姉妹の意味。
同じ作者の「名文を書かない文章講座」「人をみたら蛙に化れ(なれ)」「百年佳約」「尻尾のある星座」なども読んだことがある。
どれも興奮した。
大した作家です。
所収作品
「熱愛」、「鍋の中」(芥川賞受賞)、「百のトイレ」、「白い山」(女流文学賞受賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞受賞)、「蟹女」(紫式部文学賞受賞)、「望潮」(川端康成賞受賞)、「茸類」。
文春文庫

浸るなあ、この世界。
他の作家にはないどっしりした生活感があるのに不思議な夢の中の出来事のような噺。
そう、話と書くより噺と書いた方がふさわしい。
お伽噺、絵本を読んでいるような気がする。
絵本、そうそう、色が鮮やか、赤が多いかな、ぱっと広がる色彩。
子どもの頃の懐かしい思い出が幻燈をみるように映し出されてモノカラが突然赤で覆われたりする。
俺は格闘技みたいな遊びも好きだったけれどおままごとも好きだったなあ。
ショウコちゃんがお嫁さんで、、。
お婆ちゃん見本館のようにいろんな変わったお婆ちゃんが登場する。
「腰が曲がって”つ”の字になってるのに毎日石段を登り降りするおばあちゃん」、「50歳の頃から”もうすぐ死ぬ”と言い続け、そう言わなくなった90歳で死んだおばあちゃん」、、山また山の向こうの谷あいに住む「驚くほど手早く、うまい山菜料理を作るおばあちゃん」の噺には思わず涙が出てきた。
「鍋の中」のお婆ちゃんは驚くほどまずい料理を作る、老いた悪戯ニンフみたいな忘れられないお婆ちゃんだ。
どんなに変わっていても存在感のあるお婆ちゃんばっかり。
もともと人間の本質には”変わっている”ところがたくさんある。
それがお婆ちゃんになって遠慮なく露出されるのかもしれない。
あたかも自分の姿を見つめるようにユーモア・愛情をこめて描く。
食べ物も必ず、豪華絢爛な料理ではなくてオバンザイのような料理、あ、店屋物もあったか。
うまそうなんだね、料理自体を描写しなくてもその料理がおかれた空間がうまそうにみせる。
エロテイック、猥雑ではないエロ、とても気がつかない一瞬とか部分に漂うエロ。
狂気、日常に隠されている狂気。
血のつながりの意味、親子兄弟姉妹の意味。
同じ作者の「名文を書かない文章講座」「人をみたら蛙に化れ(なれ)」「百年佳約」「尻尾のある星座」なども読んだことがある。
どれも興奮した。
大した作家です。
所収作品
「熱愛」、「鍋の中」(芥川賞受賞)、「百のトイレ」、「白い山」(女流文学賞受賞)、「真夜中の自転車」(平林たい子賞受賞)、「蟹女」(紫式部文学賞受賞)、「望潮」(川端康成賞受賞)、「茸類」。
文春文庫
佐平次さんの書評がいつも素晴らしいので、これは読まずにはいられませんね。早速です。4つの受賞作品が入っているのにも驚きです。
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サワディ〜カ〜
ふらふらふら〜、
特に「お婆ちゃん見本館」
特に「50歳の頃から”もうすぐ死ぬ”と言い続け、そう言わなくなった90歳で死んだおばあちゃん」
私、とっくに言い始めてますけど、90まではいかんと思います。^^
面白そぉ、
ふらふらふら〜、
特に「お婆ちゃん見本館」
特に「50歳の頃から”もうすぐ死ぬ”と言い続け、そう言わなくなった90歳で死んだおばあちゃん」
私、とっくに言い始めてますけど、90まではいかんと思います。^^
面白そぉ、
Ciao saheiziさん
人になんと言われようが、味のあるおばあちゃんになりたいもんです。
昔友人から聞いた話
彼のおじいちゃんは、何があっても畳の上で死ぬ。と言って畳を担いで歩いてる。そうで
これに私は大笑いした覚えがあります。
人になんと言われようが、味のあるおばあちゃんになりたいもんです。
昔友人から聞いた話
彼のおじいちゃんは、何があっても畳の上で死ぬ。と言って畳を担いで歩いてる。そうで
これに私は大笑いした覚えがあります。
お婆ちゃんは、自分がお婆ちゃんだとは思っていませんね。たぶん。
鍋、、まだまだ、鍋の季節は終わりそうもないですね。
鍋、、まだまだ、鍋の季節は終わりそうもないですね。
tona さん、九州在住、いわゆる文壇とは距離を置いている作家らしいです。
独特のユーモアが魅力です。
独特のユーモアが魅力です。
takoomeさん、私は50で死ぬと言い続けたんですが、、、、。
junko さん、畳の下で死なないように気をつけないと^^。
c-khan7さん、逞しいお婆ちゃんが多いですよ。
作家の住む九州にはそういう人が多いのかも。
作家の住む九州にはそういう人が多いのかも。
遠い親戚に95歳で亡くなったおばあちゃんがいます。
可愛らしいおばあちゃんで皆に好かれていました。長生きしたら私もあんなおばあちゃんになりたいな、と思っています。
そのおばあちゃんが90歳を過ぎてから親戚の集まりに美味しいビスケット(デナーロールのようなもの)を沢山作ってきてビックリでした。手書きのレシピを頂いてあるので何時も作ろうと思うのですけどね、面倒そうなのでまた仕舞ってしまいます。
また出して見なければ・・・
可愛らしいおばあちゃんで皆に好かれていました。長生きしたら私もあんなおばあちゃんになりたいな、と思っています。
そのおばあちゃんが90歳を過ぎてから親戚の集まりに美味しいビスケット(デナーロールのようなもの)を沢山作ってきてビックリでした。手書きのレシピを頂いてあるので何時も作ろうと思うのですけどね、面倒そうなのでまた仕舞ってしまいます。
また出して見なければ・・・
74mimiiさん、それは是非作った方がいいですよ。
ブログに載せてください^^。
ブログに載せてください^^。
これこれ、私も蕨野行と一緒に買いました!
ハズレが一編もない良い短編集ですよね。
大して起承転結が無いんだけど、
ぶわ~っと頭の中に世界が広がる感じがたまりません。
なにか「えぐみ」みたいなのが癖になりますよね~
ハズレが一編もない良い短編集ですよね。
大して起承転結が無いんだけど、
ぶわ~っと頭の中に世界が広がる感じがたまりません。
なにか「えぐみ」みたいなのが癖になりますよね~
mmiizzzさん、「夜のヴィーナス」というのもあります。
そのうち読みます^^。
そのうち読みます^^。
by saheizi-inokori
| 2010-01-18 10:34
| 今週の1冊、又は2・3冊
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Comments(12)