酒は百薬の長ってイタリアでもいう? ベルガモ・ドニゼッテイ劇場「愛の妙薬」


オペラなんて俺みたいな山猿には縁のないものと思っていた。
ウイーンに仕事で行ったときに、ついでにモツアルトの「魔笛」をフオルクスなんとか劇場でみたことはある。
ミーハーだから直ぐにはまってイタリア語を覚えようかと思ったくらいなのに、なのに、それっきり、それが俺の人生。

持つべきものは、、でチケットをいただいた。
それも前の方のいい席を。
タキシードでも着て行かなくちゃと思ったけど無い袖は振れないので珍しく、おそらく隠居になって初めてジャケットを着た。
ネクタイは締めない。
酒は百薬の長ってイタリアでもいう? ベルガモ・ドニゼッテイ劇場「愛の妙薬」_e0016828_1064321.jpg
(会場の東京文化会館。集う人たち、落語を聴きに来る人たちとはどことなく違う、、人も多かった)
大きな見上げるような舞台の美しさ、まるで西洋絵画をみるようだ。
そこに絵画のような人物が現れて飛んだり跳ねたり、歌まで歌うではないか。
見事にハモッているからますます現実の出来事ではなくて夢をみているような心持になる。
夢にしてははっきりしている。

惚れ薬って相手に飲ませるのかと思っていたがトリスタンとイゾルデの場合も自分が飲んで相手を惚れさせるのだという。
なあに、インチキ薬師がくれたのは単なるワイン。

そうとは知らずなけなしの金を払い、自由を売って兵士になってまで妙薬(ワイン)を買う男心のいじらしさ。
男(ネモリーノ、ロベルト・イウリアーノ)の伯父が死んで莫大な遺産が転がり込むと聞いた時の女たちの目の色が変わる。
20人以上の美女たちが「ウエストサイド・ストーリー」の冒頭のように”婚活ダンス”をするのがおかしい。
愛していると迫るとつれなくてつれなくすると気にかかる、肝心お目当てのアディーナ(ヒロイン・デジレ・ランカトーレ)は恋の駆け引きを楽しんでいる余裕がなくなって、、本気で、ヤバシ、好きになったみたい。
でも私は薬の世話にはならない、ってどこかの女優に聞かせたい。
私の妙薬は私のこの目、この目で見つめればどんな男もイチコロよ
自信満々、だけどほんとにネモリーノの心を捉えたのは彼女の目に浮かんだ涙だった(↑「人知れぬ涙」)。

とはいえ、インチキ薬師の売りつけた妙薬(ワイン)があっての恋の展開。
美しくない女も、それなりに美しくなり、、憂いも去り、、
妙薬の効能を誇る薬師の楽しさ。

どの曲もいつか聴いた覚えがあるような心地よさ。
アディーナのコケテイッシュな可愛さ。
去年見た京劇のヒロインを思い出す。
そんなはずがないのに歌い方まで似ているように感じた。
酒は百薬の長ってイタリアでもいう? ベルガモ・ドニゼッテイ劇場「愛の妙薬」_e0016828_1012289.jpg
(オペラの前に食べた「一蘭」のラーメン)
ああ、またドナタかチケットを下さらないかなあ^^。

驚いたのはかつての会社の大先輩と高校の同窓生の二人に遭遇したこと。
そして不思議なのは今日はかつての会社のOB会と高校の在京同窓会があるのだ。
どちらも欠席の返事をしている俺としては妙な気分。
Commented by junko at 2010-01-15 18:48 x
あああ、チケットを下さる「どなたか」がいていいなあ、、saheiziさん
酒は百薬の長っていうのは聞いたことないけど、だいたいイタリア人はなにかを薬に例えないし、、
でもワインは彼らの生活に欠かせない非常に大事な物であることは確かです。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-15 19:45
junko さん、私にとっての酒のように、ね^^。
Commented by tona at 2010-01-15 21:12 x
フォルクスオパーで「魔笛」、夢の世界ですね。
日本ではチケットが高くて年に2回が限度、本当にタダでくださる人がいたらねー。
次は「愛の妙薬」をめざそう、です。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-15 21:24
tonaさん、寄席の何回分になるか、噺家が可愛そう^^。
Commented by takoome at 2010-01-15 22:24
こちらではハイソの世界のお話だそうです。
だから、私も来てから行ったことがない。
Commented by MAKIAND at 2010-01-15 22:36
わたしはお酒、今年は一度も飲んでいません。
忙しくて酔っている暇がないです~
Commented by きとら at 2010-01-15 22:43 x
 持つべきものは何とかですねぇ。
 
 私のバヤイ、妹が、四月の蜷川演出の『ヘンリー六世』の切符をくれると言うんですよ。二万三千円ですぜ。六時間ですぜ。
Commented by mmiizzz at 2010-01-16 01:18
ほんとオペラって、夢見るような気分になりますよね~
私も大人になって良さが分かるようになりました。
だけど…チケット高くて高くて。
オペラを安く観るために、パリに行こうかと思い詰めた頃もありました。
Commented by 74mimii at 2010-01-16 07:38
ティケットを下さる方があるなんて・・・
素敵ですねぇ!
やっぱり佐平次さんのお人柄ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 08:38
takoomeさん、日本でもヤヤハイソですねえ。特にいい席は。
でも昔呼びやみたいな人の話を聞きましたが多くの人を空輸してホテルに泊めて舞台を借りて、、なかなか黒字興業は大変なんだって。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 08:39
MAKIANDさん、バイクもさびしがってる?
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 08:40
きとら さん、持つべきものは妹よ^^。
子ども一人はそういう業界に行かせるんだった!
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 08:43
mmiizzzさん、安い席でも一万円とかしてそこからみたら米粒ですものね。
だから私のオペラを敬遠する気持ちには嫉妬心がある。
こんな高い入場料を平気で払って(しかもイタリア、フランスの方が良かったなんてほざいて)オシャレも楽しみの一つなんてぬかす奴バラに対する嫉妬^^。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 08:45
74mimiiさん、かつて仕事の肩書でいただいたこともありましたが、今回は純然たる個人的つながりでした、人柄は下さった方のことです。
Commented by みい at 2010-01-16 10:15 x
わたしも一度だけオペラ観ました。
旅先での野外オペラだったのです。確かに夢の中のように思い出されます。
最初で最後の観劇でした^^。
Commented by convenientF at 2010-01-16 10:15
冒頭のYouTubeの声は私、ではなかった^^。
オペラや歌舞伎の入場券も、公共土木工事における贈賄の主流通過です!
Commented by 旭のキューです。 at 2010-01-16 10:24 x
また、ドナタかチケットくれないかな~がいいですね。会社の企画で大相撲の観戦にいったのですが、安いチケットだったので、お相撲さんが米粒でした。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 12:06
みい さん、讃岐には金毘羅歌舞伎がありますね。
いつか行けるかなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 12:07
convenientFさん、肩書で貰えるころもありましたが、ありがたみはなかったなあ。まじめに観てもいなかったし。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-16 12:09
旭のキューです。さん、相撲は現場でみると肌の色などが生々しくて迫力がありますね。
今はチケット手に入れにくいのかな。
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by saheizi-inokori | 2010-01-15 10:18 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(20)

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