懐かしいレストランが消えた 思い出は忘れない

10年前に作ったタイ料理の店。
最初はバリ島の味でいこうとスタッフをバリに出張させて勉強しインテリアもそれらしくしたけれどバリ島だけではメニューが足りない。
タイやベトナムに行ってメニューを開発してきた。
フレンチの料理人たちはプライドがあってタイやヒラメの舞い踊りはやりたくないというのを引率していった。
あまり辛いのはダメというのを現地の味をみせて説得した。

集客力がある場所だと料理やサービスの質が悪くても客は来るので回転率と売上高至上主義になりがちだ。
でもそれはお客様に失礼なことであり長い目ではその場所の集客力を低下させていく。
そう思ってその辺りにはないレストランにしようといろいろ考えた。
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トイレは共同のトイレ(店外)というところだったが敢えて店内に広い、身障者でも使える多目的トイレをつくった。
10人くらいの客が座れるスペースをトイレにした。

店内ではインドネシアの言葉で「いらっしゃいませ」と云ったりオーダーを通した。
活気のある店にしたかった。
スタッフのテイームワークを大事にしたかった。

成績は良くて時分時には行列も出来た。
毎月、特別メニューを開発するのだがその試食を若いスタッフと一緒にやるのが楽しかった。
よくあるチエーン店とは違って手作り感のある路面店のような店にしたかった。
俺は朝、昼、晩、しょっちゅう食べに行った。
いい店になった。

それが昨日閉店になった。
地主企業が周辺を再開発するという。
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当時の関係者の何人かを語らって最後の晩餐。
7時から11時近くまで、いったい何杯ジョッキを開けたことだろう。
声をかけなかったスタッフたちもたくさん集まって名残を惜しんだ。
思い出話が交わされる中で“今だから話そう”みたいなエピソードや感想を聴くことができた。
あの頃の俺はなんでも俺一人でやってみせるくらいな気持ちが強かった。
それでいろんな失敗もしたこともある。
昨日は彼らがどんなに頑張って支えていてくれたかを再認識することができた。
当時の調理長は退職して別の店にいたが来てくれて
あの頃は緊張したけれど楽しかった。料理というものは単に料理をつくるだけではないということを教えられて今の私がある
と俺に礼をいう。
俺には何のことか分からない。

そういうことも含めて、
今更ながらではありますがほんとにありがとう!
Commented by haruneko3 at 2010-01-06 14:23
やはり料理も心だったのですね。
ああ、美味しそうな料理の写真!
なかなか、自分に見合ったおいしいお店を開拓するのはむずかしい。
そういう意味では、こちらのお店も残念だと思われているお客さま、
大勢いらっしゃるのではないかと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 15:15
haruneko3さん、おいしい料理をつくるのはそんなに難しいことではないのです。
ミシュランの星を取ろうってんじゃないから。
トップにその気持ちがあるかどうか、それに尽きますね。
Commented by c-khan7 at 2010-01-06 16:48
飲食店のトイレは大切です。
トイレの質に経営者の人柄があらわれるのではないでしょうか。
タイ料理。グリンカレーが好きです。
Commented by greenagain at 2010-01-06 17:14
ほのぼのとした晩餐だったのでしょうね。
もう一度行きたくなるお店や観光地に出会うと嬉しくなります。
Commented by gakis-room at 2010-01-06 17:36
なるほど,なるほどですね。saheiziイズムの一端を垣間見たようです。トイレに心配りのある料理店(料理店に限らず空間と言ってもいいかな)にハズレはないように思います。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 17:53
c-khan7さん、10年前にこれをつくるときには内部に反対が多くワンマン化しました^^。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 17:55
greenagainさん、ほのぼのと、笑いの絶えない、しかし、ちょっとどこかにさびしい気持ちがある晩餐でした。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 17:56
gakis-roomさん、家でもそれはいえますね。
嫁にもらうならそのうちのトイレをみろって。
Commented by 旭のキューです。 at 2010-01-06 18:02 x
武田鉄也が「料理は愛情」と言っていたのを思い出しました。やはり、気持ちなんですね。
Commented by HOOP at 2010-01-06 19:46
なくなってしまうのはもったいないですが、
きっと育てられた人たちが次を作ってくれるでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 20:33
旭のキューです。さん、料理に限らず根っこに気持ちがない仕事はさびしいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 20:34
HOOPさん、それぞれいろんな部署や会社に移っていますが心は同じであって欲しいと思います。
Commented by yukiwaa at 2010-01-06 20:42
明けましておめでとうございます。
いい「集まり」でしたね。
愛着のあるお店がなくなるということは・・特に一から手がけてきた我が子のような店が理不尽な理由でなくなるなんて、、なんて詰まらない!事と思いますが、その頃の同士が佐平次さんの「熱い思い」を理解していてくれたんですね。
今更ながら、人間ってまんざらじゃない!良いもんですね。心温まる集まりに・・・乾杯!!(私も正体が分からんぐらい飲んだ気分・笑)
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-06 20:55
yukiwaaさん、今頃やっと酒が抜けました^^。
Commented by 74mimii at 2010-01-07 06:21
今は変ったのではないかと思いますが
日本へ行くと「年寄りや障害者には不親切」と思いました。
さすが佐平次さんですねぇ~ このトイレをみて
佐平次さんのお人柄が分かります。
当地(少なくともカリフォルニアでは)こういったトイレは
普通でレストランなど車椅子で使えるトイレがないと開店できません。左に少し見えるのは赤ちゃんのオムツを取り替えるところでしょうか・・・
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-07 11:23
74mimiiさん、確かに今はだいぶ良くなりました。
昔デズニーランドに行ったとき車いすがしっかり用意してあるのに驚きました。
左に見えるのは赤ちゃんのおむつ、ドアの陰左の壁にも洗浄槽が付いています。
Commented by kaorise at 2010-01-07 12:32
あらまあ、この店に行ってみたかったな。
実はエスニック料理好きなんです。
料理はやっぱり「お母さんの味」が基本ですね、、プロの技術でお母さんの味わいを出せれば最高だと思います。
接客もそうですよね、、
人に対する愛がなければお母さんのような工夫はできないです。
もの作りや商売はみなそうだと思います。
広い愛があればいろんなお母さんがいていい、とも思います。
Commented by junko at 2010-01-07 18:06 x
Ciao saheiziさん
前に書いた私のイタリアンレストランをやっている友人も,そこのシェフいわく彼女が一番怖い。と
でも褒められて一番うれしいのも彼女なんだって。
本当に厳しい人は、その厳しさの裏に愛があるからね。
そういう人の存在ってとても大事だと思います。
なくなっちゃうなんて残念。
その前に行きたかったわ。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-07 18:50
kaoriseさん、お握りのうまさ、手で握ってくれたお握り、最高ですよね。
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-07 18:51
junko さん、伊勢丹の前には行ってみますよ^^。
Commented by たま at 2010-01-08 01:25 x
「トム・ヤン・クン」のあの独特の臭いも、今となっては「懐かしい芳香」になって蘇ってくるのでしょうネ。
「そのレストラン」の運営会社の経営者&従業員の皆さん、その開発計画及びその設計・工事に携わった皆さん、その立ち上げ(メニュー&値付け&備品・材料の仕入れ&スタッフの採用etc.)と運営(出納&収支管理&スタッフ勤務管理etc.)に携わった皆さん、その閉店(スタッフの解雇&原状回復工事&備品の処分etc.)にご苦労された皆さん、そして「東京駅」
ともに右手を構えて、ガンバロー! ガンバロー! ガンバロー!
Commented by saheizi-inokori at 2010-01-08 07:43
たま さん、当日パクチャを食う会が結成されました。
臭い仲間です^^。
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by saheizi-inokori | 2010-01-06 12:04 | 梟のゴタク | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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